「それは本当に制度の問題なのか?」人事部が直面する真の課題

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28502150T20C18A3905S00/

「さとり世代」を一括りにはできないけれど、横田氏が話されている内容にはとても共感します。一つ一つの具体的なケーススタディはもちろんですが、以下の件は私もよく直面するやり取りであり「まさにっ!」という思いでした。

――会社側の人事制度も変わる必要がありますか。 「制度よりは人事戦略を見直す時期だ。

昨今、人事制度の変更を検討している企業が多く、弊社も対応できないほど多数の問合せをいただいております。制度改訂を検討するきっかけは、この記事にあるような「若年層の変化」への対応、ダイバーシティ、グローバル人財対応、人手不足、働き方改革等、さまざまです。

が、その相談を深く聞いてみると、10件中9件は「それは人事制度でなく、人事戦略の課題」という結論に至ります。制度は具体的な問題点として顕在化しやすいので相談材料になりやすいのですが、真の課題はもっと根底に眠っています。組織課題に手を付けずに、制度の問題を対処療法的に解決すると、もぐら叩きのようになったり、無限ループに陥ったりするケースもよくよく見受けられます。

好ましい経営状態というのは、「環境」「戦略」「組織」の一貫性によって実現されます。昨今のような経営環境の変化に直面すると、企業は大きく2つの選択肢から選択を余儀なくされます。

①環境に戦略を合わせる (この場合、戦略と組織の一貫性が担保されず組織課題が一気に噴出する)

②戦略と組織の一貫性を維持する (この場合、環境から少しずつ取り残されていき、組織が茹で蛙になる)

戦略は合理的な意思決定がゴールですので、比較的にスピーディに変化をつけることができますが、組織変化や人財成長というのはどうしても時間が掛かってしまいます。したがって、新たな環境変化にアップデートされた「戦略」「組織」の一貫性を構築する唯一の解決策は、将来の環境変化をいつも先回りするCHRO(Chief Human Resource Officer)のような戦略人事の存在が不可欠です。

慶慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授の高橋俊介氏は、人事部門の役割を以下の3つに区分しています。

①いわゆるルーチンのオペレーション業務としての「人事全般」

②賃金構造を見直すなど、行わなければ経営に支障をきたすインフラ人事としての「経営人事」

③競合他社と差別化し、競争優位をどのように確立するのか、戦略に基づいて進める人事としての「戦略人事」

「既に起きている未来」を正しく捉え、組織人事機能(採用、教育、評価、配置、活性化など)を最適化する「③戦略人事」の役割は、一層重要性を増していますが、弊社が2017年2月に219社の企業に対して行った独自調査によると、一貫性の取れた組織人事戦略を実践できている企業は11.6%のみということで、課題解決には時間を要するようです。

※下記リンクは独自調査の考察ですので、ご参考までに。

https://www.libcon.co.jp/report/detail003/

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