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絵本・白峰アカネの冒険/4. アカネ、「巫女の環(みこのわ)」を奪われる

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組長(紫の衣装の女性):さて、ここからが大事な話だ。

アカネ:はい...…

組長:あんたの「巫女の環(みこのわ)」を預からせてもらうよ

「巫女の環」というのは、アカネが首からかけている玉飾りの正式名称である。

組長から「巫女の環」を預けろと迫られるアカネ

アカネ:えっ! 「巫女の環」は、魔祓いの力の源です。

組長:だから、預からせてもらう。勝手に魔獣退治できないようにね。

アカネ:「巫女の環」は、わたしたち魔祓いの巫女にとって、命より大切なものです。人の手に渡すことはできません。

組長:ふん、命より大切なものなんて、この世にありゃしないよ。

アカネ:ともかく、お断りします。

組長:聞き分けのないおねぇさんだね。なら、これを食らいな。

組長が右手を一閃させると、強力な「気」が組長の身体からほとばしり出て、アカネを後方に突き飛ばした。「巫女の環」の紐が切れ、玉が組長に手に吸い寄せられる。アカネは背中を下に、近くの植え込みに倒れ込んだ。

組長が発した「気」に突き飛ばされるアカネ

植え込みの中に倒れているアカネに、組長が奪った「巫女の環」を手に近づいてきた。

アカネに捨て台詞を吐く組長

組長:これは、預からせてもらうよ。返してほしけりゃ、山に帰りな。あんたが巫女ゾーンに戻ったことを確認できたら、巫女の環を送ってやる。

アカネ:うう……

組長:それから、もう一度言うけど、この世に命より大事なものなんて、ありゃしない。あんたも、自分の命を大事にすることだ。

組長が、あたりの空気をそよがせながら歩き去って行った。

ぼやくアカネ

アカネ:強いだろうとは思ったけど、こんなに強いとは。白峰山の上級巫女でも、めったにいないレベルね。この先は、よほど心してかからないといけないわね。あぁぁ。ふもとは山より気楽だろうと思って下りてきたけど、全然、楽じゃなさそう。参ったわね..…

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