思考タイプ別の方程式解法

 「あなたの性格診断します」

というのは、私は信用しません。何故なら、

人の性格なんて、その時の状況や立場でいくらでも変わる

からです。

 それを、

「あの人はこういう性格の人だ」

と、他人をより単純に理解するために、人はレッテルを張りたがるのです。

 その行為に、私は意味があるとは考えません。

●「思考タイプ」は一定の分類ができる

 しかし、性格という漠然としたものではなく、得意とする思考方法については、一定の分類ができそうです。それは主に、

①記憶している事を頼りにして答えを出すタイプ
②ロジックを考えて答えにたどり着くタイプ
③ひらめきで答えを出すタイプ

の3つです。

 これは、どれが優れているという問題ではなく、この分類により、

「どういう勉強方法が適しているのか」

がわかるのです。

 それでは、

「自分はこのうちのどれに当てはまるか」

という判定方法ですが、これは

「方程式の解き方」

でよく分かるのではないかと思います。

●連立一次方程式の解法

 「連立一次方程式」の解法には、主に以下の3つがあります。

①クラメルの公式
②ガウスの消去法
③代入法と加減法の組合せ

 例えば、以下のような連立一次方程式の解を求める事を考えます。

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①「クラメルの公式」を使う場合

 クラメルの公式は、まず

「未知数 "x", "y", "z" の係数」と「右辺の定数」からなる行列

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を考えます。そして、

「未知数の係数だけの行列」の行列式

画像3

を求めます。

 行列式は、以下のように計算します。

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 ものすごく説明を端折ると、上図のようにたすき掛けをして、その結果を方向により+-の符号を付けて、

Δ = { 1×(−1)×(−5)+2×3×2+(−2)×3×1 } − { (−2)×(−1)×2+2×1×(−5)+1×3×3 }
   = 8

とします。

 そして、x を求めたい場合は、「未知数の係数だけの行列」の

「x の係数を定数で置き換えた」行列

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の行列式を計算して、

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とすれば、x は

x = 
[{ 3×(−1)×(−5)+2×3×1+(−2)×3×4 } − { (−2)×(−1)×1+2×4×(−5)+3×3×3 }]/8
= 1

と求まります。

 同様に、y と z も

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画像8

と求まります。

 この方法は、「行列式の計算」と「列の置換」の方法さえ覚えてしまえば、あとは機械的にこれに当てはめれば誰でも解ける方法です。

②「ガウスの消去法」の場合

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に対し、

(2)式-(1)式
(3)式-(1)式×2

をすると、

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となり、

(5)式-(4)式÷3

をすると、

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となり、

z = 2

と求まります。これを (5)式 に代入すれば、

-y -2 = -5
y = 3

 さらに (1)式 に y, z の値を代入すれば、

x + 6 - 4 = 3
x = 1

と求まります。これは、

「上の式を使って、下の変数を順番に消していく」

というロジックさえ理解していれば、機械的に解ける方法です。

③「代入法と加減法の組み合わせ」の場合

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に対し、例えば、

(1)式-(2)式

をすると、

3y - 5z = -1 ・・・ (6)
(3)式-(6)式

をすると、

2x = 2
x = 1

と求まり、

(1)式+(2)式×2

をすると、

3x + 4z = 11 ・・・ (7)

(7)式に x = 1 を代入して、

4z = 8
z = 2

(6)式に z = 2 を代入して、

3y - 10 = -1
y = 3

と求まります。これは、式を見て

「(1)式-(2)式をすれば x が求まる式が出てくる」

と気が付かないとできない方法です。

●一通りやってみて得意な方法を選択する

 このように、方程式の解法は、思考タイプ別にあった解き方があります。なので、その人の思考に合った解き方を身につければよく、教える側はその選択肢を示してあげるのがいいと思います。

 そして、最初に学ぶときは、同じ問題をいろいろな解き方で解いてみて、どの解き方が一番しっくり来るかによって選ぶと、勉強の成果が出やすくなるのではないかと思います。

 ちなみに、私は方程式に限らず、1つの問題について思いつく限りの解き方をマスターして、ものの見方の幅を広げるトレーニングをしています。


 ちなみに今回の数式は、"HostMath" という

Microsoft の「数式エディタ」のような感覚で、「LaTeX コマンド」を入力して数式を作成できるサイトを利用して作成してみました。

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