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与えたことを忘れよう

ください、くださいという要望に対して応え続ける。
与えて、与え続けて、身体を壊しても、心を傷つけても与え続けている。

貰ったものはすぐ忘れる。
だが、与えたものは未練たらしく覚えている。

感謝の言葉をください、くださいと繰り返されても、
感謝の言葉を繰り返し、貰えることはない。

この感覚が双方に発生しているために、仲が悪くなる。

どちらか一方が、相手よりも多くものを与えることに覚悟しなければならない。そして、与えたことを忘れ続けることだ。

人の関係性において、Give and Takeは釣り合わない。

一対一の関係性において、与えるという行為を多く行うGiverにどちらかが成らなければならない。ください、くださいと言うTakerの行為は、争いを生む。

だから与え続けるのだ。

こういうものが欲しいんだろう、
ここでアクションして欲しいんだろう、
こういう指示が欲しいんだろう、
このアドバイスが欲しいんだろう、
この問題を解いて欲しいんだろう、
ここで抱きしめて欲しいんだろう、
この行いを許して欲しいんだろう。

これらの要求に対して見返りを求めないことだ。

よくよく考えてもみれば、はじめは何も持っていなかった。

貰ってばかりいたはずだ。いつの間にか歳を重ね、こんなに人に要求されるようになり、こんなにも人に何かを与える、大仰な人間になってしまった。

死ねば何も持たないのだ。生きているうちにしか何かを与えることはできない。人生で背負い込んだその荷物をひとつひとつ減らしていくことだ。

与えて、与え続けて、それを忘れ続ける。

そして、全て忘れた頃に返ってくる優しさを感じた時、心から「ありがとう」を伝えることが出来ると私はおもう。

藤井風というアーティストの「帰ろう」という歌詞の一説にこのような表現がある。

ああ 全て与えて帰ろう
ああ 全て忘れて帰ろう
憎み合いの果てに何が生まれるの
わたし、わたしが先に 忘れよう

人間は弱い生き物だ。人より優越感に浸りたくなるだろう。その弱さが争いを生むことを、少しずつでも発信し続けたい。






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