酷妄想:世界はこうなる

***** 原油を操る強権政治。米国政治に影響を及ぼそうとする宗教国家。米国に敵対するしか存在を示せない世襲国家。思想をつかさどる党しか存在しえない不自由な国家。これらの国家や集団がかつてない熱量でうごめき始める(以降、有事を誘発する国家 ”誘発国” と呼称)。もう、収拾がつかない。機能マヒしている国連ではなにも解決できない。

2024年、米国は古くて新しい時代に入る。大統領の任についた人物は「強力なリーダーシップの連中と話をする。柔い輩とは交渉を持たない」と宣言をする。自身が世界の強力なリーダーを取りまとめる存在であることを世界に発した瞬間だ。

誘発国と個別に交渉に入った新大統領。得意のディールで米国の富の分配に勤しむ。そして、従わせた(そのように勘違いする)と世界に公表する。誘発国は各々の国内事情の中で、指導者としてリーダーシップを発揮したと周知させる。こうして、ごく短い期間、混乱は大人しくなる。

さらなる分配を欲する誘発国。舌の根も乾かぬうちに米国を批判しだす。「悪の根源は米国である」と喧しい。

「うるさい指導者には、交渉からはずれてもらう」と新大統領はそっけなく言う。米国は挑発する誘発国に経済封鎖を仕掛ける。経済封鎖を受けた誘発国は、その影響下にあって手中に収めていない地域や国家を米国の手先として攻撃を行う。その瞬間、米国軍が誘発国に総攻撃をかけ、その国の指導者と一族を抹殺する。

血祭りにあげられた誘発国。その他の誘発国は米国に反抗した際の自身の行く末を見る。だが、国内に強い姿勢を見せ続けなければならない。同時に誘発国国民は「私たちを解放してくれる米国」という構図を頭に刷り込む。誘発国では指導者を蔑む動きが活発になる。米国諜報機関もその動きを利用する。

誘発国の強いリーダーは「脱米国」を交渉カードにして世界を揺るがそうとするが、誘発国国内事情から瓦解していく。米国は少ない投資で誘発国を手懐て、米国の影響下に置いていく。やがて、基軸通貨ドルの支配のなかで、貧富の格差が広がっていく。

「米国は私たちを守ってはくれない」というプラカードを掲げて長い行列の行進が続く。かつての誘発国の国民たちだ。その行進の先頭に立つ強力なリーダー。あたらしい米国の交渉相手の誕生である。

また、かつての誘発国が復活し瓦解する。その繰り返しの中で、米国は利益をほしいままにする。そのループは途切れることがない。そして、ループの中で幼い子供や罪なき庶民が殺されていく。

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もう、米国の闇は朝を迎えることがない。暗い中でほんの少しの明るさは世界をあまねく照らすように錯覚してしまいます。今、その明るさの中で未来のかよわい灯は見えにくい。強烈ないびつな危険な明るさしか目に入らない。その明るさを求めてしまったら、その瞬間に暗闇に覆われる。そのように妄想したのです。

弱弱しい明かりを見つけなければ、何千年と続いた暗闇の中に引きづりこまれる。中東の紛争に心が暗くなるのです。

#日経COMEMO #NIKKEI

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