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【カンヌライオンズ/Cannes Lions】チタニウム部門グランプリまとめてみた PART 1

こんにちは、あおきかい(@onakaitaiyurui)です

この記事ではカンヌライオンズ(正式名称:カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル)の中で最も価値のある部門として知られている「チタニウム部門」のグランプリをすべてまとめています。

そもそもでチタニウム部門とは??

※カンヌライオンズについては以下公式サイトをご覧ください

チタニウム部門は「刺激的かつ、全く新しい次元を切り開く斬新なアイディアを賞賛するため」に2005年から常設された部門でありカンヌライオンズの中で最も価値のある部門と呼ばれている部門です。

審査基準としては「業界を前進させる革新的なものであるかどうか」が重要視されます。

.................死ぬほどカッコいい

ちなみに常設は2005年からですが、初めての贈賞は2003年の「BMW FILMS」です。

当時フィルム部門の審査委員長だったダン・ワイデン氏が、フィルム部門でもサイバー部門でも評価しようがなかった「BMW Films」を評価するために「チタニウムライオン」として贈賞したことがきっかけになっています。

また常設は2005年からですが、初の「チタニウム グランプリ」は2006年であったため、このnoteでは2006年から今に至るまでの「チタニウム グランプリ」についてまとめていきます。

2006年チタニウムグランプリ:「Design Barcode」

■Company
デザインバーコード株式会社
■Country
日本

従来バーコードとは、長方形かつ線形で統一されていることが一般的ですが、統一することで処理しやすくなる一方、商品パッケージの世界観に否が応でも影響を与えてしまうことも事実でした。

「デザインバーコード」は、それぞれの商品に合ったバーコードのデザインを施すことで、効果的にパッケージのデザイン性を高めるという遊び心のある施策です。

「バーコード=メディアチャネル」という風に従来メディアとして使われていないものを価値転換し、メディアとして捉えたプロジェクトです。

2007年チタニウムグランプリ:「Xbox Games Innovative Campaign」


■Company
・バーガーキング
・Crispin Porter + Bogusky
■Country
アメリカ

バーガーキングのキャラクター「ザ・キング」が登場する「SNEAK KING」、「Big Bumpin'」、「POCKETBIKE RACER」という3本のXbox用ゲームソフトを制作、ユーザーは店頭で特定のセットメニューを注文すると1タイトル3.99ドルの追加料金で購入できる、というプロモーションでした。

この、プロモーションが優れていたことは、"content is king"という考えの元、従来の広告表現の枠組みにとらわれず、ゲームというコンテンツを制作した部分ではないでしょうか。

実際にゲームは非常に話題になり、6週間で320万本売れたそうです。

またゲームをきっかけにメディア露出及び来店機会も増加したと考えられます。

コンテンツを活用した巧みなプロモーションにより話題性、来店機会、顧客単価すべてを向上させた事例です。

2008年チタニウムグランプリ:「UNIQLOCK」

■Company
ユニクロ
■Country
日本

ユニクロの商品を着た4人の女性たちがオリジナルのダンスを披露し、時刻に合わせて画面が変わるプロモーションビデオ動画を制作し、スクリーンセイバーや、時計機能を備えたブログパーツとして配布するというプロモーションです。

さらにブログパーツ配布の延長として、「UNIQLOCK」を自身のブログに貼り付けたユーザー数やユーザーの所在国が、世界地図上に表示されていくWORLD.UNIQLOCK」ページも公開され、大きな話題を呼びました。

元々はポロシャツのキャンペーン活動としてユニクロのホームページに登場しましたが、その後「カシミヤ編」や「20 COLOR T 編」なども作成されています。

このプロモーションは日本のみならず世界中で話題になり、実際に2008年6月23日時点で世界83ヶ国、41,632個のブログパーツが設置され、世界212ヶ国、120,900,278のアクセスを記録しました。

「MUSIC×DANCE×CLOCK(音楽×ダンス×時計)」という異なる要素を組み合わせて世界観をグローバルに発信したこと、拡散の仕掛けとしてブログパーツ、スクリーンセーバーを活用したことが評価に繋がったのではないかと考えられます。

2009年チタニウムグランプリ:「OBAMA/BIDEN PRESIDENTIAL CAMPAIGN」

■Company
バラク・オバマ&ジョセフ・バイデン
■Country
アメリカ

2009年のチタニウムグランプリはアメリカ合衆国大統領選挙戦におけるバラク・オバマ&ジョセフ・バイデン陣営のソーシャルメディアを巧みに活用したプロモーション活動です。

バラク・オバマ氏はFacebook、YouTube、Twitter、Flickr、など合計16個のソーシャルネットワークに登録し、自身の公式サイトの「OBAMA EVERYWHERE」というコーナーにリスト化し掲載、各ソーシャルメディアを通じて最新ニュースやビデオ、ブログを配信し、有権者と双方向のコミュニケーションを取ることを図りました。

さらに自身の公式サイト「my.barackobama.com」を開設しました。

このサイトはゲーミフィケーションを活用したソーシャルサイトになっており、プロフィールページにはバラク・オバマ氏への支持活動(勧誘メール・電話、戸別訪問など)に応じて、「現在の(支持の)レベル」「現在のポイント」といったステータスが表示されます。

支持活動の貢献度をステータスとして表示することで、支持者のモチベーションを高め、維持することに成功しました。

その結果大統領選挙前日、対立候補であったジョン・マケイン氏の友達リストに人数は62万人であった一方、バラク・オバマ氏の友達リストには230万人ものアカウントが登録されており、インターネット上で大差をつけていました。

またオンライン献金についても「クレジットカードの登録のみで1円から献金可能」という非常に簡単な仕様にすることで献金への障壁を取り除き、選挙資金として史上最高額である総額7億4500万ドル(約735億円)もの選挙資金を集めることにも成功しました。

2010年チタニウムグランプリ:「Twelpforce」


※「Twelpforce」とは「Twitter」「Help」「Force」を組み合わせた造語で、「Twitterを使ったサポート部隊」という意味

■Company
・ベスト・バイ
※アメリカの大手家電量販店
・Crispin Porter + Bogusky
■Country
アメリカ


Twitterに「@twelpforce」という特設アカウントを開設、ユーザーが質問をリプライでツイートすると、ベスト・バイの従業員が即時に回答してくれるというカスタマーサポート・サービスを実装したプロモーションです。

当時ベスト・バイはアマゾンやコストコなどの競合にシェアを奪われることを懸念しており、ソーシャルメディアを通じて「ベスト・バイならではの豊富な知識をもった従業員」をオンライン上で訴求することに成功しました。

「Twelpforce」の優れていたところは、ただ広告で直接的に訴求するのではなく、「豊富な知識を持った従業員がたくさんいて安心」というブランド体験をTwitter上に拡張した点ではないでしょうか。

2012年チタニウムグランプリ:「NIKE+ FuelBand」

※2011年については該当なし

■Company
・NIKE
R/GA

ユーザーのランニング時のペースやタイム、ランニングを行った場所などの記録を行う「NIKE+」(現在は「NIKE+ RUN CLUB」に変更されています)の拡張として、商品を手首に装着することで、日常生活における消費カロリーや歩数などの活動量が可視化できる「NIKE+ FuelBand」というリストバンドを開発したプロモーションです。

「NIKE+ FuelBand」上では消費カロリーや歩数といった一般的な指標に加え、「FUEL」という運動量を表す独自指標を計測、ユーザーは設定した「目標FUEL」に向けて日々「FUEL」を楽しみながら溜めていくことができます。

リストバンド式のデバイスを通じ、あくまでランニングシーンのみに限られていた「NIKE+」のブランド体験を、日常生活全体に拡張することに成功しました。

PART 1 まとめ

ここまで2006年~2012年までのカンヌライオンズ チタニウム部門グランプリをまとめてきました。

前段でも記述した通り、チタニウム部門は「刺激的かつ、全く新しい次元を切り開く斬新なアイディアを賞賛するため」に2005年から常設された部門でありカンヌライオンズの中で最も価値のある部門と呼ばれている部門です。

実際にグランプリを獲得しているプロジェクトを見てみると、プロモーションの概念を大きく変えるものであったり、枠組みを抜本的に変化させるようなものが多いといった印象があります。

今回のnoteではしていないですが、当時の市場状況や、社会の空気を想像しつつ考察してみると、また違った発見があり面白いかもしれません。

PART 2では2013年~2019年の物をまとめているのでぜひ続けて読んでみてください。



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