『幸せになる勇気』 | 読書記録
" なんでもない日々が試練。変えるのはあなた。"
最近、世界が騒がしい。無理はないと思う。ただ、その騒がしさに自分のペースが乱されるのは不本意で、この本がちょうど目に入り、読み直そうと思いました。確か初めて読んだのは高校生のとき。大学生になった今もなお気づきがたくさんあるので、私はまだまだ未熟なんだなと痛感しました。
それにしても、理を並べた哲学書ではなく、対話形式を用いて読者に共感や新しい気づきによる感動を何倍も抱かせてくれる本書はそれだけですごい。内容だけでなく、伝え方や惹きつける力までも勉強になる本でした。
※この読書記録は、私が個人的に心に留めたい部分を抜き出しているだけなので、本書の要約ではありません。自分のための記録ではあるけれど、少しでもその気づきが誰かの学びにも還元できれば嬉しいです。
あらゆる対人関係の土台は「尊敬」によって築かれる
「尊敬とは、人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のことである。」
アドラーと同時代を生きたフロムは、尊敬を通して「その人」をありのままに認め、その人らしく成長発展していけるように気づかうことが重要だと説きます。尊敬と聞いて一般的にイメージされる憧れに似た感情は、恐怖であり、従属であり、信仰なのだと。それは権力や権威に怯え、虚像を崇めているとまで書かれていました。
以前、すぐ誰にでも「すごい」と尊敬しがちだった私は「尊敬してしまうとその人を超えられないよ」と言われたことがあったけれど、この文章を読んで、いろいろと誤解してしまっていたなと。シンプルだけど、誰に対してもこの尊敬を用いるのはすごく難しい。でも、この強要できない尊敬を自分からすることが、人との間に信頼を築いていく土台になる。すごくよくわかりました。
普通であることの勇気
「人と違うこと」に価値を置くのではなく、「わたしであること」に価値を置くのです。
他者の評価のなかで幸せを実感していては、他者の人生を生きた「依存」に他ならない。自らの価値を自らが決定し、自分は世界の一部なのだと自己中心性から脱却することを「自立」と呼ぶ。不必要に弱さや不遇な環境、トラウマを武器に他者をコントロールしても、他者と自分を比較しその違いばかりを際立たせようとしても、結局は他者を欺き、自分に嘘をつく生き方に他ならない。
自信を持てないからこそ他者からの承認を必要とするのだと主張する青年に対して、それは普通であることの勇気が足りてないと哲人は返します。はっとしました。個の時代、何か特別なラベルをつけたくなるけれど、それはあくまで他者に評価されたい自分がいるだけ。始まりつつある就活の波に流されないよう、「自立」したい。
過去は存在しない
われわれにとっては、なんでもない日々が試練であり、「いま、ここ」の日常に、大きな決断を求められているのです。
人間にとっての試練や決断とは、受験や就職、結婚といった象徴的なライフイベントのみに訪れるのではなく、過去と断絶した日々の瞬間瞬間にあり、本当の意味で幸せになるためには「今」自ら選択し続けなければならない。
過去を言い訳にするのではなく、「悪いあの人」「かわいそうなわたし」の話ではなく、これからどうするかを考える。そのとき周囲の反応や期待を操作することは無意味で、分離した自らの課題のみに集中すれば世界はもっとシンプルなのだと。
すごく綺麗な考え方。でもこうして書きながら、まだ理解し切れてないなとも思います。だから実践はもっと難しい。
ただ、今世界が混乱しているなか、私が今からできることは多くある。なんでもない日々。一歩踏み出す勇気を自分が持たないと、最後まで幸せになれないんだなと改めて思いました。一人一人の勇気で、個々の自立した幸せが調和したら最高だな。
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