プレゼント

R2 1月セルフ朗読音源

香 かなこ
00:00 | 00:00
R2 1月 セルフ朗読講座の音源です^^
課題の注意点、模範朗読を収録しています。
ご自分のペースで朗読を楽しんでみてくださいね!

アドバイス希望の方はこの音源のコメント欄に
録音した音声URLをお願いします♪

あなたの素敵な心の表現お待ちしています!

「砂時計」

砂が落ちつづけている。
 砂時計だ。
 砂時計なんて、何年ぶりに見る?
 大ぶりの砂時計だ。

 私は目をあけ、それを見つめた。
そして、それまで目を閉じていたことに気づいた。

 眠っていたのか?
 いや、ちがう。

 では起きていたのか? それもちがう。

 では、なんだ? 私は眠ってもいず、起きてもいなかった。
まるで存在していなかったみたいだ。

でも、いま、私は、ここにこうやっている。
こうやって砂時計を見つめている。

砂がガラスの容器のなかを、さらさらと、上から下へと流れ落ちているのを見ている。

 その砂時計にはどこか違和感があった。非現実的な感じがした。
 どこが?

 彫刻をほどこされた古めかしい木の枠に、
白い砂が入ったガラス容器がはめこまれている。
いささか古風ではあるが、ごくありふれた砂時計だ。
しかし、なぜか違和感がある。

 見つめているうちに、その違和感はしだいに強まっていった。
 そもそも、この砂時計はいつからここに置かれていたのか。
 ここに置いていったのはだれなのか。
 私の記憶にはなかった。

 そして、違和感の原因を、私はついに見つけた。
 砂時計はいつまでたっても終わらないのだ。
上から下へ流れつづけて、終わりがない。
上の砂は、下へと流れ落ちつづけているのに、まったく減らないのだ。
 砂はえんえんと落ちつづけ、時はえんえんと進みつづけている。


水色文庫 「砂時計(抜粋)」 水城様
全文 http://mizro.blogspot.com/2009/10/blog-post_7915.html
音楽素材提供:Music-Note.jp
 URL:http://www.music-note.jp/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?