【カンヌライオンズ/Cannes Lions】PR部門歴代グランプリまとめてみた PART2
こんにちは、あおきかい(@onakaitaiyurui)です
この記事ではカンヌライオンズ(正式名称:カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル)の「PR部門」のグランプリをすべてまとめています。
※PART1 はこちらです
2015年PR部門グランプリ:「Like a Girl」
■Brand
Procter & Gamble「Always」
■Agency
Leo Burnett Chicago
P&Gの女性用生理用品ブランド「Always」が、女性に寄り添うブランドとして、世の中の女性に対する見方を変えることを目的に実施したプロジェクト。
プロジェクトの中で、10代の女の子と更に幼い子供たちに「女の子っぽく走って」「女の子っぽく物を投げて」など「女の子っぽく〇〇して」とそれぞれ問いかけます。
10代の女の子たちはかよわく、可愛らしく振る舞います。
一方更に幼い子供たちの反応は全く異なり、全速力で走ったりジャンプしました。
同じ問いかけなのにも関わらずここまで反応が異なる。
つまり、女らしさは生来のものではなく、「社会や環境の規範として存在してしまっているもの」だというファクトをWeb動画にすることで、ユーザーに「Like a girl」という概念に対する議論を湧き起こしました。
巧みにファクトを炙り出し、固定概念に対する議論を上手く巻き起こした点で優れたプロジェクトです。
2016年PR部門グランプリ:「The Organic Effect」
■Brand
Coop
■Agency
Forsman & Bodenfors
スウェーデンのオーガニック食品をメインに扱うスーパー「コープ」が行った、「オーガニック食品は体にいい」ということをファクトとして訴求したプロジェクト。
プロジェクトでは、普段はオーガニック食品を食べていない家族の食事を、2週間オーガニック食品に切り替え、その様子を動画として公開
実験開始前、体内からは、殺虫剤などの化学物質が検出された一方、実験終了後には化学物質ほとんど検出されませんでした。
ユーザーの注目を引くファクトを動画として発信したことで、視聴回数は3500万を超え、SNSを通じたリーチの合計は世界で18億にものぼるなど、非常に話題になりました。
さらに今回のプロジェクトを通じスウェーデンでは、オーガニック食品の売り上げが伸び、コープは過去20年間で最高の売り上げを記録しました。
単純ですが、非常に衝撃の大きなファクトを訴求した事で、意識・態度変容のみならず行動変容を起こすことに成功した事例です。
2017年PR部門グランプリ:「Fearless Girl Arrives」
■Brand
State Street Corporation
■Agency
McCann Worldgroup
※こちらは以前の「カンヌで最も価値のあるチタニウム部門グランプリまとめてみた PART 2」でも紹介しました。
3月8日の国際女性デーを記念して、NYのウォールストリートのシンボルとして有名なCharging Bull(雄牛)の銅像の前に、それに立ち向かうかのような少女の像を一夜のうちに突如出現させたプロモーションです。
ビジネスの中心地であるウォールストリート、そこに設置されているビジネス社会の象徴である雄牛の銅像に立ち向かう少女は職場における男女の立場の違いを表現しました。
少女像は企業の役員会における女性比率の低さや、金融業界における女性の給与の不平等に注目を集めるための仕掛けであり、実際に多くの議論を巻き起こりました。
瞬時的なPR的な話題性とニューヨーク市に観光地として認定されるという永続性の両方を満たしたアイデアであることが大きく評価された要因とされています。
2018年PR部門グランプリ:「Trash Isles」
■Brand
Plastic Oceans
2016年世界経済フォーラムで「毎年800万トン以上のプラスチックごみが海に流出している。このまま行けば2050年の海は、魚よりプラスチックの方が多くなる」という事実が発表されました。
この事実を多くの人に知ってもらうために、環境NPO『Plastic Oceans』は驚くべき行動に出ました。
なんと太平洋にプラスチックごみが流れたことでできた、「ごみの島」を「Trash Isles」として国連に申請したのです。
「Trash Isles」を国として登録する上で、環境NPO『Plastic Oceans』は実際に国旗や通貨、パスポートを作り、そして「国民」を募集しました。
その結果、著名人を筆頭に多くの人々が「国民」として登録し、「国民」の数は20万人にものぼりました。
著名人が「国民」として名を挙げた事もあり、プラスチックごみを「国家」として登録する、という行動は多くのメディアに注目され、キャンペーンに使用された動画は5億人にリーチしました。
ゴミを「国家」として登録してしまうという発想と、「国民募集」という形で、一般人を巻き込むことに成功した点が巧みなプロジェクトです。
2019年PR部門グランプリ:「The tampon book」
■Brand
The Female Company
■Agency
Scholz & Friends Berlin GmbH
タンポンのサブスクリプションモデルを展開するドイツのスタートアップ企業「The Female Company」が実施したプロジェクト。
実はドイツの税率は基本的に税率19%と決まっているが、食品などの生活必需品のみ7%と税率の軽減が認められている。
しかしドイツ国内では、タンポンを含め「生理用品」は「生活必需品」として認められておらず、女性は19%の税金を払わなければいけないのです。
この消費税の問題に着目した同社は、7%の軽減税率が適用されている本に付録としてタンポン15個をつけ販売しました。
「本」には生理に関することを40ページほど書き、タンポンを「本の付録」として売ることで、「本」の税率を適用したのです。
この本は発売1日で売り切れ、インフルエンサーをはじめ、多くの人がこの「本」をSNSでシェアしたことで1週間以内に第2版が売り切れました。
税率格差の問題に取り組みつつ、しっかり自社のビジネスのグロースに繋げた点が優れたプロジェクトです。
まとめ
PART2では2015年~2019年の4事例をまとめました。
どの事例も優れたファクト、優れたストーリーだけで終わらず、実際に行動変容を起こし、人を動かすことに成功している点がやはり評価されたのではないでしょうか。
またカンヌ事例をまとめるので是非フォローお願いします!
「チタニウム部門」をまとめた過去記事もぜひ読んでみてください!
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