投球障害予防 〜野球選手とシューズ〜
この記事をみればシューズの重要性が理解できます!
□はじめに
こんにちは!
C-IBaseball育成メンバーの野坂 光陽です。
今回の記事では、私が臨床で得意としている靴をテーマに
臨床やトレーナー現場で利用できる知識を皆さんにお伝えしていこうと
思います。
最後までぜひご覧ください!
□野球とシューズの関係性
誰しも必ずグラウンドでは靴を着用しプレーします。
種類としては下記スライドに示したものが一般的ではないでしょうか。
アップシューズやランニングシューズは主にアップやダウン、
トレーニング時に着用し
スパイクは主にグラウンド内でのプレー、試合時に着用していると
思います。
ということは靴によって用途が異なりそれぞれ有している機能が
異なるということです。
靴の機能は体に大きな影響を及ぼします。
それらを一つずつ解説していきたいと思います。
□シューズ選びの基準
基準は選手や保護者によって様々であると思いますが、大まかに分類すると
以下のようになっているかと思います。
選ぶ基準はそれぞれあるかと思いますが、
理学療法士という視点で考えると、
スポーツに適したいい靴と悪い靴があるということを
皆さんに今回お伝えしていきたいと思っています。
□けがを予防する靴の選び方のポイント
☑️かかとがかたい
足の骨の中で踵骨(しょうこつ)が最も大きく、身体を支えるという
重要な役割を担っています。
このかかとの骨が内側ないし外側に倒れ、
足がバランスを崩した結果、ケガにつながると言われていますし、
臨床や現場でも非常に多く経験します。
評価方法は以下の通りです。
かかと部分をつまんで形が変形しない位の硬さがあれば
ヒールカウンター有りと判断します。
ヒールカウンター有り
ヒールカウンター無し
ヒールカウンターの機能
身体の土台であるかかとの骨が傾くのを防ぎ、身体にかかる負担を
軽減する機能を持つ。
靴によってカウンターの有無や硬さが異なる。
☑️靴底がある程度かたい
歩いたり走ったりする際、どんな形であれ最後はつま先に体重が乗り
体重が前に移動することで「歩行」や「走行」が可能となります。
その際に内側つまり母趾方向に乗ってしまったり、
外側つまり小趾方向に乗ってしまった状態で蹴り出しをしてしまうと
「まっすぐ進む」ということができなくなります。
ということは選手は思い通りの動きができなかったり
不合理な動きとなり、負担が重なり障害を引き起こす可能性
が生じます。
先行文献でも、シューズに求められる機能としての一つに
シャンクによるMTP関節での可動性が求められるとされています。
MTP関節の易可動性は足部のwindlass mechanismをサポートし
前足部の蹴り出し力の補助となる。
(橋本、靴の医学 2018 歩行とランニングのバイオメカニクス )
靴底は「シャンク」というパーツが入っていることで
安定し、蹴り出しをサポートしたり靴や足が過度に捻れないように
機能しています。
シャンク有り
シャンク無し
□スパイクの評価
新品のスパイクもゆがんでいる可能性があり要注意。
こんな風にかかと部分に触れて揺れがあるか確認します。
動画のようにがたつきがある靴もあるので要注意です。
使用していく中で必ずポイントがけずれ、ゆがみが生じます。
臨床的には、こういったポイントやアウトソールの摩耗によって生じた
がたつきが大きい方に障害が生じる例を多く経験します。
靴外側の摩耗圧が増加すれば、かかと接地時の距骨下関節の回外位が増強され、さらに荷重応答期の底屈モーメントの増加も加わることで、
その後の底屈及び前方の荷重が早期に生じる可能性がある
(小出ら、2016 )
□靴のサイズ合わせ
サイズが合うかどうかは靴を購入する一つの重要な要素であります。
皆さんはこんな風に靴を選んではいませんか?
臨床や現場では上記のような、
不明確な要素(多くを感覚に頼っている)で選択していることが
ほとんどです。
このような誤った靴の選択方法は動きを妨げ、障害に直結します。
緩めの靴やサンダルを履いて歩行することは、靴の中での安定性を
求めて足趾が開き気味になると同時に、靴が脱げないように足趾が
上を向く習慣がつく
(矢作、2004)
正しい靴の大きさは、表記サイズで選ぶのではなく、
中敷のサイズで選ぶようにしてください!
具体的には、靴から中敷をとり、かかとを合わせた状態で
中敷の上に立ってください。
自分の足サイズ+1cm(人差し指が横に一本入るかどうかが目安)
が理想サイズと言われています。
正しい靴の履き方
靴には正しい靴の履き方があることをご存知ですか?
グラウンドでは、履き替える時間がないとのことで
靴紐を締めたまま無理に靴に足を入れてしまっていたり
しっかり履けないままつま先をトントンしてプレーしてしまう
選手が非常に多いです。
その状態では靴と足の適合性が悪く、プレーの妨げになったり
障害の一要因となります。
靴紐を緩めた状態で靴を着用することにより、足と靴がフィットせず、
歩行効率が低下する。
(村野、靴紐の着用状態が歩行姿勢に与える影響)
最後に
今回の記事も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
野球だけでなく、どのスポーツにも共通していることは
・靴に必要最低限の機能(ヒールカウンター、シャンク)があること
・自分の足サイズに合った靴を履いていること(足サイズ+1cm)
上記した内容を踏まえて選手の靴をみてみると、様々な発見やアプローチの
視点が増えていくと思います。
今後もCIBのトレーナーメモにて有益な情報を発信していきます。
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