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中国ホテル業界、SARSどころではない大損害、影響は1年続く?スタートアップにはチャンスも

夢のある組立て型「球体」ホテルを開発したスタートアップが紹介された。しかしそれは観光業を立て直してからの話になる。上海国家会計学院会計情報調査センターの新型肺炎に対する調査報告によれば、最も影響を受ける業種は、宿泊業と飲食業と断じている。これら2業種の調査対象企業の70%は、今後半年間、程度の差こそあれ、売上げも利益も前年割れとなり、流動資金の確保すら難しい、と答えている。

国家統計局のデータでは、2003年、SARS時のホテル業界の損失は2768元(4兆4000万円)だった。今回は比較にならない規模になるとみられる。

ホテルデータを扱うSTRによれば、1月14日の国内ホテル客室稼働率は70%だった。それが1月26日には17%に激減した。

こうした状況からヒルトン中国では、すでに150ホテル3万3000部屋が閉鎖されている。2月中旬、ヒルトン・ワールドワイドは、アジア地区総裁と中国地区総裁が話し合い、対応策を各ホテルへ通達した。その内容は、

1 2020年2月、3月の基本管理費、許可費、経営ライセンスの使用費を免除する。
2 営業停止ホテルは、グループの収益管理整合センターのサービス費を全額免除。その他ホテルは半額免除。

ヒルトンCEOは、管理費減免など、パートナーやオーナーと、共同で困難を克服すべきと発言している。また新型肺炎の影響は6~12ヶ月続くと、投資家に報告したことも明かした。その他の国際ホテルグループも、ホテル運営者の負担軽減へ動いている。錦江国際集団、華住酒店集団、首旅如家酒店集団、開元酒店集団などである。

政府も救済に動き始めた。財政部と国家税務総局は、交通運輸、飲食、宿泊、観光業に対しシグナルを発している。これらの事業収入が、全事業の50%以上を占める企業に対し、2020年度の損失繰越しを、通常の5年から、8年に延長する。中小業者には、社会保険料も優遇する。

一方、業務再開のニュースもちらほら現れた。国内5位のホテルチェーン、尚美集団傘下の「蘭欧酒店」では、本部指導の下、マニュアルと政府の要求を満たす、厳格な防疫コントロールを行った。終了したホテルから続々と再開している。また全国の防疫最前線の作業員、医療関係者には、客室を無料提供するという。

宿泊業の一部廃業や再編、縮小は、避けられそうにない。業界に見切りを付ける人も出るだろう。それでも終息後の業界は、スタートアップにとってチャンスとなっているはずだ。


コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/