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【カンヌライオンズ/Cannes Lions】プロモ部門歴代グランプリまとめてみた PART2

この記事ではカンヌライオンズ(正式名称:カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル)の「プロモ部門」のグランプリをすべてまとめています。

※PART1 はこちらです

2013年Promo&Activation部門グランプリ:「Immortal Fans」

■Brand
Sport Club do Recife
■Agency
Ogilvy Brasil Comunicação Ltda.

ブラジルのフットボールクラブ「スポルチ・レシフェ」が臓器提供啓発を目的に実施したプロジェクト

「スポルチ・レシェフ」はファンの熱量が非常に高いことで有名なフットボールクラブで、このファンの熱量を臓器提供啓発に巧みに結び付けました

具体的には「万が一不慮の事故にあったとしても、臓器のドナー登録さえしていれば自分の臓器を必要としている“他のサポーター”の体の一部になり、永遠に大好きなクラブを応援し続けることができる」というメッセージ性を訴求し、ドナーカードを発行したのです。

プロモーションに使用された動画では、臓器提供を必要としている人々が「あなたの眼でスポルチ・レシフェの試合を見続けます」、「あなたの肺でスポルチ・レシフェのために呼吸し続けます」「あなたの心臓はスポルチ・レシフェのために高鳴り続けます」と叫んでいます。

ファンは「一生応援し続けることができるならば、、、!!」と臓器提供を快く承諾するのです。

そしてその結果、51,000枚を超える臓器提供カードが発行され、臓器提供のドナー登録者は1年で54%増加。心臓移植と角膜移植の臓器提供待ち患者数は、ゼロになったそうです。

「永遠にファンでありたい」という熱量をを、「臓器提供のドナー登録」という行動変容に結び付けた点で優れていたプロジェクトです。

2014年Promo&Activation部門グランプリ:「Sorry, I Spent It On Myself」

■Brand
Harvey Nichols
■Agency
adam&eveDDB

イギリスの高級デパート「Harvey Nichols」がクリスマスの時期に実施したプロジェクト。

クリスマスは非常に楽しいイベントである一方、家族や親戚へのプレゼントを購入しなければならないなど、経済的負担支出が非常に大きなイベントです。

そこで誰もが一度は思ったことがあるであろう、「他人じゃなくて、自分のためにお金を使いたい!」というインサイトを実現したのが、「Sorry, I Spent It On Myself」というプロジェクト

通常、高級デパートがクリスマスシーズンに発売するギフトコレクションはバグやコスメなど、高価なものがメインです。

しかしHarvey Nicholsが展開したギフトコレクションは全く逆で、クリスマスギフト風のパッケージに入った“つま楊枝”や“輪ゴム”など数百円程度で買えるものばかりでした。

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「自分用のプレゼントを買ってしまいお金がなくなっても、これを自分以外へのプレゼントにして経済的に済ませましょう」というメッセージと共に、斬新なクリスマスギフトを販売したのです。

このコンセプトが非常に話題になり、多くのメディアで紹介された結果、2万点の商品が、わずか3日で完売したそうです。

2015年Promo&Activation部門グランプリ:「LifePaint」

■Brand
Volvo
■Agency
Grey London

「安全を守る」というブランドメッセージを訴求し、実際に自転車事故を減らすことを目的に実施したプロジェクト。

VOLVOは夜間に発生している自転車事故を減らすためにある商品を開発しました。

それが動画内で登場している夜光塗料スプレーです。

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夜間の自転車事故を減らすために、オリジナルで夜間に発光するスプレーを開発し、自転車店で販売しました。

その結果、大きな反響を呼び、プロモーション当初は2000本しか用意していなかったスプレーがなんと6万本まで売れました。

自動車メーカーという立場でありながら、自転車側もアプローチに巻き込む、という発想が優れたプロジェクトです

2016年Promo&Activation部門グランプリ:「#OptOutside」

■Brand
REI
■Agency
Venables Bell & Partners

アメリカのアウトドア用品販売店であるREIが、1年の中で最も大きなセール日であるブラックフライデーにあえて休業し(Opt Out=撤退する)、買い物への執着を止め、健康的にアウトドアアクティビティーを楽しむことを訴求したアンチブラックフライデープロモ-ションです。

REIは、全143店舗とオンラインストアを休業した上で、約1万2000人の従業員に給与を支払い「アウトドアで過ごすこと」を推奨、ユーザーに対しても買い物に固執するのではなく、健康的にアウトドアアクティビティーを楽しむことを呼び掛けました。

このプロモ-ションは大きな反響を呼び、Adageによると宣言から24時間でメディアインプレッションは27億回を記録
その後、多くのメディアで報道され、最終的には67億回に達しました。

さらに#optoutsideは他の企業や団体にも影響を与え、150を超える企業が店舗の休業に賛同、何千もの国立公園がブラックフライデー当日に敷地を無料で開放するなど、#optoutsideは世の中のムーブメントとなりました。

「赤字から黒字に切り替わる日」という名前の由来にもある通りブラックフライデーは小売店舗にとって最も大きな商戦日です。

その機会にあえて休業することで、「自然の中でこそ人生がより豊かに感じられる」というブランドが提供している価値をユーザーに訴求することに成功しました。

実際にブラックフライデー当日、160万人以上の人々が買い物ではなくアウトドアを選択したそうです。

2017年Promo&Activation部門グランプリ:「Boost Your Voice」

■Brand
Boost Mobile
■Agency
180LA

米国の携帯販売チェーン(正しくはMVNO)「ブースト・モバイル」が、国民の投票率向上を目的に実施したプロジェクト

米国は先進諸国の中でも投票率が低く、特に低所得者層の投票率が低いという課題を抱えていました。

その原因として、「投票所が遠い」「待ち時間が長い」といった要因が挙げられ、実際にオバマ前大統領が選出された2012年の選挙時も、1000万人もの投票者が長蛇の列をつくり、長いところで7~9時間待たされた人もいたそうです。

そこでブースト・モバイルは、大統領選投票日、最寄りの投票所(店舗)を調べられるアプリを開発、さらに数百におよぶ自社の店舗を臨時の投票所として登録・開放し、投票を促すイベントを実施しました。

その結果、キャンペーン実施エリアにおける投票率を23%向上(全米平均6.6%向上)させることに成功しました。

「声を届ける」というケータイ会社の使命を、「(投票を通じ)国民の声を届けるために店舗を開放する」という社会的な行動に結び付けた点が非常に優れたプロジェクトです。

2018年Brand Experience & Activation部門グランプリ:「Today at apple」

■Brand
Apple Inc.

※2018年からカンヌライオンズ全体で大きな変革があり、各部門が廃止・統合されています。このnoteでは引き続きプロモ部門の拡張とされているBrand Experience & Activation部門についてまとめています。
(詳細は下記記事を参照してみてください)


Appleがユーザーに製品理解や、ユーザーとのコミュニケーションを目的に各店舗で展開していたプロジェクト。

「Today at Apple」プログラムは2016年、米国サンフランシスコの店舗オープンに際し、従来行われていたワークショップに代わって開始されました。

内容としては、店頭でApple商品の使い方をレクチャーする基本的なものから、オリジナルの曲を作成するセッション、街に出て絵を描くセッション、プログラミングを学ぶセッション、rなど、様々なものを無料で実施しました。

ワークショップはすべて無料で開催され、予約なしで飛び入りで参加することができます。

従来のワークショップはApple製品自体レクチャーの色が濃かったですが、「Today at Apple」においてはApple製品によってもたらされる体験を複数のユーザーと共に共有する、という色が濃いとされています。

その結果、Apple店舗が単なる売り場としての枠組みを超え、ユーザーとコミュニケーションを取り、製品体験を共有するコミュニティとして作用した点が評価されたプロジェクトです

2019年Brand Experience & Activation部門グランプリ:「Changing the game」

■Brand
XBOX
■Agency
McCann New York

身体に障害のある子供たちによりXboxを楽しんでもらうことを目的に実施したプロジェクト。

身体に障害をもつ子供たちにとって、従来のXboxのコントローラーでは、指先が自在に動かせないとどうしても操作に制限があるという課題がありました。

そこでマイクロソフトは自分の障害に応じて自在にカスタマイズし、遊ぶことのできるゲームコントローラーを開発しました。

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天面には2つの大きなボタンや十字ボタンなどが配置されているほか、背面には自分の使いやすいように外付けのスイッチ、ボタン、マウント、ジョイスティックなどを接続することができるようになっています。

いわば自身の障害の度合いに合わせて、コントローラーをカスタマイズすることができるのです。

マイクロソフトはこのプロダクトを多面的に展開するために、スーパーボウルでのCM放映やこのコントローラーを使ったe-sports大会の開催なども実施しました。

放送されたCMはYouTubeで3,000万回近く視聴され、11億ものインプレッションを獲得。また各種メディアからも『これまでで最高のスーパーボウルCMだ』『MicrosoftとXboxを誇りに思う』といった高い評価を得ています。

「より多くのユーザーにゲームを楽しんでほしい」というブランドの想いをしっかりプロダクトに落とし込み、ユーザーの「不」を解消した点で優れたプロジェクトです。

まとめ

PART2ではプロモ部門グランプリの2013年~2019年の7事例をまとめました!

またカンヌ事例をまとめるので是非フォローお願いします!

カンヌグランプリをまとめた記事のマガジン「カンヌ歴代グランプリまとめてみた」を作成しているので、ぜひ見てみてください!


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