【カンヌライオンズ/Cannes Lions】プリント&パブリッシング部門グランプリまとめてみた PART 2
こんにちは、あおきかい(@onakaitaiyurui)です。
この記事ではカンヌライオンズ(正式名称:カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル)の「プリント&パブリッシング部門」(プレス部門)のグランプリ(2010年~2019年)をまとめています。
※カンヌライオンズについては以下公式サイトをご覧ください
2010年プリント&パブリッシング部門グランプリ:「BILLBOARD」
■Brand
BILLBOARD
■Agency
AlmapBBDO
音楽雑誌BILLBOARDが制作したアーティストとそのルーツにフォーカスしたクリエイティブ
一見すると通常のポスターですが細かく見てみると、いくつかの種類の顔によって一つの絵が構成されています。
またポスターの中央部にはアーティストが影響を受けた人物の名前が書いており、「アーティストがどの人物によって構成されているか(影響を受けているか)」を視覚的に表現しています。
上記の画像以外にもエミネムやレディーガガなど様々なアーティストの物が制作されました。
2011年プレス部門グランプリ:「Heaven & Hell」
■Brand
Samsonite
■Agency
J. Walter Thompson Shanghai
中国のスーツケースメーカーSamsoniteが自社のスーツケースの耐久力の高さを訴求するために制作したクリエイティブ
飛行機の客席(上半分の白い世界)と荷物収納庫(下半分の黒い世界)を対比して「天国と地獄」のモチーフで再現
そして地獄のような荷物収納庫の中でも十分耐えうる耐久性を持ったスーツケースであることを訴求しました。
一目見ただけで視覚的に訴求内容が伝わるウィットに富んだコンセプトが特徴的です。
2012年プレス部門グランプリ:「UNHATE」
■Brand
UNITED COLORS OF BENETTON
■Agency
FABRICA Treviso
イタリアのアパレルブランドUNITED COLORS OF BENETTONが「憎しみ合う文化を乗り越える必要性」について訴求するために制作したクリエイティブ
クリエイティブにはアメリカと中国、韓国と北朝鮮といった対立する国同士の首脳がキスをしているというキービジュアルが使用されました。
この非常に生々しく目を引くクリエイティブが話題になり、世界各国のメディアに掲載されたほか、ブランドのFacebookページのファン数は60%増加しました。
また写真は無断使用であったため、諸方面から反感を買い一部掲載取りやめになるなど、物議を醸しました。
2013年プレス部門グランプリ:「Front covers on the back cover」
■Brand
Apple
■Agency
TBWA\Media Arts Lab
AppleがiOPad miniの機能性を訴求するために制作したクリエイティブ
Appleは雑誌TIMEの“裏表紙”に実物大のiPad mini広告を出稿しました
iPad miniに電子書籍を表示させている様子を、実物大のサイズで広告に落とし込むことで、電子書籍がいかにコンパクトで利便的化を視覚的に訴求しました。
またTIME以外の雑誌(WIRED、New Yorkerなど)にも同様のコンセプトで出稿し話題になりました。
2014年プレス部門グランプリ:「Sorry I Spent it on Myself」
■Brand
Harvey Nichols
■Agency
Adam & Eve DDB
イギリスの高級デパート「Harvey Nichols」がクリスマスの時期に実施したプロジェクト。
クリスマスは非常に楽しいイベントである一方、家族や親戚へのプレゼントを購入しなければならないなど、経済的負担支出が非常に大きなイベントです。
そこで誰もが一度は思ったことがあるであろう、「他人じゃなくて、自分のためにお金を使いたい!」というインサイトを実現したのが、「Sorry, I Spent It On Myself」というプロジェクト
通常、高級デパートがクリスマスシーズンに発売するギフトコレクションはバグやコスメなど、高価なものがメインです。
しかしHarvey Nicholsが展開したギフトコレクションは全く逆で、クリスマスギフト風のパッケージに入った“つま楊枝”や“輪ゴム”など数百円程度で買えるものばかりでした。
「自分用のプレゼントを買ってしまいお金がなくなっても、これを自分以外へのプレゼントにして経済的に済ませましょう」というメッセージと共に、斬新なクリスマスギフトを販売したのです。
このコンセプトが非常に話題になり、多くのメディアで紹介された結果、2万点の商品が、わずか3日で完売したそうです。
2015年プリント&パブリッシング部門グランプリ:「Dog」「Baby」「Squirrel」「Moths」
■Brand
The Buenos Aires Public Bike System
■Agency
The Community / La Comunidad Miami
ブエノスアイレスの公共自転車の利用サービスが、24時間対応を開始したタイミングで制作したクリエイティブ
「24時間いつでも走ることができる」ということを、餌を追いかける動物や、おっぱいを求める赤ちゃんのモチーフを使用し表現しました。
2016年プリント&パブリッシング部門グランプリ:「MCWHOPPER」
■Brand
Burger King + Peace One Day
■Agency
Y&R New Zealand
アメリカのバーガーキングがマクドナルドと共に、国際平和デーのタイミングで実施したプロジェクト。
毎年9月21日は平和を祈念するための国際平和デーとされています。
長年マクドナルドと「ハンバーガー戦争」を繰り拡げていたバーガーキングが、この平和を象徴するモーメントに合わせて、ハンバーガー戦争の一次停戦と平和を愛するバーガー「McWhopper」の制作を提案しました。
「McWhopper」は文字通り、両社の代表的なメニュー「ビッグマック」と「ワッパー」を掛け合わせた商品。
結果的にマクドナルドはこの提案を拒否したため、公式の「McWhopper」は生まれなかったのですが、両社のファンたちが勝手に「McWhopper」を作り出し、各々が作った「McWhopper」をソーシャルメディアに載せたことで非常に大きな社会現象となりました。
「McWhopper」というユーザーがオリジナリティを発揮できる余白のあるコラボを行うことで、公式コラボが実現しても、実現しなくても、どちらにせよ大きな話題に繋げることができた、という点が非常に優れたプロジェクトです。
2017年プリント&パブリッシング部門グランプリ:「Burning Stores Campaign」
■Brand
Burger King
■Agency
DAVID
アルゼンチンのBurger Kingが自社の直火焼きスタイルのハンバーガーを訴求するために制作したクリエイティブ
実際に火事のあったイタリア、オレゴン、ペンシルバニアの店舗の写真をあえてクリエイティブに使用し話題を呼びました。
またクリエイティブには、"Flame grilled since 1954 "というコピーと共に、火事があった日と店舗名も記されています。
2018年プリント&パブリッシング部門グランプリ:「TAGWORDS」
■Brand
Budweiser(AB Inbev)
ビールメーカーのBudweiserが制作したプリント広告
Budweiserは長年音楽フェスをスポンサーするなど、音楽カルチャーシーンと密接に関わっていました。
しかし、アーティストの画像などは権利の問題で広告に使用することができないという障壁がありました。
そこでビジュアルを広告に使用するのではなく、Googleで検索する用の「タグワード」のみを掲載したプリント広告を制作、ユーザー自身に検索してもらう、といった逆張り思考のコミュニケーションを取りました。
検索行動を引き起こすことで、アーティストがBudweiserを持っているような画像を確認できるだけでなく、ブランドサイト等の情報に触れた場合、ブランド理解も深まるといった副次効果も期待できる設計になっています。
2019年プリント&パブリッシング部門グランプリ:「The Blank Edition」
■Brand
An-Nahar
■Agency
Impact BBDO
レバノンの新聞社An-Naharが実施したキャンペーン
レバノンでは2018年5月の国会議員選挙後、政治勢力同士の意見対立によって内閣樹立が出来ず半年間も無政府状態が続いていました。
これに抗議するため、An-Naharは何も書いていない(blank)の新聞を流通、政治家への抗議と国民の議論を煽りました。
また新聞以外のサイト、SNS、野外広告なども含め、「政治家が仕事をしないのであれば、新聞社も仕事をしない」というスタンスの下、あらゆるものを空白にしました。
その結果海外メディア等でも大きく取り上げられ、選挙から8か月後、ついに国民の望んでいた政府が発足されました。
まとめ
今回は「プリント&パブリッシング部門」(プレス部門)歴代グランプリ(2010年~2019年)をまとめました。
下記マガジンにて他のカンヌ歴代グランプリをまとめているので、チェックしてみてください!
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