【カンヌライオンズ/Cannes Lions】ヘルス&ウェルネス部門歴代グランプリまとめてみた
こんにちは、あおきかい(@onakaitaiyurui)です
この記事ではカンヌライオンズ(正式名称:カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル)の「ヘルス&ウェルネス部門」のグランプリをすべてまとめています。
※カンヌライオンズについては以下公式サイトをご覧ください
それでは早速紹介していきましょう!
2014年ヘルス&ウェルネス部門グランプリ:「Mother Book」
■Brand
医療法人 葵鐘会
■Agency
電通中部支社
「Mother Book」はクリニックを運営している、医療法人葵鐘会が制作した妊娠ダイアリー
出産までの40週間を1冊のダイアリーにまとめたもので、ページをめくるごとに本の中に描かれているお母さんのお腹が少しずつ大きくなっていくなど、デザイン面で「今妊娠の中でどの状況なのか」という部分を見える化しており、お母さんは各ページに、生まれてくる子への想いや、今の心境を記すことができる。
葵鐘会はこの「Mother Book」を妊娠初期の段階で産婦人科を受診した方に配布しました。
また今も購入は可能で、産休に入る方へのプレゼントや、パートナーへのプレゼントとして購入される方もいるそうです。
クラフトデザインやアイデアのクオリティに加えて、根幹にある「生命の誕生を祝福する」という普遍的な強いメッセージ性が高く評価され、ファーマ部門初代グランプリを受賞しました。
2015年ヘルス&ウェルネス部門グランプリ:「Intimate Words」
■Brand
Always
■Agency
Leo Burnett Mexico
生理用品ブランドのオールウェイズがメキシコのオアハカ村で実施した、女性の子宮頸がんの早期発見の啓発を目的に実施したプロジェクト
プロジェクトが実施された村オアハカは、カトリックの影響が非常に強く、女性の生殖器を表現とする言葉がタブーとされているという背景がありました。
そのため、女性は子宮頸がんに罹ったり、何か違和感を感じたとしても自らの病状をうまく表現することが出来ず、適切な治療を受けることができていない、という課題がありました。
宗教、文化的な大きな壁を超えたのが「Intimate Words」と呼ばれる新たな言葉たちです。
社会学者、言語学者、医師らの協力の下、女性たちとともに、今までタブーとされていた単語を、タブーを避けつつ伝えることのできる新しい言葉をつくり、それを1冊の本に収録しました。
新たな言葉を開発することで、宗教、文化的タブーという大きな壁を越えて、子宮頸がんの早期発見を啓蒙したプロジェクトです。
2016年ヘルス&ウェルネス部門グランプリ:「PROJECT LITERACY」
■Brand
PEARSO
■Agency
FCB INFERNO
イギリスの教育サービス支援会社であるPEARONが実施した識字率向上の啓蒙を目的としたプロジェクト
背景として、世界中で7億5700万人の人が、簡潔な短い文章すら読み書きすることができてないという現実があります。
識字率が低いことは、情報の取得の障壁が非常に高くなるということであり、貧困や犯罪、健康問題など様々な問題につながります。
識字率の低下によって、様々な社会問題につながるということをABCの歌に合わせて、分かりやすく発信したのがこの「PROJECT LITERACY」
例えば、「A」はエイズ(AIDS)、「E」はエボラウイルス(Ebola)、「O」は過剰摂取(Overdose)のようにABCの歌に合わせて、社会問題を発信しています。
誰にでもなじみのあるABCの歌を活用し、識字率低下の問題点を訴求したプロジェクトです。
2017年ヘルス&ウェルネス部門グランプリ:「Meet Graham」
■Brand
Transport Accident Commission(TAC)
■Agency
Clemenger BBDO Melbourne
オーストラリアの交通安全協会TACが、交通事故の怖さや安全啓蒙の訴求を目的として実施したプロジェクト。
目に見えないから伝わりづらい交通事故の怖さや恐ろしさを可視化するために、あるものを開発しました。
それが「グラハム」と呼ばれる人間のモデルです。
「グラハム」は交通事故に遭っても絶対に怪我をしない人間のモデルであり、その巨大な頭蓋骨や厚い皮膚からなんともグロテスクな印象を受けます。
この「グラハム」は学校や自治体で行われる交通指導セミナー等でも活用されました。
交通事故に遭っても絶対怪我をしないグロテスクな人間「グラハム」を開発することで交通事故の恐ろしさを可視化し、交通安全の啓蒙を行ったプロジェクトです。
2018年ヘルス&ウェルネス部門グランプリ:「CORAZÓN – GIVE YOUR HEART」
■Brand
Montefiore Hospital
■Agency
JohnXHannes
NYの医療センターMONTEFIOREが実施した臓器提供の登録の促進を目的としたプロジェクト。
プロジェクトの中では、臓器提供のドナー登録者を増やすために、実話を元にした映画が制作されました。
この映画は、デミアン・ビチルやアナ・デ・アルマスなど著名な俳優・女優が出演したこと、トライベッカフィルムフェスティバルと協力し、プレミア上映されたことなどで非常に話題になりました。
さらに、映画での啓蒙にとどまらず、スマートフォンを胸部に押し当てるだけで臓器提供のドナー登録をすることのできるアプリも開発し、ドナー登録をより身近なものに変えたのです。
ただのコミュニケーションにとどまらず、実際にツールを開発することで、ドナー登録の促進を行った点が評価されました。
2019年ヘルス&ウェルネス部門グランプリ:「ThisAbles」
■Brand
IKEA
■Agency
McCann Tel Aviv
イスラエルのIKEAが身体障害者を支援するNPOMilbat、Access Israelと共同し、障がいのある人にとっても同社の家具を使いやすくすることを目的としたプロジェクト
プロジェクトは主にIKEAの家具に取り付けるアタッチメントパーツの提供と、IKEA製家具や日用品のユニバーサルデザイン的観点からの見直しという2つの軸から実施されました。
ThisAbleのサイトには家具に取り付けるアタッチメントパーツの3Dプリントデータが掲載され、ユーザーは自由にデータをダウンロードして3Dプリントすることで、アタッチメントパーツを使用することができます。
提供されているアタッチメントパーツには、電気スタンドのスイッチを大きくして、押しやすくする「MEGA SWITCH」や、腕だけでワードローブの扉を開ける「EASY HANDLE」など10種類以上のものが用意されました
プロジェクト名であるThisAbleには"「Disable(できなくする)」を「ThisAble(これで、できる)」に変えていく"、と言う意味が込められています。
ブランドパーパスでユニバーサルデザインを謳うだけでなく、実際にプロダクトに落とし込み、人々の生活の中の課題を解決したプロジェクトです。
まとめ
今回は「ヘルス&ウェルネス部門」をまとめました。
下記マガジンにて他のカンヌ歴代グランプリをまとめているので、チェックしてみてください!
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