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まちを知る場 ~愛媛県西予市の場合~

2022年12月。
愛媛県西予市にある「四国西予ジオミュージアム」を訪ねてみました。
四国西予ジオパーク」の中核施設として今年の4月に開館した博物館です。

「ジオパーク」とは、地球科学的な意義がある土地を教育や暮らし、持続可能な産業に活用しつつ管理していると認められた地域のこと。
西予市も「四国西予ジオパーク」として、日本ジオパーク委員会に認定を受けています。

ジオパークとはなんですか?
― 地質・地形から地球の過去を知り、未来を考えて、活動する場所です。

ジオパークとは | 日本ジオパークネットワーク

宇和海沿岸のリアス式海岸で営まれる養殖漁業や段畑での柑橘栽培。
古墳時代の繁栄も伝わる、肥沃な宇和盆地の稲作。
肱川水系の河成段丘に作られてきた棚田。
石灰岩質のカルスト台地で営まれる酪農。
山間部の地滑り地形の上に栄えた宿場町の跡。

西予市にはこうした、地球科学的な土地の特徴とそこに暮らす人々の歴史の繋がりをとてもよく表す場が数多く存在しており、ジオパーク認定を受けて保全や活用に取り組んでいます。
また、日本列島の成り立ちに重要な知見を与える「黒瀬川構造帯」が初めて本格的に研究された舞台としても知られています。

ジオミュージアムの展示も、鉱物標本や写真資料を駆使して地球科学的な土地の特徴と人々の暮らしの密接な繋がりがよくわかる内容でした。
施設の規模は小さいながらも、展示で紹介する市内各所の見学に関する案内も充実しており、まさに“拠点”としての機能を色濃く感じました。

“自分の住むまちはどのようなまちか”
この問いの答えには、地域が歩んできた歴史やその基礎となる地球科学的な土地の特徴が絡んできます。
よく知るほど、そのまちの特性を活かした“役割”を見つけることにも繋がりやすいと考えています。
西予市はもともと、臨海部から山間部まで別々の特徴をもった5つの町が平成の大合併で一つになったまち。そんな背景もあって、“まちを知る”ことへの関心が比較的高いのかもしれません。
素敵な場ができたものだと思いました。


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