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リビング・シフト ~鎌倉移住から未来を考える~

いつか、鎌倉暮らしをしてみたいーそんな風に考えるようになり鎌倉について調べていると、面白い会社の存在を知りました。それは鎌倉に本社を置く「面白法人カヤック」です。今多くのベンチャー企業が鎌倉に本社やサテライトオフィスを構えています。クリエイティブ企業も多く、豊かな自然・文化に囲まれて働く大切さを示唆しているのかもしれません。
カヤックCEOの柳澤社長は、「どこで働くか?」ということをとても大切にしていると言います。書籍「リビング・シフト」は、自由な働き方、価値観が認められるようになりつつある社会で、未来のライフスタイルを考えるキッカケを与えてくれる一冊です。


カヤックが鎌倉に本社を移した理由

柳澤社長曰く、第一に鎌倉は海が好きでシンプルに好きな場所だったようです。そして、ITとは本来、人間の生活をより豊かに、幸せにするためのツール。自分たちの生活を豊かにするために、好きな場所で仕事をしたい、と考えたと言います。好き、という感情に素直に選択が出来る自由さとそれを支えるビジネスモデルがあることに魅力を感じました。

リビング・シフト時代の移住の新潮流

地域への移住は新しい価値観や行動のシフトが生まれていると言います。

①条件検索で移住先を探す→「人のつながり」で移住先を探す
カヤックの提供している移住先紹介サービス「SMOUT」では、移住したい人がスキルや登録をしておくとスカウトが届くサービスです。このサービスは場所あきりではなく、人の活動に共感をするところから関係性が紡がれるようなサービス設計になっていることが特徴的です。


②地縁・血縁で移住→好き嫌いや面白さで移住
「毎日サーフィンをしたいから海の近くに住みたい」「自然豊かな場所で暮らしたい」そんな価値観ベースの移住が当たり前になっている今、いかに好きになってもらうか、が移住者を誘致するのに重要になっています。

③ポータブル化(どこでもつながる)するコミュニティ
インターネットの進化でどこにいてもオンライン上でのコミュニティに所属出来る時代になりました。以前よりコミュニティをポータブルに持ち歩くことが出来る時代、移住というハードルが低くなってきていると言えます。
移住する前にイベントという形でコミュニティを体験することが出来る、というのも、SMOUTで提供しているサービスのひとつだと言います。

自分自身の行動を振り返っても、観光地を巡るために旅行をする、というより会いたい人がいるから、会いにいく。という「人」ありきの行動パターンが多くなっていると感じます。地域に人を集めたい、と考えるとき、そこにどんな人がどんな営みをしているかという部分に着目すると良いかもしれません。

山口周さんとの対談

本の最後には、柳澤社長と山口周さんとの対談が掲載されています。山口さんは世田谷から葉山に移住をされた経験をお持ちですが、鎌倉エリアの魅力は「意味」的な価値が大きいエリアだと言います。
地域の魅力は、そこにいる人、集まる人がその地域の「意味」的な価値をつくる時代。鎌倉もかつての歴史のまちから、ビーチカルチャーやクリエイターの集まるまちへと意味的な価値に変化が生じています。物があふれる時代だからこそ、どんな人がどんな想いでつくったか、という意味消費の消費者心理をよく耳にするようになりました。住む場所を選ぶ時も、そんな人の心理が出てきているのでしょう。
山口さんは、「住むところを決めることは自分の人生の戦略。あえてセンター(東京)をはずす、というのもひとつの戦略であり、自分のポジショニングは自分で決めるという発想を大切にしたい」と言います。幸せのカタチが多様化し、自分なりの物語を描く時代にシフトしてきているからこそ、地域移住の潮流がきているのだと思います。

場所が持つ「意味」を再考する

本書を通して、改めて「場所」が持つ力は大きいと感じました。身近な例でいうと、同じ1時間勉強をするとしても、ファーストフード店よりは、スターバックスの方が集中出来る、そんな経験をした方は多いのではないでしょうか。大切な人との食事は雰囲気の良いお店をセレクトする、ということがあるように、場の力を味方に日常の選択をしたいと考えています。
私は、現在は都心に住んでいますが、その中でも場所の意味やそこに身を置いた時に自分らしく居心地が良いかをよく考えて選びました。住む場所を大切にしなさい、という親の教えは、今になって納得する部分があります。
鎌倉が候補にあったにも関わらず移住を先送りした理由のひとつは、現業がまだ都心にいた方が色々な意味でプラスになると感じたためです。
今のところ暮らし、より仕事を優先した訳ですが、人生における優先順位が変われば、選択も変わってきます。かつては転勤族と結婚したら女性側が仕事を辞め、キャリアを諦めなければならないーそんな思い込みが強かった私は、当時転勤族であった彼との将来を前向きに考えられなかった過去があります。当時は、これから会社での仕事を頑張っていきたい時期で、視野が狭かったのですが、どこでも働くことが出来る働き方をつくれれば、住む場所の選択肢も拡がる可能性を忘れないでいたいと思います。
これからも世の中の「常識」に縛られず、常に自分にとっての幸せのカタチを自分に問いながら、未来のライフスタイルを描いていきたいと思います。



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