見出し画像

中間振り返り1<転職前夜>

6月1日で、世田谷区副区長任期4年の折り返しを迎えましたので、振り返ってみる

〇人生で一番長い日?

地方自治法第百六十二条に、副首長については「地方公共団体の長が議会の同意を得てこれを選任する」とあります
私の場合、議会の同意をいただいたのが、2022年5月19日でした
当時の職場サイボウズの仕事はお休みし、在宅勤務ですっかり縁遠くなっていたスーツ&ネクタイ姿で世田谷区役所に向かいました
議場のドアの前でしばらく待ち、無事、議員さん全員一致でご同意をいただいた後に、初めて議場に足を踏み入れ、ご挨拶させていただきました。
マイクの位置が低くて、腰をかがめて話したことをなぜか覚えてます

後で「中腰の議員さんが居なくてよかったですね」と言われたのですが、ちょっとよくわからなかったです。
どうやら、あまり賛意がわかないのに、反対するまでもないという場合は中腰で賛成に加わる方もいらっしゃるとのこと。その後、議会で注意してみてましたが、そういう方はいらっしゃらないので、都市伝説かもしれません

その後、議場から庁舎に戻り、辞令交付式、写真撮影、事務引継ぎと進みました
興味深かったのは、事務引継ぎです
ちゃんと立ち合い人がいる部屋の中で、それまでDXを担当されていた副区長さんから書類一式をいただき、引き継ぎ書に両名と立会人が署名捺印するというものでした
もちろん、シャチハタ不可です
この時「ああ、儀式的な世界なんだな」と感じました

その後、ご用意いただいた副区長室に案内いただきました
そこで、あるものを発見し、びっくり
なんと、木製の稟議箱(未決と既決の2つのやつ)

時は1991年、社会人1年目の銀行員だった時、課長と部長の席に置いてあったものと、同じものが目の前に、懐かしすぎる
実際の写真はこちらの記事「さあ冒険を始めよう」をご覧ください

尚、この記事中で挙げたDX推進の敵「紙」「ハンコ」「会議」「前例踏襲」「縦割り」は、その通りでした(今も戦っております)

壁には名誉区民の日野原医師と仲代達也さんの書が飾っており、重みを感じます
一方で、部屋には可動式の大型モニターがあり、ときめきましたが、なんと壊れているとのこと
私の仕事始めの6月1日に間に合うよう修理をお願いしました

最後に、6月1日就任日に開かれる会議のレク(レクについては別で触れます)を受けて、終了

人間、緊張してると、それだけで疲れるものですね
その日は、区長と区CIO補佐官と3人で夕食に
ここで決心した「一店一杯」のゆる宣言は、その後、だれも幸せにならないことがわかり、数か月後に、取り下げました
この辺の話は、以前の記事「サイボウズを卒業します」でふれております
この日は長かった

5月30日 区長の定例記者会見にて、ご挨拶させていただき、NHK等のメディアに、23区ではIT企業出身の初の副区長として取り上げていただきました

〇世田谷区の副区長体制

長い間、副区長は2名体制でしたが、2020年6月議会にて、副区長枠を3人に広げる条例改正が行われ(世田谷区副区長定数条例の一部を改正する条例「副区長の定数は、3人以内とする」)、仕組みは整いました
背景には、世田谷区の人口は増加の一途で、現在、92万人と23区の中でも一番大きく、また、それまで東京都が所管していた児童相談所機能を区に移管するなどもあったとのこと

そして、実際に3名になったのは、2020年11月、その後、2021年9月に二人に戻りましたが、2022年6月に松村が3人目の副区長に選任いただきました

その間、役所の中では、誰が3人目になるのか、いろんな噂が飛び交ったのではないかと推測します
ちなみに2024年6月現在で、23区で副区長3人は世田谷区だけ

〇松村選任までの環境

・世界的にDX(デジタルトランスフォーメーション、以下DX)ブーム到来
・お隣の渋谷区では、2015年に博報堂出身の澤田氏が副区長に就任し、
 2019年の渋谷区役所新庁舎整備もあり、DXが一気に進む
・2021年9月 デジタル庁発足
・東京都でも、ヤフーの社長、会長を務められた宮坂氏が、2019年に副知事に就任しDXの指揮をとられる

2022年以降、民間経験がある副首長は、江戸川区、千代田区、掛川市、裾野市と広がってきており、ICT関係の方が多いです(もっとあるかもしれません)

〇議会とのやりとりと区役所内の動き

議会の議事録などからたどると
・2020年6月 議会で初めて議員さんからの質問の中に「DX」という言葉が登場
・2020年11月 区長の議会招集挨拶でDXに力を入れていくと方針説明
 「DX、デジタルトランスフォーメーションに向けたさらなるICT推進についてです。時代の要請を的確に捉え、自治体DXを中心に据えた改革に取り組む準備をします」
・2021年2月 外部CIO補佐官(非常勤)が就任
・2021年3月 世田谷区のDX推進方針ver.1策定(現在はver.2に進化)
・2021年4月 業務改革推進チーム、DX推進チームが一緒になりデジタル改革を推進する専門部に
・2022年3月 議会にて「DX推進と地域行政、本庁舎整備を統括する特命担当副区長を新たに選任し、改革を強力に進めていくこと」を議員さんから要望&提案される
区長からは、DX推進担当部を立ち上げ、民間からの専門人材も登用し、DXの推進体制を強化して取り組む。特命課題に当たる先見性のある三人目の副区長の登用については、先進自治体における登用や役割も注視しながら、時期を逸することなくしかるべき判断すると回答
・2022年4月 ICT推進課とデジタル改革を推進する専門部が一緒になってDX推進担当部が発足
・2023年4月 松村の担当が、DX推進担当部に加え、地域行政部も加わる

こうやって並べてみると、世田谷区が「デジタル」「DX」をキーワードに世の中のうねりとともに変化していく様が見て取れます

今回のノートを書くにあたり、初めて自分が転職する前の議会議事録を見たのですが、地域行政部を2年目で担当させていただいた理由など、新たな発見もありましたし、
関係者の皆様の熱い期待とともに、重責を改めてひしひしと感じた次第です
心身共、折れないようにしながら、更に動いてまいりたいと思います

~おまけ~

7月7日は東京都知事選挙です
役所に転職して感じたのは、
「小学生の時、社会で習った議会制民主主義が目の前にあることに感動」
「先人たちが築いてきた議会制民主主義はけっこうよくできた仕組みだ」
「投票率が高いとより機能する」
ということ

なので、ぜひ、選挙権がある人は、自分事として
・気になる候補者を見つけて、公約など眺めてみましょう
・そして、投票しましょう!
期日前投票もできますよ

*写真は三軒茶屋の小劇場シアタートラムです

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?