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【カンヌライオンズ/Cannes Lions】イノベーション部門歴代グランプリまとめてみた

こんにちは、あおきかい(@onakaitaiyurui)です

この記事ではカンヌライオンズ(正式名称:カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル)の「ブランデッドコンテンツ&エンターテインメント部門」のグランプリをすべてまとめています。

※カンヌライオンズについては以下公式サイトをご覧ください

それでは早速紹介していきましょう!

2013年イノベーション部門グランプリ:「Cinder Creative Coding」

■Company
The Barbarian Group

アメリカのThe Barbarian Groupが開発したグラフィック、ビデオ、ネットワーク、画像処理などのクリエイティブ向けののC++オープンソースライブラリです。

C++は速度、パフォーマンス、安定性といった性能は優れているものの、言語の難易度は高いため、一から毎回コーディングすしていくのにはコストがかかります。そこで、一からプログラムを書くのではなく、グラフィックに特化した汎用性の高い表現を簡単に使えるようにライブラリとして用意したのが「Cinder」です

Cinderはモバイルアプリ、音楽のヴィジュアライザー、スクリーンセイバーなど様々なクリエイティブ開発のために世界中で活用されています。

クリエイティブ制作の基盤を支えているという点が大きく評価され、イノベーション部門グランプリとして表彰されました。

2014年イノベーション部門グランプリ:「MEGAFON SOCHI OLYMPIC PAVILION」

■Brand
MegaFon
■Agency
Axis Marketing Agency

ソチオリンピックのゼネラルパートーナーであるMEGAFONが、オリンピックのイメージ改善を目的に実施したプロジェクト。

日本人にとってオリンピックといえばお祭りのような印象が強いですが、ロシア国内では「オリンピック=堅苦しい、近寄りがたい」といったイメージが定着していました。

そこでMEGAFONはオリンピックを「堅苦しく、近寄りがたい」という存在から「国民の身近な存在」にするためにあるものを開発しました。

それは、ロシア国内30箇所に設置された写真ブースで自撮りをすると、自分の顔が3階建てのビルの高さのパビリオンの壁面に巨大な3Dイメージで表示されるというインスタレーション。

パビリオンはLEDアクチュエーター1万1000個で構成されており、フォトブースで撮影された写真は制御システムに送信されることで、LEDアクチュエーターのロッドが動き、顔を表現します。

その結果、14万もの人々が自らの”顔”を作成し、600以上のメディアに取り上げられ、2014年ソチ・オリンピックのシンボルのひとつとなりました。

先進的なテクノロジーを活用し、国民とインタラクティブなインスタレーションを行うことで、オリンピックをロシア国民にとって身近なものに昇華させることに成功しました。

2015年イノベーション部門グランプリ:「3words to address the world」

■Brand
What3Words

イギリスのwhat3wordsが実施した世界によって表記方法の異なる住所システムに対して、新たな形を提言したプロジェクト。

国によって異なる住所システムを採用していることはグローバルが叫ばれる現代において非効率であり、さらに世界の75%の地域では住所システムの整備が十分はないとされている。

これらの背景から、簡単な3つの英単語を使用することで、世界共通の住所システムを考案したのが「3words to address the world」

まず3m X 3mの正方形に世界を分割し、それぞれの区画に簡単な英単語3つの組み合わせで住所を命名していくというもの。

全世界共通のシステムかつ、誰にでも理解できる簡単な住所システムによって、現行な複雑な住所システムによって生じている非効率・不都合の解消を目指したプロジェクトです

2016年イノベーション部門グランプリ:「Alphago」

■Brand
Google

「Alphago」はGoogle DeepMindがディープラーニング技術を活用し開発したコンピュータ囲碁プログラムです。

囲碁は戦略性だけではなく、人の感情や直感に打ち手が影響される複雑なゲームであり、さらに打てる手数が膨大であることから、コンピュータでもすべての棋譜を覚えることは困難であり、「AIが人間に囲碁で勝つには、あと10年必要」と言われていました。

しかしこの年「Alphago」は世界最高峰の囲碁棋士であるイ・セドル氏との対局に4勝1敗で勝利し、ディープラーニングの可能性を示す歴史的な対局と、世界中で大きな話題になりました。

開発チームは約3000万にのぼるトップ棋士のさまざまな打ち手を集め、「Alphago」に自己対局を繰り返させることで、未知の指し手が来ても、人間と同じように考えて解決できるようにすることで、人間の思考を超えるという偉業を達成しました。

今後様々な分野で活用されていくディープラーニング技術の大きな発展に貢献した点が評価されたプロジェクトです。

2017年イノベーション部門グランプリ:「Humanium Metal Initiative」

■Brand
Humanium Metal Initiative(IM)

貧困などの社会問題に取り組むスウェーデンのNPO「IM」が、銃問題への注目を目的に実施したプロジェクト

世界中に違法な銃は数億丁も存在し、毎日1,500人もの人が銃によって命を落とし、銃を使った犯罪によって世界で毎年4000億ドル(約44兆円)の経済損失があるとされています。

これらの問題の解決と銃問題への理解を促進するために、IMはHumanium Metal Initiativeを立ち上げました。

Humanium Metal Initiativeでは、回収された違法銃をリサイクルして生成した金属を「Humanium」と名付け、様々なアーティストやデザイナー、ブランドに素材として提供しました。

さらに「Humanium」によって生じた収益を銃犠牲者の救済等に使用しました。

実際にスウェーデンの時計メーカー・Triwaや不動産デベロッパーのOscar Properties、自転車メーカーのBIKEID、小物・雑貨ブランドのSKULTUNAなどが「Humanium」を使用したプロダクトを販売しています。

人を傷つけてしまう銃を原材料に、新たな金属を生み出し、銃問題への認知、銃犠牲者の救済を行った点が評価されたプロジェクトです。

2018年イノベーション部門グランプリ:「MY LINE」

■Company
Vive Digital Program

MullenloweとGoogleがコロンビアにおける情報格差を解決するために実施したプロジェクト

コロンビアの多くの地域は電力の供給などのインフラが十分でなく、インターネットにアクセスできないことが課題でした。

そこで同社はGoogleアシスタントをインターネットではなく、電話によっても利用できるようにすることで、音声によって情報を届けられるシステムを構築しました。

コロンビア国民が所持している旧型ケータイから、6000913にダイアルし、サーチしたい情報を音声で伝えると、グーグルアシスタントにつながり、求めている情報が音声で返ってくるサービスを設計したのです。

技術や経済の発展によって生じてしまう、スマートフォンやインターネットのない地域においての情報格差を解決したプロジェクトです。

2019年イノベーション部門グランプリ:「See Sound」

■Company
Wavio

アメリカのソフトウェア会社Wavioが実施した家に起こる様々なアクシデントを見える化したプロジェクト

多くの人にとって「音」はアクシデント(鍋の噴きこぼれ、物の落下など)を察知する方法の一つですが、耳の不自由な人にとっては、「音」が聞こえないため家で起こる様々なアクシデントに気づくのは難しいという課題がありました。

そこで、200万もの膨大な音声データを蓄積し、AIのラーニングシステムによって音の内容を特定、スマートフォンへメッセージでアラートを飛ばすことのできる世界初のシステムを開発しました。

「音」という情報を読み取り、分類することで「テキスト」という耳の不自由な人でも認識できるような形に、転換した点が非常に評価されたプロジェクトです。

まとめ

今回は「イノベーション部門」の歴代グランプリをまとめました。

下記マガジンにて他のカンヌ歴代グランプリをまとめているので、チェックしてみてください!


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