アドリブソロ(即興演奏)のやり方 入門編

 今回は「アドリブソロ」のやり方、即興で何かしらのメロディーを演奏するということになりますが、その入門というかどうしたらいいのかわからないという人に向けて考え方や練習方法について書きたいと思います。

最初に前提として、「ジャズのアドリブソロのやり方」がベースになっています。単にアドリブソロ、即興演奏と言ってもジャンルによって内容は全然変わってきます。ここでは僕が勉強してきたジャズに関して、それをベースにしたアドリブの考え方を説明したいと思います。

 「コード譜を見てアドリブでソロを演奏する」ということでまず必要なこととして、

「コードの音(構成音)を把握する」

 これは絶対に必要です。Cならドミソ、Gならソシレとったそのコードで示される音はわかっていないといけません。
 これに関しては覚える以外に方法はありませんので、まずコードネームを見たらすぐに何の音かわかるようにしましょう。
 それも、3和音だけでなくセブンスまで含めた4和音で覚えてください。
ダイアトニックスケールコードという、そのキーに出てくる7つのコードがありましたよね。

はい、もう心が折れそうな方もいるかもしれませんw

 もちろん最終的には全てのコードを把握しないといけませんが、ここは入門編なので少しでも簡単になんとかしたいということを考えて、

 演奏したい曲を選んで、その曲に出てくるコードだけをまず覚えましょう。

 さらに言えば、なるべく出てくるコードの少ない曲を選べば楽です。

 古いスウィングジャズやニューオリンズジャズ、あるいはフォークソングみたいなシンプルなスタンダードなら3コード(曲のキーの主要な3つのコードだけで出来ている曲)の曲なんかもあると思います。まずはそこからでも。

 五線紙にコードネームとコードの音を書き出してみたりして、とにかくまずは覚えてください。


 で、覚えたら、その音をリズムに乗せて適当に弾いてみましょう。最初からかっこよく演奏しようなんて高いハードルは設定せずに、まずはあてずっぽうでもなんでも、とにかくコードの音を曲のテンポとリズムに合わせて、音数も多くなくていいので簡単に。

例えば、

 まずはこれが第一歩です。(参考の譜例はそれなりに整理された音ですので、もっとめちゃくちゃなもので構いません、まずは音を出してみましょう)

 ここで、少しでも勉強してみたことがある人などは、「スケール(音階)」は?と思ったかもしれません。「このコードならこのスケールが使えますよ」なんて教則本で読むこともあるかもしれません、スケールだとひとつの音階で7音などの音数があるのに比べてコードの音だけだと4和音でも4つの音なので使える音が少ないんじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、これは個人的な経験からでもありますが、まずはコードの音を使って演奏することから考えましょう。


 

 このようにコードの構成音だけでシンプルでもリズムに乗せて演奏してみて、そろそろ他の音も増やさないとさすがにかっこよくなりそうもない、と思ったら、今度はコードの構成音に「隣接した音」を使ってみましょう。

 コードの音、例えばG7だったらソ、シ、レ、ファの4音、このそれぞれの音に対して半音で上と下の音、ソであればファ♯とラ♭、シにはラ♯とド、レならド♯とミ♭、ファならミとソ♭、です。これらの音をコードの音の前に置いてみます。

 これらの「隣接音」は全て次にコードトーンに移ります。隣接音単体だけでは演奏しません。

 これで使える音はかなり増えました。うまくリズムに乗せて演奏すればこれだけでもかなりジャズっぽいフレーズが出来てくると思います。


 ここまで出来たら次はもっといろんな音を使って、と言いたいところですが、選ぶ音を増やすよりも今まで使ったコードトーンとその隣接音で、よりかっこよく聴こえるようにリズムや音の組み合わせを工夫してみましょう。

 「とにかくたくさん演奏する」ことも大事ですし「好きなミュージシャンの演奏をコピーする」ことも非常に役に立ちます。たくさん聴いて真似をしてみましょう。

 ここでひとつ大事な点として、アドリブで演奏するというとどうしても「どんな音を使ったらいいのか」ということにスポットを当ててしまいがちです。それも大事ですが、同じくらいあるいはそれ以上に「どんなリズムで演奏するか」が大事です。限られたコードトーンだけでもかっこよく聴こえるようなリズムとフレージングを研究していくことがかっこいいアドリブを演奏するのには重要だと思います。

 もう一点、見逃してしまいがちですが「音量」も大事です。盛り上がりを演出するのに音数を増やしたりテンションノートを含んだ難しい音使いなどももちろんいいのですが、単純に音量の大小による違いも意識して練習するといいと思います。

 そして単音でのフレーズでもコード感が感じられるようなフレーズを意識しましょう。具体的にはコードトーンを中心に、且つ「強拍」にコードトーンを配置することでその響きも強調されます。ベースやピアノが鳴っていなくてアドリブソロのメロディーだけを聴いてもコード進行がわかるようなフレージングが出来るようになるといいと思います。


 具体的な練習方法としては、まず演奏する曲のコード進行を覚えましょう。これは譜面上の話ではなく鳴っている音を聴いてそれが頭の中に浮かぶようにしてください。なんとなくでもコード進行(のサウンド)が頭の中で再生できるようになったら、それを思い浮かべながら鼻歌を歌ってアドリブをしてみましょう。まずはそういった頭の中で歌うことが出来てから楽器での演奏に移していくのがいいと思います。
 先に譜面上でこの音が使えるとか理論的にこうだから、とやるよりも演奏したい音を頭の中で歌えるようにしてください。ちなみにこの方法なら楽器が鳴らせないところでもどこでも練習出来ます。

 そして、気に入った演奏を見つけたらコピー(採譜)してみましょう。頑張って譜面に書き出して、そこにコード進行も書いて、このコードではこういった音をこういったリズムで弾いているということを分析してみると、それまで気が付いてなかったいろいろな発見もあると思います。

 採譜や反復練習など、気が重くなるのは非常にわかります(笑)。ただ簡単に出来るようになるコツとか裏技みたいなものはないと言っていいと思います、やはり好きな演奏家や気に入った演奏を見つけては採譜して弾いてみる、コードを鳴らしながらひたすらアドリブを演奏してみる、といったことが結局は上達の近道です。という結論にがっかりするかもしれませんが、やっていくと楽しくなってきたりすることもありますので、お互い頑張りましょう・・・。


 まずはとにかく「コードの音を覚えてリズムに合わせて弾いてみる」ことからチャレンジしてください!

 意外とこれだけでも奥が深いですよw


 もっと深く掘り下げて、いろいろな音を使えるようになりたい、もっとジャズらしいサウンドを鳴らしたい、という方は中級編のこちらの記事もご覧ください。(500円の有料記事ですが、レッスンでお話するような内容まで掘り下げて書いていますので、興味ある方はぜひ)


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