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二本松探訪記~2024.8.3(後編)
さて、お待ちかね?の後編です。
城報館を出てから、台運寺の昨非様の墓前で手を合わせ、その後亀谷坂にある「露伴亭」に足を運んでまいりました。
昨年秋(11/5)のときに撮影した写真の使いまわし(スリランカカレー)なのは、ご勘弁を。
一応追加情報として、サラダにちょこんと載っている「亀さん」は、やはり亀谷坂の「亀」と、健康長寿を願って模ったものだということを、確認できました。
![](https://assets.st-note.com/img/1723180786492-NNhm095KWe.png?width=1200)
嬉しかったのが、昨年秋にここに「白露」の小冊子を置いて頂いたのですが、そのことを従業員の方々が、覚えていてくださったこと!
それだけにとどまらず、たまたま遅めのお昼を頂いていた従業員の方々から、数々の貴重なお話を伺うことができました。その中には、現在連載中の「鬼と天狗」で活躍されているある藩士のご子孫が、今でも二本松にお住まいだという情報も。
(※鳴海のご子孫ではないです、念の為)
そこへ、数楽カフェの参加者が次々と合流。今回私は飛び入り参加だったのですが、気持ち良く御仲間に加えていただきました。
嬉しいことに、露伴亭の方々が「白露」を宣伝してくださいまして、参加者のお一人は大層熱心に「白露」を手にして、お読みになられてくださったのです。持ち帰って読みたい!とまで仰って頂きまして、これは本当にご興味を持って頂いたに違いありません。
また、彼女からは「白沢学(旧白沢村に対する郷土学)」というものがあるのも教示していただきました。
そんなご縁もあり、露伴亭にはもう少し「白露」の冊子を寄贈させて頂くことになりました。
→次回の訪問時に、お持ちします。
肝心の数楽カフェ
露伴亭の裏手には、「ろうそく亭」という別邸があります。数楽カフェは、そこで毎月第1土曜日に開催されているとのこと。
先に書いたように、二本松藩では算術の学習も活発に行われていました。二本松藩が……というより、二本松・田村郡を中心として和算研究が盛んだったという方が、正解かもしれません。
二本松藩の場合は、「鬼と天狗」でも少し紹介しましたが、渡辺東岳先生がその道の大家として有名です。知る人ぞ知る、二本松少年隊を率いた木村銃太郎の曽祖父ですね。
そんなわけで、現在でも二本松では「和算」を研究しているグループがあり、数楽カフェはその活動の一つというわけです。
今回講師役をされていた五輪教一先生は、実は県内でも有名な数学研究者だというのを、リサーチ中に知りました。
……が、カフェそのものは和気藹藹としたアットホームな雰囲気の中で、開催されている次第です。
今回の数楽カフェは、露伴亭のHPでも少し宣伝されているように、9/28に二本松で上映予定の「算法少女」についての意見交換会から始まりました。
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算法少女は江戸時代安永年間に「壷中隠者」という作者によって書かれたとされています。どうも実話(というか算術レポ)らしいのですが、私でも読めない^^;
(→くずし字による記述のため)
そこで、1973年に遠藤寛子さんが現代語訳を出版し、さらにそれをアニメ化したのが外村史郎監督だそう。この外村監督が制作されたアニメが、二本松で9/28に上映予定というわけです。余談ですが、なぜこの日かというと、9/28は幸田露伴が来松した日だからだそうですよ。
算法少女に関しては現代語の本も出ていますから、私の場合、映画よりも先に本から入るかもしれません。
銀行の積み立てと完全数
次に、前回のおさらいからです。私は今回が初参加でしたが、「初日1円、2日目2円、3日目4円……と積み立てていくと、n日目の総額S円はいくらになるか?」という問題です。
レジュメではわかりやすく10日で区切ってありましたが、あれですね。初項1,公比2の等比数列の和の問題です。
私も数列を扱うのは、久しぶりでした。
そこから、話は「2」の持つ性質、そして配られたレジュメの「おしい!」の真意について。
例題にあった、次の3つの数の約数とその和について、盛り上がりました。
32=2^5(真の約数:1・2・4・8・16)
6=(真の約数:1・2・3)
28=(真の約数:1・2・4・7・14)
※真の約数とは、ある自然数についてその数自身を含まない約数を指します。
そして、皆でこれらの数について、約数を全て足すと元の数と同じになることを確認しました。
実は私、このパターンには既視感があったので、絶対に何か取り上げた意味があるはず!と思っていたのですが、この日は判明せず……。
後日調べたところ、これらの数は「完全数」であることがわかりました。
※完全数:自分自身が(自分自身を除く)正の約数の和に等しくなる自然数のこと。
もっとも、カフェでは「完全数」など難しい言葉を説明せずに、数の不思議に触れていきます。私がたまたま知っていたのは、青柳碧人さんの「浜村渚シリーズ」の第6巻で、「メルセンヌ素数」絡みで完全数に見覚えがあったからでした。
折り紙で作る正五角形
休憩を挟んで次に行われたのは、「折り紙」を使って考える幾何の問題。今回は、折り紙で正五角形を作ってみようという課題でした。
この理論に関しては、多分「中点連結定理」で説明ができるのだと思います。が、「なんちゃって理系」出身の私には、折ってみるだけで精一杯……。
これは、次回のカフェでの解説に期待したいです。もっとも、私は自転車返却の時間の兼ね合いで途中で退席したので、実際には解説まで行われたのかもしれません。
カフェでは先生から配られた紙の折り紙で五角形を作り、それを2組作って上手に組み合わせると小さなポケットを作れるところまで確認しました。
もっとも、「中の構造が気になりますよね」という話が座上で出たので、後日、100円ショップでビニール製の透明折り紙を購入し、再度チャレンジしたのが下記の写真です。
1.最初に縦二つ折りの折り目(中点①)を両端につけます。
![](https://assets.st-note.com/img/1723180952617-zbg0x2lKp8.png?width=1200)
2.次に、横二つ折りの折り目(中点②)の印をつけます。
![](https://assets.st-note.com/img/1723181023883-R6zzwyUEid.png?width=1200)
3.同様に、下半分の縦辺の中点③、その半辺の中点④をつけていき、④の中点に沿って下辺を上の方に折り曲げます。
(4の図参照)
![](https://assets.st-note.com/img/1723181065202-Lu2TKSrX7G.png?width=1200)
4.次に、下辺の中点①を目指して、順番に角を折っていきます。まずは左上の角から。
![](https://assets.st-note.com/img/1723181109121-nBeebWbYLZ.png?width=1200)
5.右上角を折り曲げます。
![](https://assets.st-note.com/img/1723181152128-zZr2cBEWQr.png?width=1200)
6.③の左下の角を折り曲げたところ。
![](https://assets.st-note.com/img/1723181230202-YSO7h4CYdq.png?width=1200)
7.最後に、右下④の角を合わせたところで完成です。
![](https://assets.st-note.com/img/1723181258162-RHL5RZK4B2.png?width=1200)
また、同じものを2枚作り、それぞれの折り曲げたところをうまく隙間に挟み込むと、ポケット状になります。
もっとも、少しでも中点がずれるとなかなかうまく組み合わせられません(苦笑)。
![](https://assets.st-note.com/img/1723181269893-CybE6AGCUy.png?width=1200)
これは、比較的きれいにできたものです。何となく、中で折り曲げられた様子がおわかりになりますでしょうか。
![](https://assets.st-note.com/img/1723181291956-E6UmBVOYZ0.png?width=1200)
私は大雑把な性格が祟って、上手く組み合わせられずに四苦八苦しました^^;
ご興味のある方は、お子様と一緒に折って楽しんでみてもいいかもしれませんね。
算術と二本松藩
先に述べたように、二本松藩では算術の研究も盛んに行われていました。この背景としては、二本松藩が元来土木設計・工事に強い藩風だったのも、影響していたのではないでしょうか。
たとえば、現代でも測量士の試験の科目では「三角関数」の問題が含まれています。高校の数Ⅰの「三角比」では、三角比の知識を使ってビルや木の高さを計算する問題が出題されることがありますが、江戸時代も、同じように藩政にその知識が活用される場面があったのだろうと、私は思います。
また、「白露」を熱心に手にしてくださった方がお話されていたのが、二本松藩の「算術研究」の遺産は、明治に入ってから設計・開通された安積疎水でも活用されたのではないか……ということ。安積疎水は「ファン=ドール」が主要設計を行ったとされていますが、実務で測量に当たったのは、地元の人間らが中心だったと考えられます。その折に、旧二本松藩の測量の知識、すなわち算術も大いに貢献したのではないかというのが、その御方の考えです。
もしもその考察の通りだったとすれば、たとえ故郷が焦土と化しても、藩政時代の知識は後々まで旧領民のために役立てられたことでしょう。
他にも、亀谷坂についての他愛もない質問(地元の人が見る傾斜のキツい坂ベスト3)で、実は露伴が立ち寄った頃の亀谷坂はもっと傾斜がきつかったということを教えていただきました。
亀谷坂は何度か切削工事を行って急な坂を改善しているのだそうですが、そうした工事でも、かつての知識が役立てられたのでしょうか。
時代を越えてもなお、二本松藩の人々が故郷のためにその知識を残してくれたと思うと、感慨を覚えずにはいられません。
※ちなみに二本松における傾斜のキツい坂ベスト3は……
1.久保丁坂
2.亀谷坂
3.新丁坂
だそうです。
おまけ~二本松の銘菓
自転車を返却してすぐに帰りの電車に乗っても良かったのですが、ここで本町にある「日夏」さんへお邪魔してきました。
実は私が日夏さんのヘビーユーザーであることが、遂に睦会総会で暴露されてしまった次第です(笑)。
※日夏さんは、二本松藩の剣術指南役のお一人であった日夏弘道先生の末裔です。
今回も店頭で何を買おうか散々悩みましたが、今回は涼菓を求めました。
左2つは「瑞果」というゼリー(梅&ラズベリー)と、右は「葛バー」(みかん味)。
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瑞果は、ぷるっとした食感のゼリーです。原材料を拝見した感じでは、ゼラチンではなくゲル化剤を使用して、ぎりぎりまで柔らかく仕上げた感じでしょうか。梅味は梅の甘露煮が入っており、ラズベリー味はほのかな赤ワイン風味のゼリーの中に、ラズベリーが入っていました。
また、葛バーは期間限定で須賀川のflattoでも販売されています。
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こちらは、先に須賀川で購入したときの写真。
葛バーは一見アイスキャンディーのようですが、フルーツ風味の葛餅を凍らせたもの……といったところでしょうか。
シャリシャリしていて、そのままでも少し溶けかかっても美味です。
→須賀川のflattoさんのスタッフも、絶賛しておりました。
他には、ブルーベリー味、白桃味、甘酒味などがあります。夏の街歩きで疲れた後のおやつに、ぴったりですね!
そんなわけで、今回も実りの多かった二本松訪問でした。次回も、どのような出会いがあるのか、楽しみです!
これまで数々のサポートをいただきまして、誠にありがとうございます。 いただきましたサポートは、書籍購入及び地元での取材費に充てさせていただいております。 皆様のご厚情に感謝するとともに、さらに精進していく所存でございます。