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13歳からのアート思考#5【アートの常識とは?】

今回はアートの常識について考えてみましょう。

5つの質問が本書内にありましたので、一緒に考えてみてください。

①アートは美を追及すべきだ
②作品は作者自身の手で作られるべきだ
③すぐれた作品を作るにはすぐれた技術が必要だ
④すぐれた作品には手間暇がかけられているべきだ
⑤アート作品は「視覚」で味わえるべきだ

スクロールしながら少し考えてみてください。

前回までの記事

アートに最も影響を与えた20世紀の作品第一位とは?

なんと、男性用便器にサインを描いただけの作品です。

「・・・え?」となりますね。しかも自作のものではないものに、サインを描いただけなんです。

作品タイトルは『泉』

私はこれを読んだ時に「おいおい、本を閉じるぞ」と思ったくらい衝撃的でした。それが第一位!?ちなみに2位は『アビニヨンの娘たち』で、なんとピカソの作品よりも【上】

この(wikiリンク貼っときます)という作品は「表現」を極限まで縮小して、「探究」を極限まで最大化した作品だと著者は言っています。

今までのアートは「視覚」で愛でることができる表現が重要とされてきましたが、この泉という作品は「視覚」の領域から「思考」の領域へとステージアップさせたのです。

20世紀アートは過去の『あたりまえ』からの解放の歴史だと著者は言っていました。

マティスは「目に映るとおりに描くことからの解放」をして、ピカソは「遠近法によるリアルさの表現からの解放」をして、カンディスキーは「具象物を描くことからの解放」をしました。

そしてデュシャンの泉によって、『アート作品=目で見て美しいもの』という根本的な常識をやぶり、アートを『思考』の領域へと移しました。

デュシャン顔負けの作品が日本にあった

こちらはなんと、千利休が職人に作らせた『黒楽茶碗 銘俊寛』という作品です。

黒楽茶碗(俊寛)〈長次郎作/〉-文化遺産オンライン

出典:文化遺産オンライン

文化遺産と聞いて観てみると、すごい作品のように思えますが「茶道で普通に使われていそう」な茶碗にも思えますよね。

茶道=日本文化と思いがちですが、実はもともと中国から伝わった物で道具も中国から仕入れていました。

静嘉堂文庫美術館-|-曜変天目(「稲葉天目」)

出典:静嘉堂美術館 国宝 曜変天目

見た目ですと、曜変天目のほうが煌びやかにみえて綺麗ですよね。利久ほどの人物であれば自分の茶室に置くことは可能だったと思います。しかし、それはせずに黒楽茶碗を使ったそうです。

空間から逆算した作品

利久の茶室は狭かった場所も多く、たったの2畳しかない部屋もありました。入り口は腰をかがめないと入れないような下の部分に位置しており部屋の内部は質素だったそうです。

壁には掛け軸があり、竹を切っただけの花瓶に花が生けられているというシンプルな茶室です。

この部屋の中で茶を点てます。

黒楽茶碗から「視覚で愛でる要素」を捨てて、「触覚」で楽しむ空間を作ろうとしたのではないかと著者はいいます。

人間は情報の9割りは視覚によるものです。そんな視覚をあえて排除して別の感覚を使って楽しませる。デュシャンの泉のように目ではなく頭やそれ以外の感覚器官に訴えることで、利久は茶を楽しませていたんですね。

目だけで判断していたアートの世界の常識が「少しだけ」変わったのではないでしょうか?

次回はそんな私たちの「目」にはなにがみえているのか?です。


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