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【カンヌライオンズ/Cannes Lions】プロモ部門歴代グランプリまとめてみた PART1

こんにちは、あおきかい(@onakaitaiyurui)です

この記事ではカンヌライオンズ(正式名称:カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル)の「プロモ部門」のグランプリをすべてまとめています。

※カンヌライオンズについては以下公式サイトをご覧ください

それでは早速紹介していきましょう!

2006年PROMO部門グランプリ:「Fast」

■Brand
Volkswagen
■Agency
Crispin Porter + Bogusky

VolkswagenのGTIシリーズの新モデル登場に伴い、コンセプトである「Make friends with your fast」を訴求することを目的に実施したプロジェクト。

Volkswagenはコンセプトを訴求するために、「Fast」というウサギのキャラクターを作成しました。

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男性がGTIを運転していると後部座席から「Fast」がまるで友達のように話しかけているCMを作成、そして実際に「Fast」のフィギュアを作成しました。

その結果、Volkswagenの熱狂的なファンの間で大きな話題となり、フィギュアは即完売、さらに転売の続出や、偽物のTシャツやポスターまでもがオークションサイトに掲載されるようになりました。

そして「Fast」を通じたコンセプト訴求によって、GTIシリーズの目標売上の1.8倍拡大を達成しました。

コンセプトをキャラクターに落とし込むことで、ブランドとユーザーの関係性を強固にした点が優れたプロジェクトです。

2007年PROMO部門グランプリ:「Bonded By Blood」

■Brand
adidas
■Agency
WHYBIN\TBWA TEQUILA

ラグビーニュージーランド代表の国内のエンゲージメントを強化し、代表ユニフォームの売上をアップすることを目的にした、ポスターを活用したプロモーション。

通常のポスターを配布・販売することはよくあるのですが、このプロジェクトで作られたポスターは少し変わったものでした。

それは選手たちの血液を採取し得られたDNAを代表ポスターの1枚1枚に印刷し、「血のりポスター」を作るというアイディア。

「血」を使用することで、国民のエンゲージメント獲得を狙ったのです。

シリアルつきで販売されたポスター8,000枚はあっという間に売り切れ、
すぐにネットオークションで高額で取引される
ようになりました。

メイキング映像はyoutubeで2万回以上視聴され、TVニュース、やウォールストリートジャーナルでもこのポスターが紹介されました。

その結果adidas all black(NZ代表の愛称)の売上は、24%アップという事前目標以上の結果を出しました。

2008年PROMO部門グランプリ:「HBO Voyeur」

■Brand
BBDO New York
■Agency
HBO

「ストーリー性を重視した、豊富な種類のドラマを提供していること」の訴求を目的に、アメリカの有料ケーブルテレビ局HBOによって実施されたプロモーション。

HBOはプロモーションの中で、とあるwebコンテンツを公開しました。

webコンテンツは架空の4階建てアパートの8部屋で同時進行する住人の日常を覗き魔の視点から観察できる、というもの

さらに同様のコンテンツを実在する建物にプロジェクションマッピングによって大規模に映し出し、話題になりました。

このプロジェクトのコンセプトは、「See what people do when they think no one is Watching.(=誰にも見られていないときに、人は何をするかを観察する)」

架空のマンションの住人によってそれぞれ展開していくストーリーを見せることで、自社のドラマの多様性を訴求しました。

2009年PROMO部門グランプリ:「 夕張夫妻」

■Brand
Yubari Resort
■Agency
Beacon/Leo Burnett Tokyo

2007年に財政破綻をした北海道夕張市の経済的な自立と観光客の増加を目的に実施されたプロジェクトです。

「夕張夫妻」は「金はないけど愛はある」を座右名に持つ「父さん(倒産)」と「まっ母さん(真っ赤)」による「自虐系」キャラクター。

夕張市の離婚件数は全国的に見ても多く、同市が抱えている「負債」に「夫妻」を掛けて、「夫婦円満の町」を全国にアピールしました。

「夕張夫妻」をご当地キャラクターとして活用し、グッズや商品など多くのコラボレーションにつなげることで、ビジネスの拡大に成功しました。

さらに、この「夕張夫妻」はボランティアとしての自主提案から生まれたといった逸話もあるので、興味がある方はぜひ読んでみてください。

2010年PROMO部門グランプリ:「Replay」

■Brand
Gatorade
■Agency
TBWA\Chiat\Day Los Angeles

ゲータレードが、アメリカの30代の運動への意識を高めることを目的に実施した、とある「伝説の試合」を再現したプロジェクト。

映像の中で30歳すぎの男性が、必死にトレーニングを行い、アメフトをプレイしています。

実はこの試合はゲータレードが企画したプロモーションの一環で、映像に参加している選手は全員イーストン校とフィリップスバーグ校のOBです

両校は1993年に試合を行っていますが、その試合は引き分けで終わっていました

両校のOBは15年ぶりに集まり、90日間のトレーニングを実施、当時と同じメンバーで15年ぶりに試合を再現しました。

「ゲータレード」は90日間、選手をフルサポートするだけでなく、その様子をドキュメンタリーとして4か月間にわたり放送し、話題を呼びました。

選手たちはゲータレードを飲み、トレーニングを行っていくうちに、若いころの体を取り戻していきます。

そして当日の観戦チケットは90分で完売、ニューズの波及効果は341万5,225ドル相当に上り、試合開催地域でのゲータレードの売り上げは63%増加しました。


2011年PROMO部門グランプリ:「The American Takeover」

■Brand
Rom
■Agency
McCann Worldgroup Romania

ルーマニアのチョコレート菓子「ROM」に対する、国民からの支持を高めることを目的に実施されたプロジェクト。

1989年のルーマニア民主化以来、「ROM」はパッケージに国旗をモチーフとしたデザインを採用し、長らく多くの国民に愛されてきた一方、近年、若者にとっては「ダサいお菓子」の典型となり支持が薄れつつありました。

▼パッケージイメージ

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そこでメーカーが目を向けたのが、ルーマニア国民の愛国心。

プロモーションの第1段階として、「ROM」のパッケージを以前のルーマニア国旗から、アメリカの国旗をモチーフにしたデザインに刷新、パッケージ変更についてTV-CMや店頭キャンペーン、WEBサイトなどで告知を行いました

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その結果、ルーマニア国民からは「元のデザインに戻せ!!」といったデザイン変更への非難、批判が大量に続出し、愛国心に火をつけることになりました

非難・批判のムーブメントはFacebookでも発生し、ニュースなどにも取り上げられたそうです

(ちなみにここまではすべて「ROM」の想定内)

その後、プロモーションの第2段階として、一夜にしてパッケージデザインを元のルーマニア国旗のデザインに戻し、アメリカ国旗へのデザイン変更は「ジョークであったこと」をTV-CMやWEBサイトなどで告知しました

そして非難・批判を行った国民に対し、「ルーマニア人の愛国心の再発見」を「(国民)みんなで喜びましょう」と市民に呼びかけました

このキャンペーンは、「狙い通りに愛国心に基づいた批判・非難を噴出させた」という点で、非常に優れた炎上マーケティングの事例です

その結果。このキャンペーンは67%のルーマニア国民に到達、広告換算で300,000ユーロものフリーパブを獲得し、何千もの「ROM」に対するブログ上での議論が生まれ、「ROM」のFacebookのファンはわずか4日間で20000人増え、6日間で従来より300%増加したそうです。

さらに驚くことにブランド指数(「このブランドは自分のためのブランドである」と考える人の割合)は124%増加、同市場で圧倒的な20%ものシェアを獲得しました。

ちなみにプロモ部門の他に、ダイレクト部門においてもグランプリを獲得しています。

▼定量・定性効果については以下参照


2012年Promo&Activation部門グランプリ:「Small Business Official Day」

■Brand
American Express Open
■Agency
CP+B

アメリカの年末商戦における中小企業のビジネス活性化を目的としたプロジェクト。

アメリカでは11月の第4金曜日がブラックフライデー、その翌週月曜日がサイバーマンデーと呼ばれており、アメリカ全土の小売りが一斉に盛り上がる日とされています

しかし「ユーザーの集中が大手の小売り企業に偏ってしまう」という課題がありました

そこでブラックフライデーとサイバーマンデーに挟まれた土日を、中小企業のビジネス活性化に貢献する週末にしよう、と実施されたのが、「Small Business Official Day」です

具体的には、中小企業先着1万社に対するFacebook広告枠の無償提供、参加企業でアメリカンエキスプレスカードを利用したユーザーへのキャッシュバック、プロジェクト浸透を目指した各地域コミュニティーへの草の根活動などを実施しました

その結果州知事や市長が協力と積極展開を公言し、オバマ大統領までもがハッシュタグ(#SmallBusinessSaturday)をつけてツイートしました

消費者にとってはキャッシュバック、中小企業にとっては売上の向上、アメックスにとっては、新規会員獲得や既存会員のロイヤリティアップ、というようにそれぞれのメリットが巧みに設計されたプロジェクトです

まとめ

PART 1では2006年から2012年の計7つのプロモ部門グランプリを紹介しました。

後半の記事はこちら~!


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