見出し画像

初めてヒトの死を知った日。

今日は大好きだった祖父の命日。

田舎の漁師町で漁師をしてた祖父。
3時起きで、よく漁に連れていってもらってた。

祖母の作るゆかりのオニギリと味噌汁を
漁船の上で食べるのが好きだった。

海って限界がないというか
ずっと広がっている
大都会で育った僕には
線路や標識がない海を走る祖父の
感覚がなんとも不思議で
尊敬もしていた。

でも気づいたらいつしか祖父は
漁には出られない身体になっていた。

僕がわりと物心ついた小学6年の今日。

卒業間近にして親の都合で転校することが
決まり、最後の運動会だった。

祖父は深夜から早朝に亡くなり
兄弟と病院にいくと
つききっきりで看病していた祖母が
泣きながら僕に呟いた。
泣いていて何をいってるか聞き取れなかった。

でも初めて人間の死を知った瞬間だった。

それでも朝から運動会にいく僕。
自宅は葬儀の準備で親戚が集まっていた。

運動会を最後に転校することが
決まっていたから
親も登校させたかったのかもしれない。

それなのに
母は弁当をつくって届けてくれた。

自分の父親が亡くなった日に
どんな気持ちで弁当をつくって
届けてくれたんだろう。
すごくありがたい。

祖父が亡くなっても
大きな漁船は残り
よく歩いて見に行った。

きょう墓参りには行けないけど
祖父のことを思い返すだけで
これからも見守ってくれている
気がして、また少し優しくなれる。

秋が始まる匂いがするこの時期
ぼくは毎年どんなに忙しくても
祖父の命日には
祖父を思い出して
またひとつ優しくなれる。

天国の祖父に恥じない人生を
これからも選択していく。

最後まで読んでくださり
ありがとうございます!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?