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FF16ネタバレあり感想とFFというシリーズが抱えてしまった物

50時間ほどでサブクエスト全てとメインストーリーをクリアしました。

総評としては良かったと思います。傑作かと言われるとそこまでとは言えないんですが、良作だと感じるぐらいには良かったです。

(※因みに最近傑作だと思ったゲームは特にないので、個人的な評価基準では良作でも既に高評価ですね)

補足情報として私が好きなFFは9です。なんか旅情があるので、同じ理由でFF8も初めの方は好きです。

では前置きはこれぐらいにして、FF16のストーリーについて書いていこうと思います。
FF16は、恐らく目指しただろう最短距離で完結させる物語としては及第点ではあったと思います。王道的で、分かりやすいストーリー展開ですね。
残念ながら設定上登場する国家の技術水準がほぼ同じ、かつ限定された地域が舞台なので、旅情はあまり感じなかったのですが、これは10以降ずっとそうなので仕方が無いです。
14とかオンラインのFFはちょっとやってないのでわかりませんけども……。

ただ、個人的に感じたのはエンディングが少し物足りなかったかなと思いました。
プレイヤーに想像させるというのは良いのですが、遊んでくれた誰もがクリアできるゲームのエンディングとしては少し齟齬があったかなと。
少し強引にでもハッピーエンドにした方が広い層には受けが良かったと思うんです。
個人的には少なくともジルとトルガルがクライヴを探しに行くぐらいの展開はスタッフロール前に挟んで欲しかったなと……。
ジルもトルガルもクライヴが生きているか死んでいるかはどうであれ探しにもいかないという事はあり得ないと思うのですよ。
トルガルは行方不明になったクライヴを探し続けて、クライヴが使っていた木剣を集めたり、ストレスから足を噛んでしまっていた訳で、ジルにしても、灰の大陸の浜辺で「何があっても、私があなたを見つける」と言っている。
なので、トルガルとジルがクライヴを探しに行くシーンさえあれば、私はもっとずっと満足したはずです。
(もし仮にクライヴは死んでいて、子供が生まれたシーンで既に遺体を回収されていたら誰もクライヴを探しに行かない理由は解るんですけど、そうするとあのシーンでメティアが消えて、ジルが嘆き始める意味が分からなくなる。まぁただ、そもそも生死を確認してないなら皆が探しに行くと思うんですけども……。或いはどうしてもそれよりも子供が生まれるシーンが描きたかったんだとしても、それでもジルとトルガルぐらいは探しに行かせても良かったんじゃないかなと)
その一点だけが惜しいなと思いました。

朝日を見て嘆くのを止めたジルが立ち上がって「行きましょうトルガル」というとか「何があっても、私があなたを見つける」と言ってトルガルを連れて歩き出したら
もうそれだけで良かったと心の底から言えたと思います。満足感と共に個人的な評価は良作ではなく名作になっていた筈です。本当に惜しい。


以上が個人的なFF16のストーリー感想です。
ここからはネットで読んだ意見なんかも考えながら、ついでにFFというシリーズが抱えてしまった物について少し触れます。

クリア後にネットの感想などを漁っていたら、評価する声と共に様々な批判や不満も目にしました。中でもストーリーについての不満は4Gamer.netのレビュー記事が割とまとめ的なものに成っている気がしたのでリンクを張っておきます。

全員がそうでは無いと思いますが、確かに中盤にラスボスが登場しそこから一直線にその討伐に物語が向かう所が不満を抱かれる部分なのかなと思いま
した。

此処からは完全に個人的な考えになりますが、ラスボスを早々に登場させた事で分かりやすくはなった本作ですが、一方で体験版に含まれている序盤。召喚獣合戦という言葉から戦記物だと思っていた人にとっては意表を突かれてしまったのではないかな?と。
まったく零という訳では無いですが、設定上決定的な召喚獣戦は主人公対敵対召喚獣という構図に成ってしまうので、国家の最強戦力同士の戦いや、そもそも国家間戦争という構図が中盤からはほとんど消えてしまいますしね。
ヴィヴィアンも単なる状況説明キャラに成ってしまっているというか、イベント以外で話しかける意味があんまりなかったり……。

まぁ、開始時点でロザリア公国は滅んでいるし、鉄王国は立地と保有戦力の問題で途中から動けなくなるし、クリスタル自治領は空気で、ウォールード王国とダルメキア共和国は同盟を結んでいて、ザンブレク皇国は結構動くけど、動いたところでダルメキアともウォールードとも決定的に衝突はしないというか、ダルメキアのフーゴは国家うんぬんよりも主人公憎しで行動してしまいますし、ウォールードはそもそもアルテマの配下なので、領土争いに興味が無いという。

召喚獣の力が設定上ラスボスであるアルテマの力でもあり、ストーリーの展開上、主人公がその力を吸収していく以上難しかったかもしれないですが
自分ならどうしたかなとか考えると、いっそ主人公が入手できず、戦えもしない召喚獣をいくつか登場させても良かったかもしれないですね。主人公が関与していないところで国家間の総力戦が発生し、召喚獣同士が激突。どちらかの召喚獣が打倒されてしまったりするとか、それで国家が滅ぶとか

あとはアルテマの登場や活動。もしくは正体の判明をもっと後にして、バルナバスがアルテマの配下でなかったりしたら終盤までもっと戦記物っぽく出来たのかなと考えたりします。
例えば、クライヴたちがマザークリスタルを破壊した事で黒の一帯の侵食が止まって自然が回復したりして、けれど人々はクリスタルとそれがもたらす魔法を求めてむしろ戦乱が加速していくとか……。主人公の思いと行動によって世界の環境は良くなったのに状況はむしろ悪化していくという様な展開ですね。
残っているマザークリスタルを巡った争い。クリスタルが無くても魔法が使えるベアラーの奪い合い。
そこに行けないとしても、もう少し国があれば、より複雑な戦記物に成った気もしますし、難民化した人達なんかも普段は差別されているけど魔法が使えるベアラーの方が扱いは酷いが有用な為他の国に迎え入れられて、まぁ、それでまた戦争に利用されて戦火が激しくなるとか……。

まぁ、でも、どう考えても無理だとは思うんですよ。いろいろ詰め込むとストーリーの長さ的にも、制作費や製作期間的にももっとずっと増えてしまうでしょうし、FF9あたりと今作を比べるともうスタッフロールの長さが桁違いで、制作に関わる状況が桁違いだと言う事が分かります。
これはFFが抱える難問で、近年のFFが抱える「世界を救う物語だが世界全てを描く事は出来ない」というジレンマにも直結していると考えます。

技術、特にグラフィックが進化した事によって巨大な世界を丸ごと製作する事はほとんど不可能になりました。
7や8や9がそうだったように、画面固定で、その上をキャラクターが移動するという様な描写を選択するのならまだ可能であるとは思いますが、全てを3Dで表現しようとすれば、膨大な作業が発生します。よって完全3D化するという選択をした10以降、物語の舞台は世界ではなく、地域に限定されました。
かといってFFはグラフィックを売りにしているところもあるので、そうしないという選択肢は取れない。
なので主要都市はイベントで訪れる戦場にして、代わりに小さな町を複数配置したFF16の手法はある種の最適解ではないかと思っています。巨大な都市を作るのは膨大な労力を必要としますが、機能的には結局、武器屋とアイテム屋程度しか使わないので、勿論幾つもでかい都市が合ったら嬉しいですけど、現実的じゃないよねという。FF15でも実現できなかった訳ですし
AIなどが法的な問題等を全てクリアし、ゲーム制作に技術革新が起こらない限り、それは変わらないのではないでしょうか?

そしてついでに最近評価されたゲームを考えてみますが
果たしてそれがFFだったら同じ様に評価されたか?と考えてみると、私はされなかったと思います。
思うにFFはファンによって想像しているものが違う上に、期待値が高すぎるのです。
仮にすべての人が満足する理想的なものがあったとして、現状それを実現する術はまだないでしょう。製作期間的にも、制作費用的にも、ビジネスとしても成立しない気がします。

ファンの思い描いているのが理想的で最高で非の打ち所のないFFである以上恐らくFFは、どんなものを出しても批判されるのです。
それはある意味現在のFFが直面する。シリーズと共に生まれ、育ってしまった幻想ファンタジーであり。
シリーズの前に立ち塞がった究極の幻想ラスボスなのかもしれません。

果たしてそれを打ち破る事は出来るのか、今後のシリーズに期待したいと思います。

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