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【カンヌライオンズ/Cannes Lions】メディア部門歴代グランプリまとめてみた PART2

こんにちは、あおきかい(@onakaitaiyurui)です

この記事ではカンヌライオンズ(正式名称:カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル)の「メディア部門」のグランプリ(2012年~2019年)をまとめています。

※カンヌライオンズについては以下公式サイトをご覧ください

2012年メディア部門グランプリ:「Google Voice Search」

■Brand
Google
■Agency
MANNING GOTTLIEB OMD London, UNITED KINGDOM

当時新機能として話題になっていたVoice Searchの認知獲得を目的としてGoogleが実施したプロジェクトです。

ロンドン国内の駅内広告やポスター・屋外看板に英語の発音記号を掲出しました。

屋外広告に表示されている発音記号をGoogle Voice Searchに向けて発音すると、Google Voice Searchが関連した情報を検索してくれます。

思わず見た瞬間に試したくなるかつ、Google Voice Searchの機能を訴求できるクリエイティブ、メディア(ロンドンの地下鉄に「シャーロックホームズ」など)が評価されました。

2013年メディア部門グランプリ:「WHY WAIT UNTIL IT’S TOO LATE? 」

■Brand
DELA
■Agency
Ogilvy & Mather Amsterdam

オランダの葬儀保険会社DELAが、自社のブランディングを目的に実施したキャンペーンです。

日本でも大切な人が亡くなった後に、どれだけ故人が素敵で大事な人だったかを語る場面は多く見られます。

このインサイトから「手遅れになる前に、大切な人に想いを伝えよう」というコンセプトを設定し、様々な手法で展開しました。

大切な人に告白する様子や、感謝を伝えるサプライズをする様子をTVCMやポスターで展開しました。

さらに新聞広告では、上部に「Dear」とだけ印字したものを制作、参加者は大切な人へのメッセージをその下に自由に書いていき、集まったメッセージをそれぞれのメッセージが送られた人の家の近くのOOHに起用しました。

その結果『有名企業トップ10ブランド』にランクインし、資産価値も1.5倍になるといった成果にも繋がりました。

「手遅れになる前に、大切な人に想いを伝えよう」というコンセプトを様々なメディアで展開した事例です。

2014年メディア部門グランプリ:「HAPPY ID」

■Brand
Coca-Cola
■Agency
McCann Lima

コカ・コーラが実施した「Happiness」のイメージをより強く定着させるために実施したプロジェクト

プロジェクトが実施されたペルーは、豊かな文化と多様な自然を擁し、高い経済成長率を誇っているにもかかわらず、幸福度指数は南米諸国で16位と比較的低い国でした。

そこでペルーに笑顔を増やし「Happiness」のイメージを強く打ち出すためにコカ・コーラが目を付けたのは「国民IDカード」

「国民IDカード」は笑ってはいけないなど、法律で決まっているわけではないのですが、公的に使用する物なので真顔で撮影する国民が多かったのです。

そこでコカ・コーラはペルー各地に笑顔にならないとシャッターが切られない無料の証明写真機を設置し、笑顔の証明写真を撮影した人には無料でコカ・コーラをプレゼントしました。

さらに笑顔の国民IDカードを「Happy ID」と呼び、「Happy ID」を提示すると特定商品を安く買えるといった取り組みも行い、さらに国民の笑顔を増やしました。

その結果、開始からわずか1か月で5万枚の国民IDカードのうち、4万5千枚のIDが”HAPPY ID”となりました。

さらにメディア掲載の広告換算額は30万ドル以上、ソーシャルメディアでのlikeやView数、シェア数は合計で130万件にものぼったそうです。

2015年メディア部門グランプリ:「Between Us」

■Brand
Vodafone
■Agency
Y&R Turkey

が「レッド・ライト・アプリケーション」(Red Light Application)を使用してDVに苦しむ女性を助けるために実施されたプロジェクト

「レッド・ライト・アプリケーション」(Red Light Application)は、緊急事態に陥ったとき、アプリを起動して3回振るだけで、知人3人にSOSメッセージと位置情報を送ることができるアプリです。

しかしこのアプリの存在がDV加害者である男性に知られてしまっては、アプリの意味がなくなってしまうため、巧妙なメディアプランニングによって、女性「だけ」にアプリの情報を拡げていきました。

まず、YouTubeやVimeoといった動画サイトで、一見メイクアップなどの女性向けコンテンツに見える形でデモ映像を流しました。動画内のほとんどの内容を男性の興味のないメイクアップなどの映像にすることで、男性が離脱するような設計がなされています。

また女性用の脱毛用ワックスストリップには、温めるとアプリの情報を記した文字が表示されるような仕掛けがなされ、女性用下着のタグにはアプリの説明をした紙がつけられました。

その結果、トルコでスマホを持つ女性の実に24%がこのアプリをダウンロードしたという結果を出しています。

DVに苦しむ女性の状況に寄り添ったメディアプランニングが評価されました。

2016年メディア部門グランプリ:「MCWHOPPER」

■Brand
Burger King + Peace One Day
■Agency
Y&R New Zealand

アメリカのバーガーキングがマクドナルドと共に、国際平和デーのタイミングで実施したプロジェクト。

毎年9月21日は平和を祈念するための国際平和デーとされています。

長年マクドナルドと「ハンバーガー戦争」を繰り拡げていたバーガーキングが、この平和を象徴するモーメントに合わせて、ハンバーガー戦争の一次停戦と平和を愛するバーガー「McWhopper」の制作を提案しました。

「McWhopper」は文字通り、両社の代表的なメニュー「ビッグマック」と「ワッパー」を掛け合わせた商品。

結果的にマクドナルドはこの提案を拒否したため、公式の「McWhopper」は生まれなかったのですが、両社のファンたちが勝手に「McWhopper」を作り出し、各々が作った「McWhopper」をソーシャルメディアに載せたことで非常に大きな社会現象となりました。

「McWhopper」というユーザーがオリジナリティを発揮できる余白のあるコラボを行うことで、公式コラボが実現しても、実現しなくても、どちらにせよ大きな話題に繋げることができた、という点が非常に優れたプロジェクトです。

2017年メディア部門グランプリ:「INNOVATING SAVING」

■Brand
Jet.com
■Agency
R/GA

アメリカのECサイトjet.comが実施した、ブランドフィロソフィーを巧みに訴求した統合メディアキャンペーンです。

同社は「INNOVATING SAVING(=革新的に節約をする)」をブランドフィロソフィーにしており、この「節約」という要素をユーモアあふれるメディア戦略で訴求しました。

例えば、1年間で最も広告費が高いとされているスーパーボウル(NFLの優勝決定戦)の時期に"Super Bowls"という商品の広告を出稿することで話題に乗っかたり、Googleの自動音声翻訳機能を使用したナレーションでラジオCMを制作するなど、文字通り「節約」したメディア戦略を行いました。

「INNOVATING SAVING(=革新的に節約をする)」というブランドフィロソフィーをジョークを交えつつメディア戦略に落とし込んだ点が大きく評価されました。

2018年メディア部門グランプリ:「TESCO’S FOOD LOVE STORIES」

■Brand
TESCO
■Agency
BBH

イギリスの小売チェーンであるTESCOが実施した、料理の根幹にある「愛」にフォーカスしたプロジェクト

英国全体の不況による市場規模縮小が発生し、多くの競合が値下げ戦略を掲げていた中で、同社は「料理は愛する人のために作るものである」というインサイトから、ユーザーの愛や、そこに生じるストーリーをベースにプロモーションを展開しました。

「“愛する人のためにつくりたい料理”」、すなわち各家庭のホームレシピに焦点を当て、広告クリエイティブとして展開しました。

例えば、レシピの一つである「David's hot or not chicken curry(辛い…いや辛くないデビット流チキンカレー)」は、妻が気付かないうちに、そのままだと辛いカレーにヨーグルトを少しだけ入れるといった、登場人物の人柄やストーリーをといった情緒的側面を含んだものが制作されました。

こういったレシピは広告クリエイティブに使用するだけでなく、TESCOの店頭には実際のレシピカードが配置されました。

またメッセージの訴求はデジタル、OOH、ラジオなど様々なものが使用され、イギリス国内の地域によって訴求する内容も調整されました。

その結果、売り上げは49%増加(8か月で6.8億)、品質イメージは2割向上、キャンペーン自体はイギリス国内の99%のユーザーにリーチするなど非常に大きな結果になりました。

気づかぬうちに淡々と行ってしまう料理や買い物を、「愛」をベースとしたキャンペーンによって情緒的なものに変えたプロジェクトです。

2019年メディア部門グランプリ:「AIR MAX GRAFFITI STORES」

■Brand
Nike
■Agency
AKQA

ブラジルでNikeが実施した、ECへの流入を増加させることを目的としたプロジェクト

Nikeには看板商品であるAir Maxの新製品の人気を高めるとともに、ECへの流入を増やしたいという課題がありました。

一方、ブラジルは「グラフィティ」が世界的に見ても盛んな地域。ファンには人気が高いものの、景観保護の観点から反対も多く、行政はこの状況の打開策として、「グラフィティ」の削除を行ってました。

この状況下で、Nikeはブラジル国内にまだ残っている「グラフィティ」の足元に新作のAir Maxを描き足してもらうように、それぞれの作品のアーティストに依頼、既存の「グラフィティ」を自社のプロモーションに活用しました。

さらにNikeはプロモーション用に位置情報を活用したEC購入システムを構築、ユーザーが実際のグラフィティの前に行かないと、グラフィティに描かれている新作のAir Maxを購入できないように設計しました。

「グラフィティ」をメディアとした宝探しのようなユニークな方法が大きく話題になり、プロジェクトを通じNIKEの売上げは32%増加しました。

まとめ

今回は「メディア部門」歴代グランプリ(2012年~2019年)をまとめました。

下記マガジンにて他のカンヌ歴代グランプリをまとめているので、チェックしてみてください!


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