妄想:おかげさまでぼくは180歳

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70歳の時に、iPS細胞培養バンクに登録して、90歳で二十歳のぼくに入れ替えた。そこから、5年後に再びiPS細胞培養バンクにし登録して、115歳・・・で、ぼくは今日まで生きてきました。

何回か大脳のお掃除をすることもありました。不活性のたんぱく質を〇〇酵素で分解して、ニューロンを増やす処置をして、そこからいろんな学習法を繰り返して、なんとか、40代の大脳を維持できました。今は、60代の大脳だそうです。

若いぼくとの入れ替えは、医療用ロボットが行います。若いぼくと言ってもパーツがいくつかキットに整理されていて、最初に肝臓・腎臓で、つぎは・・・という具合。ぼくは2日間、液体に浮かんで熟睡しているだけなので、何をされたのかわからない。皮膚を見てもつやつやもちもちなのでニンマリです。そう、鏡の中のぼくは、実年齢より40~60歳若い。だから、180歳のぼくは120歳くらいのカラダに置き換わっています。よぼよぼじゃないかって?いえ、120歳のころは60歳代だから、それよりちょっと老けているだけ。

入れ替えて3か月くらいから徐々に若くなり1か月ほど、究極の若さに戻ります。その間だけ、体の若さがオーバーシュートして猛烈に若返るのです。なぜか40歳代くらいまでグンと若くなるのです。だから、外見70歳代くらいから、見目麗しき壮年となって、なぜか、恋の花を咲かせるのです。

「老いて蝉となる」と詠っている人がいる。あの夏真っ盛りの蝉のように、恋だけにいきる季節がやってくる。

女性も同様。だから、この1か月の間に、夜な夜な恋がささやかれそれに伴って経済も活性化します。そして、自然交配の有精卵が生成され、次世代バンクへ登録されるのです。自然出産ができればいいのですが、2か月後くらいから体が予定の年齢60歳代~80歳代に戻っていくため、子宮での育成は困難で、そのため受精卵だけ預けることになります。

次世代バンクは、世の中の人口構成を俯瞰しながら、次世代を育むタイミングで受精卵を人工子宮へ移植します。およそ、10か月くらいして人工子宮から新生児を取り出し、保育器から養育を始めます。物理と論理と倫理の育成は人工知能とロボットにより教育・育成され、成人になります。

2020年代に心配された少子高齢化は、現在では皆無です。たしかに、自然交配から生まれてくる次世代は全体の人口からすればわずかではありますが、超高齢化と若返りでニンゲンとしては種を損なわずに維持・発展できています。

「あなたは幾つ?」と聞くことはありません。「あなたは何回生?」と聞くことになります。ぼくは4回生。人生は、まだ、続きます。

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そんなに生きたいわけでもないのですが、ちょっと、妄想した次第。「老いて蝉となる」・・・なんとなく、バルタン星人のような自身を想像し・・・。むかしのご老人は、歯がない人が多く、笑うと「フォッフォッフォッ」と聞こえたことを思い出しながら、そういえば、ぼくの子供の頃のお葬式では、大概、亡くなった人は50歳代~60歳代だったな、とも思い出し、いまの私がその写真に納まる年ごろだと思い返しながら、妄想した次第。

#日経COMEMO #NIKKEI

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