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【カンヌライオンズ/Cannes Lions】サイバー部門グランプリまとめてみた PART 2

こんにちは、あおきかい(@onakaitaiyurui)です

この記事ではカンヌライオンズ(正式名称:カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル)の「サイバー部門」のグランプリを2011年からまとめています。

※カンヌライオンズについては以下公式サイトをご覧ください

それでは早速紹介していきましょう!

2011年サイバー部門グランプリ(1):「The Wilderness Downtown」

■Brand
Google & HTML5
■Agency
Chris Milk

Google Creative LabとArcade Fireというバンドがコラボして実施したプロジェクト。

Googleの技術であるストリートビューとChromeのポップアップ技術を駆使し、ユーザーが入力した住所の風景を組み込んだMVが再生されるコンテンツを制作した。

▼Arcade Fire「The Wilderness Downtown」

MVという媒体で、自社の技術を巧みに訴求した点、そのアウトプットがインタラクティブ性に富んだ先進的な物であった点で評価されました。

2011年サイバー部門グランプリ(2):「Responses」

■Brand
Old Spice
■Agency
Wieden + Kennedy

アメリカの男性用デオドラントブランドOld Spiceが実施した,Twitterを使用した、インタラクティブなプロジェクト

2010年度フィルム部門グランプリを受賞したCM"The Man Your Man Could Smell Like"に登場する元アメフト選手のIsaiah Mustafaを起用し、Twitter等に寄せられたOld Spiceに関するコメントに対し、レスポンスの動画を送付した。

ビデオ内でのIsaiah Mustafaのパフォーマンスがユニークである点、そしてなによりも、自分が投稿したコメントに対して、著名人からレスポンスの動画が恐るべき速さで送られてくるという点で非常に話題になった。

さらにスターバックス等のブランドや、GQのようなメディア、さらには著名人までもが便乗したことで、社会のムーブメントとなった。

実際にIsaiah Mustafaが投稿したレスポンスの数は200を超えるなど、ブランドと生活者の間に密なコミュニケーションを創出したプロジェクトです

2012年サイバー部門グランプリ:「NIKE+ FUELBAND」

■Brand
NIKE
■Agency
R/GA New York USA

ユーザーのランニング時のペースやタイム、ランニングを行った場所などの記録を行う「NIKE+」(現在は「NIKE+ RUN CLUB」に変更されています)の拡張として、商品を手首に装着することで、日常生活における消費カロリーや歩数などの活動量が可視化できる「NIKE+ FuelBand」というリストバンドを開発したプロモーションです。

「NIKE+ FuelBand」上では消費カロリーや歩数といった一般的な指標に加え、「FUEL」という運動量を表す独自指標を計測、ユーザーは設定した「目標FUEL」に向けて日々「FUEL」を楽しみながら溜めていくことができます。

リストバンド式のデバイスを通じ、あくまでランニングシーンのみに限られていた「NIKE+」のブランド体験を、日常生活全体に拡張することに成功しました。

2012年サイバー部門グランプリ:「CURATORS OF SWEDEN」

■Brand
SWEDISH INSTITUTE/VISITSWEDEN
■Agency
VOLONTAIRE Stockholm SWEDEN

スウェーデンの観光局が、同国の魅力の発信および韓国客増加を目的に実施したプロジェクト。

スウェーデンの魅力を発信しようとしても、観光局が綺麗に「整えた」メッセージやプロモーションでは生活者の心を動かしづらい。

そこでスウェーデン観光局はは観光局からのメッセージではなく、あくまでスウェーデンの一般国民の生の声を届けることで、スウェーデンの魅力に興味を持ってもらうことを狙いました。

そのために実施されたのがTwitterを使用した「CURATORS OF SWEDEN」プロジェクト。

プロジェクトの中で、スウェーデン観光局はTwitterアカウントを作成、その「中の人」を1週間の交代制でスウェーデンの一般国民が担当しました。

あくまでツイート内容は、運用を担当しているスウェーデン一般国民に委ねることで、一般国民の視点から見たスウェーデンの魅力を発信しました。

その結果、6週間で28,000人以上のフォロワーを獲得、世界中の主要メディアに取り上げられるなど大きな話題となりました。

2013年サイバー部門グランプリ:「THE BEAUTY INSIDE」

■Brand
Toshiba laptop with Intel inside
(Intel + Toshiba)
■Agency
Pereira O'Dell

IntelとTOSHIBAのがコラボして作成した、全6話からなるWebムービー。

作品の中では毎朝、⽬覚めるたびに顔も体も違う人物になってしまう主人公アレックスと、アンティークショップで働くリアとの不思議な恋の様子が描かれています。

作品の中で主人公アレックスは自身の変わりゆく姿を日々記録するため、TOSHIBAのPCで毎朝自身の姿を動画に納めます。

この日々姿が変わってしまう主人公役の出演者は、Facebookを通じて世界中からオーディションで募集しており、ソーシャルメディアを活用し、ユーザーを巻き込むことで共創していく、といったコンテンツのソーシャル性の高さも評価されました。

2014年サイバー部門グランプリ:「24 HOURS OF HAPPY」

■Brand
IAMOTHER(Pharrell Williams)
■Agency
Universal Music Group

米国のアーティストPharrell Williamsが、『Happy』のリリースに併せて実施したプロジェクト。

プロジェクトの目的は、「同曲の売上げ増加」「デジタルを使用したファンとの繋がりの創造」「世界をハッピーにすること」

この3つの目的を達成するために、彼は『Happy』が24時間再生され続けるMVを制作しました。

▼24 HOURS OF HAPPY

特別に制作された24時間のMVは、本人や海外セレブ、一般人が楽曲に併せて踊る姿を24時間分撮影しつなぎ合わせたもの。

サイトにアクセスすると、アクセスした時間に合わせてMVが再生され、時間帯によって出演している人が異なるため、「この時間は誰が出演している(踊っている)のだろう」とユーザーと思わず定期的にアクセスしてしまう作りとなっている。

シンプルなアイデアながら、それをデジタルの仕組みを活用し本当に実現させてしまう点、さらに実際にサイトには1,000万人以上がアクセスし、シングルセールスが14,000%と圧倒的な成果を残した点が非常に評価されました。

2015年サイバー部門グランプリ:「I Will What I Want」

■Brand
UNDER ARMOUR
■Agency
Droga5

アメリカのスポーツブランドUNDER ARMOURが、自社の男性的なブランドイメージを変えるために実施した「I Will What I Want」プロジェクトの第二弾。

UNDER ARMOURは、女性にもブランドターゲットを拡げるべく、各界の第一線で活躍する女性たちとCM出演契約を結び、キャンペーンと展開する「I Will What I Want」プロジェクトを行っていた。

「I Will What I Want」プロジェクト第一弾はバレリーナのミスティ・コープランドを起用して好評だったが、第二弾にブラジル出身の世界最高のスーパーモデル、ジゼル・ブンチェンを起用すると発表した際、SNSではアンチコメントが多く投げかけられた。

彼女は「最もギャラの高いモデル」として知られるだけではなく、私生活では俳優との交際や、トップアスリートとの結婚など、華やかなイメージを持たれることが多く、人気の反面、妬み交じりのバッシング、アンチコメントの標的となってきた。

そのアンチコメントをうまく活用したのが、今回のプロジェクト。

特設サイト「Will Beats Noise」を開設、サイト内では真っ白な部屋で彼女がサンドバッグにキックやパンチを浴びせている動画を公開した。その動画にリアルタイムでツイートされている彼女へのアンチコメントを無選別で合成、彼女がサンドバックにパンチやキックをすることで、アンチコメントが消えていくような演出を行った。

タレントの文脈を踏まえたストーリー設計だけでなく、ユーザーのリアルな声をキャンペーン動画に使用し、ブランドメッセージを訴求する、というインタラクティブな仕組みが評価されたプロジェクトです。

2016年サイバー部門グランプリ:「The Next Rembrant」

■Brand
ING Bank
■Agency
J. Walter Thompson Amsterdam

オランダの金融会社のINGが「常に革新的な姿勢を持ち続ける」という企業理念を訴求するために実施した、前代未聞のプロジェクト。

「革新的な姿勢」を訴求するために行われたのは、300年以上前に亡くなったオランダの画家であるレンブラントの新作を、現代の技術を活用して制作するというもの

まず、レンブラント「らしさ」を再現するためにレンブラントの全作品(346作品)のデータをコンピューターに入力し、絵のモデルが選ばれる傾向や、色彩バランスなどあらゆるデータを人工知能によって分析した

その後、あらゆる分析を踏まえた上で、もっともレンブラント「らしい」新作を3Dプリンターによって制作していく。

INGはアートやカルチャーに関する投資を長年実施していたことも、この取り組みの要因の一つとなった。

データという無機なものから、有機的な芸術作品を生み出した点が非常に高く評価された。


2017年サイバー部門グランプリ①:「Aland index/ Baltic Sea Project」

■Brand
Ålandsbanken
■Agency
RBK Communication

スウェーデンの銀行、Bank of Aland(オーランド銀行)が、自然環境保護を啓蒙するために実施したプロジェクト。

「物を買う」という行為は生活するうえで必要不可欠な物である一方、原材料生産や、製造、配送などそれぞれの段階で環境に負担をかけていることも事実です。

しかし、消費者の私たちに商品が届くまでの過程で、どれだけ環境に負担がかかっているか、ということが見えづらいという課題がありました。

スウェーデンが位置する北欧はバルト海などの豊かな自然が魅力の一つです。

その自然を守るためにオーランド銀行が実施したのが「Aland index/ Baltic Sea Project」

プロジェクトの中で、同行はクレジットカードによるショッピングの明細に、商品生産に伴って排出された炭素排出量を記載し、生活者のショッピングによる自然環境への負担を可視化しました。

テクノロジーの力を使用し、通常は見えづらい「環境への負担」を見える化し、消費者の行動変容を促したプロジェクトです。

2017年サイバー部門グランプリ②:「Meet Graham」

■Brand
Transport Accident Commission(TAC)
■Agency
Clemenger BBDO Melbourne

オーストラリアの交通安全協会TACが、交通事故の怖さや安全啓蒙の訴求を目的として実施したプロジェクト。

目に見えないから伝わりづらい交通事故の怖さや恐ろしさを可視化するために、あるものを開発しました。

それが「グラハム」と呼ばれる人間のモデルです。

「グラハム」は交通事故に遭っても絶対に怪我をしない人間のモデルであり、その巨大な頭蓋骨や厚い皮膚からなんともグロテスクな印象を受けます。

この「グラハム」は学校や自治体で行われる交通指導セミナー等でも活用されました。

交通事故に遭っても絶対怪我をしないグロテスクな人間「グラハム」を開発することで交通事故の恐ろしさを可視化し、交通安全の啓蒙を行ったプロジェクトです。

まとめ

今回は「サイバー部門」をまとめました。

下記マガジンにて他のカンヌ歴代グランプリをまとめているので、チェックしてみてください!


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