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コミュニケーションギャップはなぜ生まれるのか?

指導をしている際に、つい感情的に選手に声をかけてしまう、または自分の伝えたいことがうまく選手に伝わっていない、選手のプレーが変わってこないなどの悩みを抱えていないだろうか。

それは指導者自身がどのような思考で選手にコーチングをしているか、選手がどのような思考プロセスでプレーをしているかを整理することで、改善することができる。

参考にしている書籍はこちら。

観察→判断→実行ループを回す

先に結論から。

指導者や選手がなにか行動を起こす時には必ず、「観察→判断→実行」のサイクルが回っており、その基準を揃えることで指導者のコーチングがわかりやすいものになり、また選手のプレーにも良い変化が生まれる。

  • 観察・・目を揃える

  • 判断・・頭を揃える

  • 実行・・呼吸を揃える

特に練習中でのフリーズコーチングや試合分析においてはこの3つの基準を明確にすることで場当たり的な指導をなくすことができ、選手との意思疎通の助けになる。

観察・・目を揃える

観察とは起きた現象に対して「事実」を整理することである。
その観察において重要なのは「視点」を揃えること。

視点とは「何をみるか?」であり、その人の中に「視点」がないモノ、または見たくないモノは見ることができない。

サッカーの視点としては、ボール状況、味方の位置、敵の位置など多くの要素が挙げられる。

例えば、A選手からB選手へのパスがインターセプトされた場合。

指導者には、「A選手のパスの質」、「B選手のサポートの位置」、「C選手の立ち位置」など多くの視点を持っているからこそ多くの事実を踏まえて判断ができるかもしれないが、選手たちに「A選手のパスの質」という視点しかなかった場合、B選手やC選手自身が気づいてミスから改善されることはないだろうし、他の選手も本当の原因を発見できることはないだろう。

つまり、まずはサッカーにおいて何を見るかという「視点」を選手と指導者で揃えて、現象に対して同じ事実を見れることが重要である。

これは個人的な主観だが、往々にして自分には見えているモノは他人にも見えていると思い込んでいることが多い。

選手と指導者で共通の視点を持つためには、サッカーにおいて何を見るかという視点を揃えることが重要であり、また、選手たちには複数の視点を持ってもらうことで、彼ら自身がミスから学び、改善することができる。

判断・・頭を揃える

選手がピッチでプレーを実行する時、自分が見た事実(インプット情報)から「自分の価値基準」をもとに判断をしている。

つまり、同じ「視点」を持ち、指導者と選手で同じモノを見れたとしても、この「価値基準」が揃っていないと判断が変わってしまい、めざしているプレーが行われることはない。

この「価値基準」を揃えるために有効なのは「ゲームモデル」になる。

逆に言うとこのゲームモデルが決まっていないと、起きたプレーに対して個人の経験が「価値基準」になり、スタッフからの指示がバラバラになる、またはピッチ内で影響力のある選手の指示が正となる、といった現象が起きる。

個人的にはこの価値基準の不明瞭さが、指導者の指示が伝わらない、またはプレーの改善がなされない大きな要因だと考えている。

チームにとって何が良くて、何がダメなのか。この価値基準を言語化してあげることで、観察した事実から得たいくつかの選択肢から優先順位をつけて正しい判断ができるだろう。 


実行・・動きを揃える

実行とは、仮説をもとに検証し、その検証結果から視点と価値基準のアップデートのサイクルを回していくことである。

チームや個人として、理想の状態とのギャップやプレーの失敗が生じた時には、正しい視点が欠けていた、もしくは価値基準が間違っていたことが理由としてあげられる。(もちろんシンプルに技術の問題の場合もある)

例えば、「A選手がB選手へ裏のスペースにボールを出したが、B選手は足元に受けにきた」というケースの場合、その理由はB選手のマークの選手の重心をどちらかの選手が見ていなかった(そもそも見ようとしていなかった)という視点の不揃いの問題からなのか、両選手とも相手のマークの重心を見ていたが、なにか別の狙いや優先すべきことがあったのかという価値基準の不揃いの問題なのかというような検証が必要である。

その検証をもとに、仮説を立ててTRYを行い成功することで、どちらかの選手の視点や価値基準のアップデートが行われていき、行動が揃っていくのである。

上記のように選手だけでは気づかない視点であったり、選手の価値基準が揃っていないことを指導者側からアドバイスやヒントを上げていくことで指導者と選手のコミュニケーションだけでなく、選手同士のコミュニケーションもうまくいくようになるだろう。

本記事のまとめ

以上、指導者が選手のプレーを改善するにあたり、必要な揃えるべきことをまとめてみました。

目を揃える・・チームとしてサッカーを見るうえで捉えるべき視点の統一
頭を揃える・・チームにとって良い悪いの価値基準の統一
動きを揃える・・チームの理想の状態から試行を統一

普段なんとなくやっていることを今一度、自分の中で言語化することで自分自身はまた大きな気づきを得られた。

このフレームワーク、ぜひ活用してほしい。




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