見出し画像

最後にあなたに伝えたいこと

あなたに出会ったのは今から2年前の春でした。ちょうどそのとき、私は当時付き合っていた彼氏と別れる直前で、心がとても不安定な時期でした。あなたに出会えたのは、私の不純な気持ちがきっかけです。でも、あなたも同時に不純な気持ちを抱えていたんだと思います。

あるとき、私はあなたに聞いたことがあります。「どうしてアプリを始めたの?」と。そのときあなたは、「なんでだろうね」としか返しませんでした。今でも、どうして私とあなたの関係が続いているんだろうと不思議に思います。出会いのきっかけは、お互いに「この人じゃなきゃダメ」なんていうような情熱的なものではなく、きっと「誰でもよかった」。なのに。

あれから彼氏をつくった私には、あなたから離れようと思えば離れられる機会はたくさんありました。なのに、なぜか離れられない。どちらかというと、あなたのほうが私に対する熱量が高いと感じていて、私がこの関係を終わらせるのは簡単そうだと思ってきました。でもその一方で、あなたが私から離れていくことは今後一切ないとまで思える変な安心感が、私を引き止める。私がこの関係を絶ったら、あなたはどうなってしまうんだろう。きっと今まで通りの日常を送っていくんだろうけど、どこか心を寂しくさせて生きるんだろうな。そんなふうに考えると、どうしてもあなたからの連絡を無視することができない。

「できるなら、この先一生関係を続けたいと思ってるよ」。そう言われたこともあったっけ。そのとき私の心は一瞬すごく浮き足立って、本当にあなたのことが好きという気持ちが溢れて、どうにかなってしまいそうになりました。大人になってからこんな気持ちになったのは初めてと言えるくらい、出会って1年以上経っているのに、こんなに新鮮な気持ちであなたを思うことができることに、自分自身に対してもちょっとした感動を覚えました。

あなたに会うのはもうやめにしたい。この気持ちは最初の頃からずっとありました。一度それを口にして、実行したことがあるよね。でもなぜか、長い時間を置いたあとに再会することになった。あなたも私みたいに、やめにしたいけどどうしたらいいかわからない状態なのかな。一度は別れを受け入れたけど、また2人を引き寄せる引力があったことだけは、確かだと思います。

私にはもう、本当に大切にしていきたい、一生一緒にいたい人ができました。彼と家族になって、うれしいことも辛いことも共有して、支えあっていきたいと心から思ってる。

あなたとも出会う時期がもっともっと早ければ、そうした関係性になれたかもね。でも、あなたの環境とわたしの環境はそもそも全然違って、もっと早くに出会っていたら恋人にもなれなかったかも、とも思ったりしています。ちょうどお互い心に寂しさを抱えているときに出会って、ここまで続いてるんだと思う。健全な状態からだったら、きっと始まってすらいなかったよ。

LINEの通知音が鳴るたびに、「きっとあなただ」と思う。画面を開くとやっぱりあなたで、お互いスマホを触るタイミングがいつも似ていて、そんな言動以外の部分でも繋がれている感じがして、うれしくなる。

関係性が深まってから気づいた、あなたの優しい性格。

誰でもよくて、たまたま私だっただけだと思っていたのに、いつしか私を私として見てくれていることを知った。

普段の会話からあなたの独占欲が少し垣間見えたとき、本当にちゃんと独占してもらえたらどんなに幸せかを考えて切なくなって、そんなこと考えても仕方ないと思考を切り替える。それを何度繰り返したか。

このモヤモヤは、あなたとの関係と切っても切れない存在だってわかってる。この先ずっと消化不良のまま、どうすることもできないってわかってる。物事にはっきり白黒つけたい性格の私には不向きのことをしている。やめたら楽になるのにって頭ではわかっている。なのに、どうしても、あなたが近くにいなくてもお互いに思っているとわかっている居心地の良さが、物理的不在の寂しさをもすべて覆い尽くして、埋めてくれる。

あなたはずっとずっと大切な人。この先人生をともにしなくても、大事なときに駆けつけることすらできず、共有できるのが日頃のささいなメッセージのやりとりだけだとしても、ずっと大好きです。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?