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きさらぎ終わり、弥生へ

あっという間に過ぎ去った2月ですが、私は「如月」(きさらぎ)の響きが好きです。
12ヶ月の旧暦の呼び方の中で、唯一「〇〇つき(づき)」と読ませないため、古典の知識としてなかなか覚えにくかった読み方でもあります。

ウェザーニュースさんによると、「まだまだ寒い時期で衣更着(きさらぎ)、重ね着をして寒さに耐え忍ぶ時期を指す」言葉に由来しているのだとか。
みちのく住まいの私としては、「2月?まだまだ冬じゃない」という感覚ですが、新暦で約1カ月後を指すと考えると、確かに春の訪れを感じる時期なのかもしれません。

また、各種の春の異名が素敵なので、ウェザーニュースさんの画像をそのまま拝借しました。

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そして、弥生。
最近はあまり使われないかもしれませんが、女の子の名前としてもポピュラーな呼び方ですね。

「どうして『弥生』だけが、名前として用いられるのだろう」と不思議だったのですが、
「弥(いや)」が「いよいよ」「ますます」という意味で、「生(おい)」が「芽吹き」を意味する。
女の子の健やかな成長を願った人々が、縁起の良い名前として付けてきたのでしょう。
2月の「梅」に対して、3月の「桜」。

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あいにく、みちのくで3月に桜が開花するのは今でもまれですが(暖かい年には、3月下旬にいわきから開花することもあります)、昔は梅の花で花見を楽しんでいた時代もあったのだとか。

また、私が密かに楽しみにしているのが「桃の花見」です。
福島県内で桃の主要産地は、県北エリア(福島市周辺)が中心なのですが、私の住む地域の郊外でも栽培しています。
「3つの花が一斉に咲く地域から『三春』と名付けられた」なんていう地域もあるくらいですが(田村郡三春町。伊達政宗の正室の出身地)、私の実感では「梅」→「桜」→「桃」(ほぼ同じくらいに、リンゴや梨の花も開花)という順番で、開花していきます。ただ、桃の花見を楽しむ人は、あまり聞いたことがないかもしれません。

「桃源郷」というのは東洋のユートピア的な例えでよく使われますが、実際に「桃の花で薄紅に染まる」光景を見たことがある人って、案外限られるのではないでしょうか。


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ところで、noteでも「3.11」から10年を取り上げる企画が立ち上がっていますね。

Twitterでもやはりこの10年を振り返る人が多いのですけれど、私も挑戦しようと思いつつ、なかなか取り組めないでいます。

御存知の通り、福島の10年を語る上で原発事故はどうしても避けられない話題なわけで、地元メディアはどちらかと言えば、ネガティブな切り口で伝える手法が多いのが現状です(「まだまだ復興とは呼べない」みたいな)。

その方が地元民の心を揺さぶるからであり、一部の地域では事実だからでしょう。ただ、逆にそれが福島に対して画一的にネガティブイメージを植え付けている一因になってはいないでしょうか。

実際には、Twitterの反応などを見ていると、案外地元メディアが伝えるよりも福島に対して肯定的な反応が多いのに、勇気づけられることも多々あります。



そして、「頑張ろう」をキャッチフレーズにするのではなく、そろそろ「福島のモノはクオリティーが高いから買いたい、出かけたい」の方向性に、シフトする時期なのではないかというのが、私の感想です。

原発の問題については、まだ片付いていない問題や、当初予想されていなかった事態もあるのは確かです。
ですが、原発誘致に至った背景などを調べるほど、「3.11がなくても、福島でなくても、原発立地であればどこでも起きる可能性のあった事故」でもあると思うのです。

だからこそ、今できることとして、商いの基本に立ち返って「いいものだから、自信を持って商品や情報を提供する」。
私が「福島応援~」の記事を書く際に、心がけていることでもあります。
3.11があったから「Fukushima」を特別扱いするのではなく、福島でしか体験できない「Specialityな福島」の演出へ。
それが、今後の福島の活路のカギとなるような気がしています。

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希望を秘めつつ耐え忍ぶ「如月」から、新たな創生の月としての「弥生」へ。

月の変わり目に、そんなことを考えた一日でした。

追記:今日のアイキャッチは、やはり昔の写真から発掘した花見山公園の写真です。足腰が頑丈なうちに、出来ればまた訪れたい名所の一つ。





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