身体中の感覚が止まった
これは夢の中。
動けない、と小さなフルーツに手を伸ばそうと泣きながら食べようとしていた。
誰かがあなたらしい名前のフルーツだよ、と言った。
たくさん質問を繰り返される。
ハンデがあるように、時間はかかって当たり前だよ、みたいな声が聞こえた。どういうこと?
夢から解放された。
なのに、目はなかなか開かない。なんで?
必死に開けようとして、やっと重たい瞼を開けた。
意識を戻そうとして、身体中が鎧以上に重かった。
味わったことのないくらいの重さを感じた。
手足が全く動かない。涙も出るはずがない。
感覚を研ぎ澄ませながら、手を必死に動かした。
指に力を入れ、曲げる。やっとの思いで動いた。
足も必死に動かした。上にあげて、寝返りを打つ。
何とか動いたが、身体中はまだ重たい。
明かりをつけ、息を荒らし、呆然とした。
こんなに当たり前のことが当たり前でないのだと
このがんじがらめに生きているかのような
自分の深層心理が現れていたようにも感じた。
動こうと強く思わない限り、本当に動かなくなってしまいそうだった。人は何もかもが原動力で作られているのだと思い知る。
聞こえてくるBGMは、everlasting snow。
歌がわたしを溶かした。
雪を溶かすように、涙を流した。
涙が出ることは、きっと大切な感情の排出なんだ。
動こうと強く思わない限り、本当に動かなくなってしまいそうだった。
身体を起こし、感情が心を動かし、
手が言葉を綴り、口ずさみながら口を動かす。
また朝が来たんだね。
この気持ちは、ふきのとうかな。
ほら、開けるよ、大丈夫だよ。
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