優しさのある食堂(ベトナム)

 食べ物には全く苦労しない国、ベトナムには屋台だけではなく、たくさんの食堂がある。よく行く食堂では200円ほどで満腹になることができた。大きいプレートに大盛りのお米がつがれる。お店では10種類以上のおかずが作り置きされていて、そこから3種類選ぶことができるのだ。そして、素朴な味のスープもついてくる。このスタイルの食堂は「コムビンザン」というそうだ。庶民的なお店で机や椅子はプラスチック製で、店内に所狭しと並べられている。


違うお店だが、おかずはこんな感じで並んでいる



 ハノイの方はスープをお米にかけて食べている。真似してみると、なんかホッとする味がする。スープについてくる金属のレンゲには蓮の花の模様がついていてカワイイ。みんな右手にはお箸、左手にはレンゲ。両手を使っていて食いしん坊みたいだ。スープ、おかず、ごはんをうまく三角食べするには合理的なのだ。ハノイでご飯を食べているうちに自分も両手に箸とレンゲを持つスタイルにすっかり慣れてしまった。

 海外あるあるかもしれないが、座席の下にごみ箱がある。食べた魚や鳥の骨などを捨てるためにある。人間の食べ残しを食堂の猫が食べている。猫はとても痩せている。残飯しか食べていないのだろうか。痩せているがとてもかわいい。狂犬病を恐れているが、つい触りたくなってしまう。

 狭い店内を移動していると自分の足がほかのお客さんの机にあたってしまった。スープがこぼれ、おじさんのズボンにかかってしまった。「すみません」と謝ったが、おじさんは怒っている。当然だと思う。トラブルになりそうなときに店員のおじさんが来た。ベトナム語でおじさんと話している。私をかばってくれているようだった。要約すると「お代はなしでいいから許してやってくれ」というようなことを言ってくれた。

 店員のおじさんありがとう。この方はフレンドリーでご飯を食べに行くたびに挨拶や雑談をしていた。お客さんとたくさんコミュニケーションをとっているので、トラブルが起きた時も頼れるのである。忘れることのできない思い出である。

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