【直違の紋に誓って】第三章 若木萌ゆ~出水(4)
その知らせが届いたのは、鹿児島との連絡がついた七月下旬だった。別働第三旅団は、新撰旅団に後任を託す形で、解団するとの伝達があった。既に、川路は東京に戻されている。一説によると、川路は西郷を監視するために、多くの密偵を放ち、西郷の暗殺を図っていた。また、宇都を初めとする郷士に対しては、「地ゴロと馬鹿にされた悔しさを思い出せ」と盛んに巡査としての仕官を勧め、薩摩の者同士の戦いを促した。結果として多くの薩摩人の怨みを買い、それを危惧した大山巌らが、川路を外すことを決めた。
それ