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【カンヌライオンズ/Cannes Lions】モバイル部門歴代グランプリまとめてみた

こんにちは、あおきかい(@onakaitaiyurui)です

この記事ではカンヌライオンズ(正式名称:カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル)の「モバイル部門」をすべてまとめています。

※カンヌライオンズについては以下公式サイトをご覧ください

2012年モバイル部門グランプリ:「Google Hilltop Re-imagined for Coca-Cola」

■Brand
Coca-Cola
■Agency
Johannes Leonardo

インターネットのない時代に活躍していた広告クリエイター達に、当時と全く同じ商品の広告を作ってもらうという「Project Re:Brief」の一環として実施されたプロジェクト。

1971年に「"I'd like to buy the world a Coke.(世界中の人にコークをおごってあげたい)"」というメッセージが話題になったコカコーラのTVCM"Hilltop"を作ったHarvey Gaborに再オリエンし、改めてコカコーラの広告を企画していきます。

プロジェクトの結果生み出されたのは、本当に世界中の人にコークをおごってあげられる自動販売機につながったモバイルアプリ。

1971年当時にはあくまで広告として、「"I'd like to buy the world a Coke.(世界中の人にコークをおごってあげたい)"」と謳うのみでしたが、技術が進んだことで、世界中の人にコカ・コーラををおごってあげられるようになったとのです。

過去の広告で発信してたブランドメッセージを文脈として踏襲し、技術の発展によって、巧みにブランドアクションに昇華させたプロジェクトです。

2013年モバイル部門グランプリ:「TXTBKS」

■Brand
Smart 
■Agency
DDB DM9JAYMESYFU Makati City

フィリピンの大手通信企業であるSmartによって実施された、低価格のフィーチャーフォンによって、教育環境改善を狙ったプロジェクト。

プロジェクト実施当時、先進国ではスマートフォンの普及やタブレット端末の普及が進み、教育の現場においてもタブレット端末等が使用されていました。

一方、フィリピンでは経済的な面から教育にタブレット端末を導入することが難しく、子供たちは多くの教科書を持ち歩く必要がありました。

そこで世界的には「過去の遺物」として認識されていたフィーチャーフォンを活用して実施されたのが「TXTBKS」プロジェクトです。

Smartは教科書の内容を、最大160文字のテキストデータに変換、中古のフィーチャーフォンのSIMカードに書き込むことで、フィーチャーフォンを教科書として生まれ変わらせることに成功しました。

「TXTBKS」の開発により、子供は通学時に重い荷物を運ぶ必要がなくなり、授業への出席率は向上、さらにテストにおける平均正答率も90%になったそうです。

使われなくなったプロダクトの価値転換を行い、社会的な課題を解決した事例です。

2014年モバイル部門グランプリ:「The Protection Ad」

■Brand
Nivea
■Agency
FCB Brasil

日焼け止めで有名なNiveaが、夏場の子連れの女性の悩みである「子供の迷子」を解決したプロジェクト。

Niveaは子供の迷子を防ぐことで、女性のビーチでの悩みをなるべく少なくするために雑誌への広告にある機能を持たせました。

それは広告を切り取って子供の腕に巻き、連動している専用アプリをスマートフォンにダウンロードすると、子供の居場所を知ることができる、というもの。

さらに子供が設定の距離離れた場合、アプリから警告音が発せられる仕組みとなっており、子供の迷子を未然に防ぐことができます。

製品のベネフィットである「紫外線から肌を守る」と「迷子から子供を守る」というキャンペーンコンセプトを巧みにブリッジさせた事例です。

その結果キャンペーンが行われたリオデジャネイロでは「ニベアサンキッズ」の売上げが62%増加しました。

2015年モバイル部門グランプリ:「Cardboard」

■Brand
Google
■Agency
Google Creative Labs

「Cardboard」はGoogle が開発したスマートフォンを差し込んで使用するVRヘッドセットです。

ダンボール製で簡単に組み立てられ、モバイルを差しこむだけで、ユーザーはVRを簡単に体験することが可能であり、販売金額も10~20ドル(約1200~2400円)と手軽に購入可能。

今ほどVRが普及していなかったため、VRの民主化につながるプロダクトを作ったという点が評価されました。また企業接点としてのVRの活用が模索されていた当時、様々な企業が本当のエンゲージメントをユーザーとの間に構築するための手助けをしたという点でも評価されました。

VRという先進技術を手軽に利用できる形に落とし込み、「テクノロジーの民主化」を促進した事例です。

2016年モバイル部門グランプリ:「NYT VR」

■Brand
Google+GE+MINI+New York Times
■Agency
T BRAND STUDIO,New York

「NYT VR」はGoogleが2015年に発売した「Cardboard」を使用して、世界中で起きているニュースを体験することができるモバイルアプリです。

同社は日曜版の新聞と一緒に「Cardboard」を配布し、世界で起きているニュースをユーザーが体験できるコンテンツを「NYT VR」用に制作しました。

その結果、ユーザーは「文字」としてだけでなく、360 °の空間としてニュースを体験することが可能となり、「新聞」という既存媒体に新たな可能性を与えたことが評価され、受賞となりました。

※このアプリを使用した「The Displaced」という作品も同年のエンターテインメント部門グランプリを獲得しています。

2017年モバイル部門グランプリ:「THE FAMILY WAY」

■Brand
リクルートライフスタイル
■Agency
電通ヤング&ルビカム

女性の問題として語られがちな「不妊」を男性の問題としても認知させるために実施されたプロジェクト。

多くのカップルが不妊に悩む中、「不妊の原因の約半数は男性にある」という事実はあまり知られておらず、女性の問題として認知されがちでした。

そこでリクルートライフスタイルは『Seem』というアプリと専用キットだけで自宅で簡単に精子の状態をセルフチェックできるサービスを考案。

専用の顕微鏡レンズで精液を撮影するだけでアプリが動画を解析し、精子の運動率・濃度の測定結果を数値を表示、男性は自身の精子の状態を数値を知ることができます。

ツールを通じて男性の妊活参加へのきっかけを作り、「不妊治療はカップルの問題」という認識を広げ、これまでの女性主体の妊活や不妊治療に変化をもたらすことを狙った事例です。

2018年モバイル部門グランプリグランプリ:「Corruption Detector」

■Brand
Reclame Aqui
■Agency
Grey Brasil

ブラジルにおいて公正・公平な選挙を実現するために実施されたプロジェクト。

ブラジルは政治家の汚職が蔓延しており、選挙の際に政治家の善し悪しを判断することが難しい、という背景がありました。

そこで消費者からクレームを受ける専門サイトeclame Aquiは、何百にものぼる政治家たちの過去の不正発覚記事などを網羅したデータベースを構築し、候補者の顔にカメラを向けると、過去の汚職の記事を表示する、というアプリを開発しました。

技術の力と、クリエイティビティによって、あるべき政治の姿を実現した事例です。

2019年モバイル部門グランプリ:「The Whopper Detour」

■Brand
バーガーキング
■Agency
FCB NEW YORK


リニューアルされたバーガーキングアプリの認知を最大化させるために、マクドナルドの近く(約180メートル)でしか受け取れないバーガーキングのクーポン(ワッパーを1セントで買えるもの)をアプリで配布したプロモーションです。

バーガーキングのクーポンを取得するために、わざわざユーザーをマクドナルドへ回り道させるという、マクドナルドへ喧嘩を売っているような点が毎度のごとく話題になり、その結果アプリのダウンロード数は9日間で150万を超え、モバイルでの売上は開始以来の2倍に、来店数も4年間で最高を記録しています。

またマクドナルドへ向かうユーザーを、クーポンによってバーガーキングに方向転換させてしまうという点でも優れたアイデアだと考えられます。

まとめ

今回は「モバイル部門」をまとめました。

下記マガジンにて他のカンヌ歴代グランプリをまとめているので、チェックしてみてください!


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