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疲れた心に効いたのは、おまけでした。

ここのところ、ちょっと疲れていた。
特別なことがあったわけではないけど、毎日のちっちゃい疲労が積もり積もって大きくなっていた。そんな感覚。
加えて寒暖差の激しさも体にくる。私の中身が寒さに耐えようとしていたら、今度は急にあったかくなって。かと思いきやまた寒くなって。コロコロ変わる気温に追いつけない。

そんなこんなで、疲れが溜まってるな〜とため息をつく日も多かった。

先日、銀座にある岡田かめやに行った。

ここには、ちょっとお高めのお菓子やおつまみが売っている。
昨年、NEWSの加藤シゲアキさんがラジオ「アフター6ジャンクション」にて、酒のつまみとしてここの辛子れんこんチップスを紹介されてたのを聞き通販で購入したところ、歯ごたえのある食感と鼻にツンとくる辛みにまんまと魅了された。
今回やってきたのは、友達と自分へのプレゼントとして辛子れんこんチップスをもう一度買う為だった。

東銀座から降りて、華やかな通りから少し外れた道沿いにひっそりと佇んでいた。しかし、並べられているおつまみは、わざわざここまで来ないと出会えないような上品さが漂っていた。

店内はコの字にお菓子が敷き詰められていて、その真ん中にレジがあった。お目当ての辛子れんこんチップス×2と千円札を一枚手渡すと、店員さんはなにか思い出したかのようにエプロンのポケットに手を入れた。

「これ、よければどうぞ」

小銭と一緒に渡されたのは、一粒の飴だった。


「きなこ飴と言って、店の外にも並べてます。次回よろしければ」

手の平に乗せられた飴と微笑む店員さん。

「えっ、わっ、ありがとうございます」

テンパる私。

嬉しい予想外のことが起こると毎回挙動不審になってしまう。なんなら、悪いことの方が冷静になれる。
どうしてこうなっちゃうんだ。もっとスマートに喜びたいのに。
もらった飴とくすぐったい気持ちを鞄にいれ、店を後にする。もったいなくて、この飴はまだ食べれてない。




翌日。自分宛に花を買った。この日は私の誕生日だった。

花屋には独特の緊張感があると思う。
高級ブランドの店に入る時、はたまた美術館に一人で入る時の感覚に似ている。ブランド店に行ったことはほぼないけど。
清澄白河にある花屋へ足を踏み入れたその瞬間、花の香りがふわっと鼻をかすめた。並べられた花や植物、ドライフラワーたちが咲き誇る中、ひらひらとしたピンクの花が目に留まった。


花に疎い私は、(何も悪いことしてないのに)申し訳なさげに店員さんへ花の種類を聞いた。

「これはトルコキキョウと言って、一本で二輪咲くんです」

本当だ。取り出してくれた花を見ると、一本が枝分かれしている。
一目惚れしたトルコキキョウをそのまま一輪購入した。花屋で一輪だけ買ってもいいものか毎度不安になるけど、店員さんは「もちろんいいですよ」と明るく対応してくれた。

包んでもらった花を出口で受け取る寸前、店員さんはなにか思い出したかのように私の足を止めて店の奥へと駆けていく。
すると、持ってきた一本の花をトルコキキョウの中に差し込んだ。

「よかったらどうぞ」

その花は全体的に白くて、花びらの先がほんのり紫色に染まっていた。


「えっ、いいんですか?あっ、ありがとうございます」

テンパる私。リターンズ。

昨日に引き続き、やっぱり慌てふためいてしまう。 だから、せっかく頂いた白い花のことを聞けなかった。(一応調べたけど、なかなかヒットする花にたどり着かない・・・悔しい・・・)

誕生日だと伝えていなかったけど、まるで店員さんからの誕生日プレゼントを頂いたような気持ちになる。嬉しさと、ほんの少しの照れ。また、くすぐったい。

頂いたおまけは、そのくすぐったさは、私の心に溜まった疲労をそっと溶かしてくれた。それはきっと、成分のほとんどがやさしさでできているからだと思う。
おかげで、疲労で圧迫されてた心にちょっと余裕が生まれました。ありがとう、店員さん。ありがとう、きなこ飴と白いお花。

これでまた、日々をなんとか踏ん張れます。

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