参考文献リスト1

現在私が描く「義仲像」のもとになった主な参考文献のリストを紹介します。短大~教員時代~HP木曽義仲の基礎知識開設当時ぐらいまでの分です。

※木曽義仲の基礎知識1987-2017には3刷よりページ追加しています。

※kindle本「木曽義仲の基礎知識」は3刷版です。


●平家物語 市古貞次注釈版
高校時代古典の授業で「木曾最期」を読んで感動し、図書館に駆け込んで借りて初めて読んだ「平家物語」。義仲がどのパートから出てくるかも知らず、最初から読んでしまい、ひたすら平家の事ばかりで疲れ果て、義仲が出てきてヒートアップしたが、木曾最期にたどり着いて満足して本を閉じてしまいました(笑)

●平家物語 上下巻 佐藤謙三校註 角川文庫
短大の授業で使用したもの。流布本系。原文のみで大変コンパクト。流布本は義仲に対して好意的な形容詞が目立つことに30年たって気が付きました。

●平家物語講談社学術文庫版
注釈、現代語訳が載っており、初心者にも大変わかりやすく、大きな本屋で一番入手しやすい。覚一本系。

●平家物語 延慶本 往古書院
●平家物語 J-TEXT長門本
北陸合戦など義仲の軍勢について詳しく書かれている。JTEXTはネット公開されているサイト。なかなか手に入りにくく買おうと思っても高価な本がネットでテキスト化されているとはなんと良い時代が来たものだろうか。

●源平盛衰記 新人物往来社版
高校在学中に新人物往来社で発行が始まり、図書館に入れてほしいと要望したものの、実際書棚に並んだのは卒業後だった。上田高校の図書館に源平盛衰記が今もあったら、それは私のリクエストによるものです。が30年も経ってるからな~

●源平闘諍録(講談社学術文庫版)
平家物語の異本。巴御前に対する記述が詳しいうえに、一般的に知られているものと違うので、興味がある方は見てみてください。

●保元物語 日本古典文学大系31 岩波書店
卒論の時に参考にしたのは岩波書店の古典文学大系だったのですが、他社の古典文学大系だと、信濃武士についての記述が異なっていて、底本によって内容が違うんだなと初めて思った記憶が。信濃武士はモブみたいな存在ですけど、信濃武士調べてたら、困るんですよ!

●玉葉 名著刊行会
●玉葉(訓読)
義仲と同時代人・九条兼実の日記。当初訓読が発行されておらず、短大時代に必死で漢文を読んだ記憶。訓読も現代訳がないので、じっくり向き合う必要がある。淡々とした貴族の職務日記に差し込まれる義仲に対する評価のアップダウン、兼実のポエミーな一面など、生々しい時代の息吹を感じます。

●愚管抄(岩波文庫版)
九条兼実の兄弟・慈円の歴史書。義仲については回顧録。同時進行ではないので、一歩引いたところから書いているものの、仲間を殺した義仲への恨みをふつふつと感じます。
愚管抄を読む 大隅和雄 (岩波文庫)も併せて読むといいですよ。


●信濃史料 3巻 信濃史料刊行会編 発行
信濃史料はいろいろまとまってて便利です。県史とあわせてどうぞ!

●長野県の地名・富山県の地名・新潟県の地名・群馬県の地名・岐阜県の地名・石川県の地名・福井県の地名(平凡社)
短大で義仲を研究しようと思ったのは、高校時代にあれこれ源平合戦にまつわる本を読んだもののぴんと来ず「木曽義仲の長編漫画を描くなら、周りにいるはずの義仲軍勢のキャラクターを調べつくさなくてはならない。ならば史学部では!」と思ったため。しかし、なかなか手掛かりがなく困っていたところ、担当教官だった奥野中彦教授が「地名辞典には様々な地域の豪族が載っているから、関係する県のものを読むといい」と指導して下さった。短大時には長野県の武士を調べるだけで終わってしまったが、その後、図書館などで地名辞典で学び続けることで各県に広げていくことができた。あの分厚い本を苦労してめくったものだが…なんと今は、全県電子化されている( ゚Д゚)検索でちょいちょいのちょい?~私の苦労は…

●上田小県誌 第一巻 歴史篇 上 小県上田教育会 発行
一番最初に読んだ衝撃の自治体史。ここから自治体史マニアが始まった。そのきっかけも短大一年の夏の宿題で奥野中彦教授が「地元の中世史を調べレポートにまとめなさい。そのためには地元の図書館で自治体史を読みなさい」と指導して下さったからだ。そして上田市図書館で何気なく読んだ、上田小県誌には、知らない義仲情報がてんこ盛りだった…「え?上田の自治体史でこんだけ義仲が出てくるってことは、木曽や松本も出てるんじゃ…?」と、開架で上田小県誌と隣り合って並んでいた長野県内の自治体史をあたりかまわず読んだ。そして、長野県内には多くの伝承が残っていること、たくさんの武士たちの足跡を知った。

●長野県史 通史編 第二巻 中世一 県史刊行会発行
自治体史の中でも長野県史は「県」の発行なので、質、量ともに素晴らしい。義仲に関しての基本的な内容は今でも県史をまず読むのがよいと思う。

●小県郡誌 小県時報局 発行
なんと大正時代の自治体史。自治体史には何回かの制作ブームがあって、その第一期のもの。第一期はまだ情報が全国的に均一化されていないため、長い間地元で信じられていたことがタイムカプセルのように閉じ込められていて面白い。

●小諸市誌 小諸市教育委員会 発行
●北佐久郡志 北佐久郡志編纂会 発行
●上田市史
●滋野通記 真田一族の伝記 真田町教育委員会
卒論の際、滋野党について書くために読んだ。上田や佐久の武士が多く参加していて、地元でよかったと感無量になった。

●下諏訪町史
●信濃古代史の中の人々 松崎岩夫著 信濃古代文化研究所
●諏訪信仰史 金井典美著 名著出版
●諏訪大社 信濃毎日新聞社
●義仲のかくし城 島田安太郎著
卒論の際、諏訪神党について書くために読んだ。「かくし城」は義仲を諏訪大社がなぜ応援したかという伝承が大変興味深く、衝撃だった。


●松本市史(昭和8年版)
●西筑摩郡誌
卒論の際、義仲と周辺人物(キソ党)について書くために読んだ。
松本市史には「松本成長説」という衝撃的な内容が記されていて、卒論当時は頭に?が点灯したが、その後松本義仲復権の会の皆さんに松本~塩尻に存在する驚くべき数の義仲伝承をお聞きして、看過ならない重要な論だととらえるようになった。しかし、今の松本の自治体史では闇に葬られていて大変残念。


●中公文庫 日本の歴史7 鎌倉幕府 石井進著 中央公論社
●岩波講座 日本歴史 中世1 
卒論の際、源平期の全体像をつかむために読んだ。義仲の時代・社会を知る入口となった本。
義仲については史料が少なく、自治体史でも限りがあるため、漫画や小説のような作品化を行う場合は、広く同時代の社会について知っていなくてはエピソードを広げることができず表面をなぞっただけになってしまう。まずはこうした「時代をとらえるための概説本」を読み、そこから関係する時間の縦軸と、地域の横軸を関係する本で固めていくことで、自分なりの義仲のとらえ方を生み出すことができた。


【関係論文/歴史系書籍】
治承寿永の内乱論序説(浅香年木/法政大学出版局)
義仲についてのまとまった論文集は史学ではこれしかない。卒論の際勧められたものの、文章が読みにくく当時は読破できなかった。北陸軍勢について大変詳しい。

院政期社会の研究(五味文彦/山川出版社)
義仲と同時代の貴族社会を知るために基本となる本。特に義仲の父についての理解が深まった。

平家物語の形成(水原一/加藤中藤社)
木曽義仲のエピソードがどのような過程で平家物語に収録されていったのかがわかる。文学のカテゴリの論文。

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