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【カンヌライオンズ/Cannes Lions】アウトドア部門グランプリまとめてみた PART 2

2010年アウトドア部門グランプリ:「Be Stupid」

■Brand
DIESEL
■Agency
Anomaly New York

DIESELが実施している「Be Stupid」キャンペーンの一環で制作されたポスタークリエイティブ

▼ポスターはこちらのサイトにまとまっています

プロジェクトの中でDIESELは「Be Stupid(=バカであれ)」というブランドコンセプトを訴求するため、ポスターを制作した。

ポスターでは「Stupid might  fail, smart doesn't even try(訳:馬鹿な奴は失敗するかもしれない。だが頭のいい奴は挑戦することすらしない)」などのコピーと共に、普通では考えられない状況を映した写真が掲載されている。

”Stupid”と"Smart"を対比させた、挑発的なコピー、クリエイティブと共にブランドメッセージを訴求した事例

2011年アウトドア部門グランプリ:「Decode Jay-Z with Bing」

■Brand
Microsoft
■Agency
Droga5

アメリカのアーティスト/ラッパー Jay-Zが自伝『Decoded』の発売に合わせ、Bingとコラボして実施したプロジェクト

プロジェクトの概要としては、自伝に登場するJay-Zのゆかりの地に、その本の各ページが分解された状態で隠されており、ユーザーは実際にその場所を探していくことで、自伝を読み進めつつ、Jay-Zの人生を追体験できるというもの。

また本のページは世界中のあらゆる都市に隠され、特設サイトにはその場所のヒントになる写真が載っており、ユーザーは本のタイトル通り「decode(=暗号解読)」しながら楽しむことができる。

さらにBingの位置情報サービス等を使用することで現地に行けないユーザーも楽しむ出来るような設計がなされている。

ページは世界中の屋外広告や、壁面や、プールの底、クルマの車体や、洋服などありとあらゆる場所/物に隠されており、そのスケールの大きさと、オンライン×オフラインを緻密に統合した点が非常に評価された

さらに施策(特設サイト)のプラットフォームとなったBingもユーザー数を大きく伸ばすなど、効果面でも高いパフォーマンスを記録した。

2012年アウトドア部門グランプリ(1):「#COKEHANDS」

■Brand
THE COCA-COLA COMPANY
■Agency
OGILVY SHANGHAI, CHINA

中国のコカ・コーラが"Open Happiness"というコンセプトを訴求するために制作したポスター

代理店(制作)はOGILVY SHANGHAIですが、アイデアの原案はJonathan Makという当時19歳だった学生のもの

制作背景を通じて人種や年齢、肩書によって不当な差別をしないというメッセージ、「cokehands」というクリエイティブ(握手のモチーフ)を通じて世界中の人々が手を取りあうことの重要性を伝え、それぞれによって「Open Happiness」というコンセプトを立体的に訴求しました

2012年アウトドア部門グランプリ(2):「THE INVISIBLE DRIVE」

■Brand
Mercedes Benz
■Agency
JUNG von MATT Hamburg, GERMANY

Mercedes Benzが新しく開発した「F-CELL」という環境にまったく悪影響を与えない新テクノロジーを世の中に訴求することを目的に実施したプロジェクト

プロジェクトの中で同社は「環境への悪影響が全くない=環境からすれば存在しない=目で見ることのできない」とコンセプトを転換し、特殊な素材を使用することでタイヤ以外目で見ることのできない車を開発した。

見えない車が走行する姿と、それを見て驚く人々の様子を撮影した動画がYouTubeに投稿され、大きく話題になった。

コンセプトを巧みに表現(プロダクト)に落とし込んだだけでなく、バイラルの要素を含ませた設計が非常に評価されたプロジェクトです。

2013年アウトドア部門グランプリ:「BENCH」「SHELTER」「LAMP」

■Brand
IBM
■Agency
OGILVY FRANCE

IBMが実施した「スマーター・シティー」キャンペーンの一環で制作された機能性とデザイン性を両立させたOOH。

同キャンペーンは「街がもっとスマートだったら人の生活はさらに豊かになる。(そしてその豊かさをIBMが提供する)」というメッセージを訴求するために行われたもの。

このメッセージを広告にも落とし込み、ベンチや雨除け、スロープなどの実用的な役割も担うOOHを制作しました

近年語られている、広告やブランドが、「社会に良いことをする」といった文脈の「ソーシャルグッド」を体現した、「人の生活を豊かにする広告」の先進的な事例ではないでしょうか

2014年アウトドア部門グランプリ:「GAYTMs」

■Brand
Australia & New Zealand Banking Group
■Agency
TBWA\Melbourne


オーストラリアの大手銀行「ANZ銀行」がシドニーのゲイ&レズビアンフェスティバルに合わせて実施したプロジェクト

ANZ銀行はLGBT・性的マイノリティの祭典「Sydney Gay and Lesbian Mardi Gra」のスポンサーであることからLGBTへの理解と支援を訴求した

同行はフェスティバル開催中、ATMをLGBTの象徴であるレインボーカラーやラインストーンで“ゲイ仕様”に装飾した。さらに利用すると、裏面に“cash out and proud(お金と一緒に誇りも引き出そう)”というメッセージが記載されたレインボーカラーの明細書が出てくる。

さらにATM利用時にかかる手数料はフェスティバルに寄付されるなど、表現だけにとどまらず、実利的な面でもフェスティバルの支援に繋げている点が評価されました。

2015年アウトドア部門グランプリ:「Shot on iPhone 6」

■Brand
apple
■Agency
TBWA\Media Arts Lab

appleがiPhone 6の発売に合わせ実施したプロジェクト

その高いカメラ性能を訴求するため、appleは世界中のiPhone 6 ユーザーがSNSに投稿した写真から優れたものを厳選し、巨大なポスターを制作した。

ポスターは1万枚以上制作され、世界73の主要都市に設置、さらに新聞広告や雑誌の裏表紙などに写真を掲載するなど、他の媒体も活用し統合的な発信を行いました。

また同社の公式HPでは「ワールドギャラリー」と題して、iPhone 6 ユーザーが撮影した写真を撮り方のヒントとともに紹介するなど、ユーザーの興味喚起および理解を促すようなコンテンツも制作しました。

その結果65億ものメディアインプレッションを獲得するなど、大きな話題となったプロジェクトです。

2016年アウトドア部門グランプリ:「BREWTROLEUM」

■Brand
Heineken
■Agency
OLENSO BBDO

ビールブランドHeinekenが、低迷するビールの売り上げを回復するために実施したプロジェクト

「ビール業界全体の売り上げが低迷している」という課題に対して、同社はある方法でビールと環境問題を結び付けることで、ビールを飲むべき理由を訴求した。

それはビールを製造する際に発生する副産物で環境に無害なバイオ燃料「BREWTROLEUM」を製造し、実際にガソリンスタンドで販売するという物。

このシステムを作り上げることで「ビールを飲む事=世界を救うこと」という価値を結び付け、ビールを飲む理由を巧みに作り上げました。

バイオ燃料は30万ℓ製造され、60のガソリンスタンドで販売されました。

プロジェクトを通じ売り上げが10%増加するなど、しっかり結果に結びついている点、ブランドのビジネスに対して圧倒的大規模なアクションによってコミットしている点が評価されたプロジェクトです。


2017年アウトドア部門グランプリ(1):「#」

■Brand
Twitter

Twitter社がアメリカ大統領選を皮切りに実施したシリーズもののOOH。

その時々の世間で話題になっているニュースを表す写真を、Twitterの代名詞「#」と合わせたビジュアルをOOHとして展開したもの。

あえて詳細なキャッチコピーをつけず、「#」だけで訴求したクリエイティブは話題を呼びました。

リアルメディアであるOOHを使用したことで、Twitterがデジタル上の存在だけにとどまらず、オフラインを含めた社会全体の世論作りにおいて大きな存在であることを訴求しました。

2017年アウトドア部門グランプリ(2):「Fearless Girl」

■Brand
State Street Global Advisors
※アメリカの投資マネジメント会社
■Agency
アメリカ

3月8日の国際女性デーを記念して、NYのウォールストリートのシンボルとして有名なCharging Bull(雄牛)の銅像の前に、それに立ち向かうかのような少女の像を一夜のうちに突如出現させたプロモーションです。

ビジネスの中心地であるウォールストリート、そこに設置されているビジネス社会の象徴である雄牛の銅像に立ち向かう少女は職場における男女の立場の違いを表現しました。

少女像は企業の役員会における女性比率の低さや、金融業界における女性の給与の不平等に注目を集めるための仕掛けであり、実際に多くの議論を巻き起こりました。

瞬時的なPR的な話題性とニューヨーク市に観光地として認定されるという永続性の両方を満たしたアイデアであることが大きく評価された要因とされています。

2018年アウトドア部門グランプリ(1):「Follow the Arches」

■Brand
McDonald's
■Agency
Cossette

カナダのマクドナルドが制作した屋外広告。

自社のマークの金色のアーチの曲線部分を切り取り、交通標識に見立てることで、ドライバーに近くのマクドナルドの店舗の位置を示しました。

ミニマルかつ実用的なアイデアが非常に評価されました。

2018年アウトドア部門グランプリ(2):「The Donald J. Trump Presidential Twitter Library」

■Brand
Comedy Central
■Agency
op2Life

アメリカのコメディをメインに扱るTV局Comedy Centralが実施したプロジェクト。

2018年、トランプ大統領の大統領”らしからぬ”発言(ツイート)がソーシャルメディア上で話題になりました。

Comedy Centralはプロジェクトの中で、トランプ大統領の過激なツイートを一覧できる図書館を特設で制作、オンラインコンテンツも展開し、インターネット上でもツイートの一覧を見ることができるようにしました。

「図書館」というフォーマットで大統領のツイートを展示することで、トランプ大統領の発言が大統領としてふさわしいものなのか、という議論を世間に投げかけました。

2019年アウトドア部門グランプリ:「Dream Crazy」

■Brand

■Agency

NIKEが「Just Do It」の30周年キャンペーンの一環で制作したビルボード。

元NFLのスター選手であったコリン・キャパニックをアイコンに起用したのですが、彼は2016年のプレシーズンマッチの試合前、有色人種への差別が許される国に敬意は払えないと、国歌斉唱を拒否したことで賛否を呼び、シーズン終了後にはチームとの契約を終了、この2年間はNFLでプレーしていませんでした。

彼の人生の価値観にも通ずるタグライン "Believe in something, even if it means sacrificing everything.(信じろ、たとえすべてを失うとしても)"がクリエイティブに起用されました。 

ビルボード公開後は、彼を起用したことに失望した人々が自分のNikeの靴を燃やすなど反発も多かったものの徐々に擁護者が現れ好転、一時下がった株価も最終的には上昇に転じました。

社会問題に向き合う企業の姿勢が非常に話題になった事例です。

まとめ

今回は「アウトドア部門」をまとめました。

下記マガジンにて他のカンヌ歴代グランプリをまとめているので、チェックしてみてください!


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