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きたる、最終週

昨夜はマネージャーとのふりかえりを終えて、その目が冴えていたままずっと起きていて、朝5時半、20分だけ仮眠ととりました。

Youtubeでいろんな音楽を聴きながら、今朝1番鼓舞されたのはグレイテストショーマンのTHIS IS MEでした。

実はこのグレイテストショーマンに登場するジェニー・リンドという歌姫(Never Enoughを歌う人)は実在した人物で、スウェーデン出身のソプラノ歌手みたいです。

当時ジェニーはヨーロッパ1の人気を誇っていて、その収入のすべてを困っている人に寄付していたみたいで、「スウェーデンのナイチンゲール」と呼ばれていました。ひょんなことでスウェーデンと紐づく情報が出てくると、何かワクワクしてきます。

今日から最終週。気持ち新たに、家を出ました。

Mar. 25

今日はいつも乗り換えているバスが少し隣に移動していて、それを学校に同じく勤務するイマヌエルが教えてくれました。彼は先週知り合ったばかりのアフリカのハーフの方です。Good morningといってハグをされたので少しびっくりしました。

アフリカにルーツをもつ人は、男女関係なくハグをするイメージがあります。以前バスで会って意気投合したアンドリューにも帰り際にハグをされました。日本にはあまりない文化なので少し驚いてしまいます。そういえばアンドリューにあれから会ってないけど、元気にしてるかな。

目的のバス停に着くまでに学校の先生たちが何人か乗ってきて、みんな同じバス停でおりました。エレンはオレンジのコートを着こなしていたのでほんとにかっこいいなと思いました。

エレンの後ろ、私の目の前にいた人が背負っていたリュックはフェールラーベンのもので、このブランドはスウェーデン発祥みたいです。日本でもよく、この赤いキツネがまるまったロゴをたくさん見かけます。

学校に着くと今日はいつもに比べて外で遊んでいる子たちが多く、にぎやかに見えました。天気もよく、この景色を見ただけで最終週がんばろう、と思い直すことができました。

とはいうものの、やっぱり寝ていないのがこたえて、たまにどっと眠気はきました。これまで朝は飲んだことがなかったけれど、先生たちはみんなコーヒーを片手にミーティングを聞いているので、私も今日は1杯だけ頂くことにしました。

そのあと、ニーノがこんな手紙をくれて、ああやっぱりこの学校はあったかいところだなと思いました。何の絵かはわからなかったけど、なんにせよ嬉しかったです。

今日も朝は時計の復習から始まります。もうみんな、「また~?」みたいな感じで手を挙げるのもめんどくさいくらいに定着していました。イーダはどんなに子どもたちがめんどくさそうにしても、力強い声で引っ張っていきます。イーダは本物の先生だなと思います。

毎週月曜日は、みんなで身の回りのことについてディスカッションをします。なかでも目立っていたのはナーラでした。

ルーラに聞くと、ナーラはクラスのなかでも自分の意思を特に強くもっている子で、それを周りに伝えることも上手なんだと言っていました。8歳の頃の自分をナーラと会わせたいくらいに、尊敬しました。

そしてお決まりのビデオ。これは算数の授業で、今日は「9」についての勉強でした。こうしたビデオを通した授業が本当に効果的なのか、私はまだ懐疑的ではあります。

というのも、日本のほうが確実に算数の習得が進んでいるからです。スピードが速いから良いとは一概にいえないけれど、結局いつも思うのは、両国の良い点を取り込んで、よりよい新しい教育方法を模索していくしかないのかなと。ヘーゲルの弁証法、アウフヘーベンです。

間のお昼休み、サルナがフルーツを持ってきていて、みんなに分けていました。サルナが持ってきたのに、みんなおかまいなしに頂戴頂戴と集まってきます。

私は申し訳なくて断ったけど、優しいサルナは気にしないでといってブドウを1つわけてくれました。皮ごと食べても美味しいくらい、美味しかったです。サルナありがとう!

今日はなぜかすごく寒くて、外にいると急に雪もちらほら降ってきました。みんな、もう春がきたと思っていたのに、というような顔をしていました。最初は雪にテンションがあがっていた私も、この日ばかりはちょっとうんざりでした。スウェーデンの少し嫌なところは、寒さにつきます。

いつも外で遊ぶ時間は先生が鳴らすベルを合図に終了します。私はずっとこのベルを鳴らしてみたかったのですが、勇気が出ず先生に一度もそれを言ったことがありませんでした。でも今週で最後と思うと心残りになりそうだったので、今日お願いしてみると、イーダは不思議そうに笑いながらベルを渡してくれました。

大きな音を気持ちよく鳴らすのはけっこうコツが必要で、幼稚園のときにベルを使った合唱会をしたときのことを思い出しました。楽しかった。

そのあとはスウェーデン語の授業。今までに見たことのなかったタイプのビデオでした。それにしてもこうした教育テレビは子どもたちの関心をひこうとかなり大人が体を張っているんだなと、子どものときには思わなかった目線で私もビデオを見ていました。

授業の内容はというと、スウェーデン語の動詞の授業で、いろんな動詞を文章のなかから見つけたり、その動詞をつかった文章を自分でつくったりしていました。みんながみんな生粋のスウェーデン人ではないので、学習スピードにはかなりの個人差があります。

こうやって食堂に向かうのもあと片手で数えるくらいかと思うと、写真を撮りたくなります。

今日のお昼も相変わらず豪華。ごちそうさまでした。

また、今日は世界ワッフルデーらしく、お昼の休憩の際に私も頂きました。このワッフルの日というのはスウェーデンで最初に祝われ始め、その後世界へ広がっていったとのこと。

Vårfrudagen (“Our Lady’s Day”)というクリスマス9か月前を祝い、その単語がWaffleと似ていることからこうした日になりました。美味しかった。

教室に戻ると、実験の授業がされていました。みんなでろ過について勉強していました。

実験は、子どもたちの好奇心を最大限に掻き立てることができるのが手に取るようにわかります。

今日は、Fritidsの時間に福笑いを子どもたちに教えました。みんな想像していた以上にこの遊びを気に入ってくれたのが嬉しかったです。

子どもたちは、新しい遊びが本当に好きだなとつくづく思います。子どもたちと遊びながら笑っていると、ほんとに幸せな気持ちになります。これぞ福笑い。

福笑いで遊び終わり、おやつを食べに行く前にモーリの唇をみると青くなっていました。化粧のできる遊び道具があるみたいで、一部の女の子たちはそれを使ってメイクをしていたそうです。

今日のおやつはビスケットにチーズやマーガリンをのせることができるようになっていて、あとバナナもありました。

おやつを食べ終わると、外で遊ぶ時間になり、メイクをしていた子たちは外に出てからも続きをしていました。私が小学生の頃はメイクをして遊ぶなんてことは一切なかったので、こうした光景はすごく新鮮でした。

なぜメイクをしていたかというと、子どもたちは自分たちが考えたストーリーを演じ、撮影するためでした。このストーリーというのは、ベラが以前子どもたちにお題を出して、それぞれグループに分かれて作成したものでした。

みんな、撮影しては確認し、続きを撮ってはまた確認する、というのを繰り返していました。

そのストーリーの内容もなかなか過激で、子どもたちは役を演じきっていました。これはまったくもって授業ではないし、ただ放課後の時間に自主的に行っているものです。子どもたちは自分たちで考え、より良いものを創ろうとしていて、めちゃくちゃ良い時間だなと思いました。

私はその様子を見ていることしかできなかったのが少し悔やまれるところではあるけれど、それにしても子どもたちの創造力とそれをかきたてるベラの力はすごいなと思いました。

学校の建物のなかに戻ると、モーロンたち男の子が私にたくさんの紙飛行機を見せてくれました。紙飛行機の作り方を教えてから、男の子たちは本当によくこれで遊んでくれています。

しかも、自分たちでどう折れば面白い飛び方をするか、より長く速く飛ぶかを試行錯誤しながらつくっているところがまた素敵だなと思います。ただの1枚の紙でこんなにも遊びを広げられるんだなと思いました。

福笑いに紙飛行機、またこれまでも折り紙やけん玉、手押し相撲など子どもたちにいろいろな遊びを教えてきましたが、それらを子どもたちが楽しんでくれるのが本当に嬉しいです。

日本とスウェーデンってすごく遠いけれど、遊びは遊びで、子どもは子どもで、好奇心や心の動く対象にはそんなに差はないんだなと思います。

この学校には多岐にわたる国籍をもつ子たちが一緒に生活をしています。そのこともあってか、この学校にはいたるところに世界地図や地球、いろんな国旗が飾られています。みんな、お互いの国籍をだいたいは認知しているようでした。

それを理由に境界線をひいたり、違いをバカにしたりするような子は一切いません。私はスウェーデンのある小学校に来たはずだけど、どこの国とはいえない、インターナショナルスクールに来ているような気持ちになるときがたまにあります。

この学校で成り立っている「共生」が世界中にも広がればいいのにな、と思いました。

***

実は折り紙のワークショップをしたときに子どもたちが完成させた鶴をみて感動していた様子から、千羽鶴をつくって学校に送ろうと意気込み毎日少しずつ折っていました。

今週が最終週なのですが、まだ鶴は600程度。計画性のなさが顕著に表れてしまいました。妥協しようかと迷ったこともあったけれど、子どもたちや先生たちが千羽鶴をみたときの表情を想像すると、やっぱり完成させないわけにはいきませんでした。

アイセックの活動のほうでも、年始に考えたプランを修正していたのですが、ほんとに計画って大事だなと痛感しました。いや、計画も大事だけど、定期的にふりかえって進捗を確認し、少しずつ修正していくことも大切だと気づきました。頭では分かっていても、いざ実行するとなると難しいとはこのことです。

鶴を折りながら得たものは、そうした学びと、目をつぶっても鶴を折れるスキルでした。あと4日、やりたいことは全部やりきろうと意気込みながら鶴を折っていました。

最後になって急に気持ちを入れなおすと、最初から、いつも最後の日のように活動すればいいのに、と思うけれど、これってほんとに難しいことだと思います。最終週だからたくさん笑う、最終週だからあと少しねばってみる、最終週だから妥協しない、そうやって自分を持ち上げていくのも悪いことではないなと思いました。


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