DAY37 30分読書 カギは解像度の高いペルソナ像
本日の本はコチラ
実践 顧客起点マーケティング
著者 西口一希
初版 2019年4月8日
232ページ
著者紹介
ストラテジーパートナーズ体表取締役
P&Gジャパン、ロート製薬、ロクシタンジャポンで、トイレタリーや基礎化粧品などの消費財メーカーの後、スマートニュースに入られてます。
どの経歴も、スゴイ。
ロクシタンを過去最高益を達成したり、
いままでのキャリアからは異業種のスマートニュースを企業評価額10億ドルの国内3社目のユニコーン企業に成長させた凄い経歴です。
そんな西口さんが提唱する一人の顧客を知るということ。
私もトイレタリーメーカーに勤めているので、ペルソナ像を設定する大切さわかります。
得てしてマーケティング部は
『あれも』『これも』と広げすぎてボヤけてしまうこともよくあるんですよね。受け皿を広げて、たくさん拾いあげて売り上げを市場を取りたいんですよね。
この本では真逆で、サブタイトルの通り、
『たった一人の分析から事業は成長する』がコンセプト。
私もターゲットを絞ることでメッセージが尖って売りが際立つので、著者の考えに賛成です。
そのテクニックを知りたくて手にしました。
この本から得たいこと
一人に絞ることで、どんなメリットがありますか?逆に絞り過ぎて読み違えることはないですか?
30分読書を終えて
N=1に絞りこむことは恐れるな!色んなターゲットのニーズを合体した一人のペルソナは、誰にも刺さらない偶像のペルソナ像である。
よくありがちなのは、アンケートを実施して次のようなペルソナ像をつくることです。
自社のターゲットになる人からのヒアリングで
Aというニーズがある
Bというニーズがある
Cというニーズがある
ゆえに、自社のペルソナ像はA・B・Cというニーズをもった人である。
このように結論づけたいところですが、
Aというニーズを持っている人と、Bというニーズを持っている人との属性が違う場合があるので、決してイコールにならないんですね。
たとえば、男性化粧品で考えると、
①しっとり保湿したいというニーズ
②化粧したようなファンデーション効果が欲しいというニーズ
③面倒くさいので、オールインワンで済ませたいというニーズ
が見いだされた場合に、総合して、
『しっとり保湿でき、ファンデーション効果がある、オールインワン化粧品』が男性化粧品に求められると、
結論づけられて商品開発がすすめられます。
しかし、
①のしっとりは30代男性のニーズ
(50代以降は、ベトつかずさっぱりとしたいニーズが高い)、
②のファンデーション効果は20代男性のニーズ
(30代以上の男性はファンデーション効果は求めていない)
③のオールインワンは40代の男性ニーズ
(20代の男性はしっかりスキンケアをしたい為、機能で分けたい)
よって、①・②・③のニーズを満たした基礎化粧品は、
調査結果を元にそのまま商品化しているが、
誰一人として満足しない商品になってしまう結果になります。
このように消費者からのヒアリングで、すべてのニーズを満たした商品が、誰のニーズも満たさない商品ができあがるんですね。多くの人のニーズを満たしたいというメーカーの欲求をいかに抑えるかがポイントです。
本書では、N=1を絞り込むことを恐れないと主張しています。
(Nというのは調査の時の母数のことで、N=1とは、1人からヒアリングすることです)
その背景には、
『N=多数』の調査から得られる結果は、平均値であり、最大公約数でしかないんです。
これでは人の心を揺さぶる、熱狂させる解決策(商品)はできない。
「これが無いと私は生きていけない!」といった熱量を帯びた消費行動にならないと、ビジネスとして存続できないんですね。
これは、大企業でもそうですが、中小企業ならさらに重要です。
そして、個人事業となると最も重要ですよね。
同じ発信内容でも『あなたから聞けたから価値がある』と思ってもらうことで、大企業は太刀打ちできない領域にまで及ぶんでしょうね。まさにオンリーワン戦略です。
ですので、事業の大小に関係なく、
”個”客ベースで考えた解決策=商品
作って、選ばれる事業にしていきましょう、というのが本書の主張です。
不安になるのが、
『N=1で絞るとニッチになるのでは?』という点です。
本書では明確な理由は書かれていません。
私が読み解いた結論は、次の通りです。
一人に注目するからこそ、ほかの人にも響く可能性の高い、強い『アイデア』の手がかりが得られるんですね。
西口さんありがとうございます。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?