直違の紋に誓って~Spin Off ~掌中の珠玉(4)
伊都の身に変化が生じたのは、それから三月程経った頃だった。
月のものが止まり、食が進まない。食べた物もすぐに吐いてしまうし、間違いないのではないか。
医者に見せると、「三ヶ月ですな」とあっさり言われた。
もちろん、伊都が真っ先に告げたのは剛介だった。
「本当に?」
剛介は伊都を抱きしめながら、囁いた。
「正月頃に生まれるそうです」
伊都の声は、はずんだ。剛介の子供が、自分の胎内に宿っている。そう思うと、天にも昇る心地だった。
「あの、東山の出湯のときか」
「いや。仰っし