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Twitterの使い方講座を書いたすぐ後にTwitterそのものが動揺している話

 Twitterの使い方講座

みたいなのをこさえた瞬間、トランプ大統領のアカウント永久凍結の報が流れてきて、つくづく時流を読む力がないなあとなっている人です。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 私はこの事件に対しては、いち企業のサービスであるからTwitter社の裁量で障害となると判断しうるだけのユーザーを排除するのは妥当、という立場を支持しません。
 Twitterは公共性の強いサービスであり、ユーザーの知る権利を確保するという意味合いでもいち企業の裁量で判断できる範囲を大きく逸脱しており、Twitter社の対応に行き過ぎたところがあると思っている立場です。

 もちろんいかなる暴動を支持するものではありませんので、念のため。


 今回の件で最も怖いのが、非常に多くの人にこの措置がトランプ大統領やその支持者だけで終わると思っているフシがあるところです。

 私が多くの考えを参考にさせていただいている人が、

 「アメリカを非難した外国の政治家のアカウントが消される社会」まで、半歩先、とおっしゃっていましたが、私もまさにそのような懸念を持っているのですよね。
 
 この手の騒ぎで鬼の首を取ったように喜ぶ人を見るにつけいつも思うんですが、どうして自分も同じ目に遭うことを想定しないのだろう、というのが不思議でならないんですよね。
 その問題の是非とはまったく関係のないところで、他人が受けている理不尽が自分に降り掛かってくる可能性だって、大いにあるわけで。その危険性はずっと念頭に置いておく必要はあるはず。
 自分だけは大丈夫、という絶対の確信でもあるんでしょうかね。
 
 かつて全体主義の台頭を許したドイツ、そのメルケル首相をはじめとした欧州が今回のTwitterの措置を批判しているのが印象的ですね。
 欧州からすればもはや対岸の火事ではないのだと思います。

 トランプ大統領に大きな非があり今回の措置は緊急時であったから妥当な措置である、とこの場はなんとかやり過ごしたとしても、悪しき前例として将来に非常に大きな禍根を残すと思います。


 かつて私は絵描きさんのTwitterアカウントが相次いで凍結されるという騒ぎがあった時に『Mastodon』というサービスが移住先としてもてはやされた時にちょっとしたコラムを書きまして、それがほんの少しだけ注目されたことがあります。

 『Mastodon』はTwitterの代替となりうるかもしれない、とほんの一瞬、一部ユーザーの間で本気で考えられていました。

 しかし、呼応したのは一部だけで、『Mastodon』への集団移住は起こらなかった
 日本最大規模の『Mastodon』内コミュニティ(インスタンス)3拠点のうち2つはすでに閉鎖されました。

 残った規模第1位の『Pawoo』も、総ユーザーの数でいうと65万人(2021年1月現在)ですが、冬眠アカウントが多く、なおかつ絵描きさんのコミュニティの延長という性格上、Twitterのような多様なユーザー、社会性を獲得するには至らない、というのが現状です。
 
 Twitter上で何かが問題となり、移住、といった話が出るたびに真っ先に名前が出てくる程度には『Mastodon』は知られているものの、そのたび失敗していることから、現在は有力な候補先とは見られていません。
 
 初期からの『Pawoo』推しである私からしましても、ユーザー数が増えてほしい思いはありますが、かといってTwitterのように社会的な問題で紛糾するようなギスギスさとは無縁であってほしいとも願っているので、今後ゆるやかに増えてほしいものです。



 話が脱線気味になりましたので、もとに戻しましょう。
 言うまでもありませんが、今回のトランプ大統領の件は、絵描きさんの凍結で問題になった時と比べて、あまりにも与える影響力が違いすぎる。
 
 『Twitter2』というインターネットミームなどもあったりしますが……
 今度こそ、真面目にTwitterからの『移住』を検討しはじめている人はそこそこいらっしゃるのではないでしょうか。
 
 しかし、ではどこに? となった時、有力な移住先がない、というのが、多くの人が抱く悩みなのではないでしょうか。
 『Instagram』や『Facebook』、『TikTok』などソーシャルサービスはほかにも多数ありますが、ユーザー層が異なっており、代替としては候補に挙がりづらいところがあると思います。
 
 私も『Mastodon』の移住が失敗となってからというもの、新たな拠点を見つけ出せずにいますし、この記事でここだ!と言うこともできません。

 利用しているユーザーが多い、というのは他のすべての不利を覆い隠す程の圧倒的利点です。『Mastodon』の移住話が出ても結局大多数のユーザーがTwitterにとどまったのも、そこが最大の理由でしょう。

 しかし数の絶対的優位がひとたび崩れた時に、他サービスの後塵を拝することだって充分にありえるのです。

 かつて国産サービスとしてすさまじい勢いを持っていた『mixi』から『Twitter』への大量移住が発生したように、または『ニコニコ動画』から『YouTube』へ動画配信の主役が移ったように、『Twitter』の日本における地位も絶対ではありません。

 現代はエンタメコンテンツなどが最たるものですが、勢いのあるものや人が話題を総取りする、ムーブメントの一極集中が顕著です。
 ひとたび有力な移住候補となる場所が出てくれば、そこになだれ込むことだってありうるでしょうね。
 今後はそれはどこなのか、見極める必要もあるかと思います。

 逆に今回の騒動ほどの規模でTwitterからの移住が起こらないのならば、誠に遺憾ながら、しばらくは現状維持で安泰でしょうね。なにせ対象が現職の経済力世界一の国のトップ、これ以上強い衝撃というのはなかなか考えづらいですから。


 にしてもインターネットの時代であるとしても、運営主体を会社そのものをある国へと置かなければいけない関係上、国家との関係は分かつことができないんだなあ、というのが今回の発見ですね。
 Twitterはワールドワイドなサービスであったとしても、アメリカの企業であるので、アメリカ本国の危機となれば緊急措置を取らざるを得なかった、という意味では、グローバルと言われていたものも実はローカルな事情に大きく縛られることが明るみになったのは大きいと見てます。
 こういう時にさんざん批判していたはずのアメリカ第一主義が出てしまうというのはなんとも皮肉なものです。

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