吾輩は童貞である。魔法使いになる気はまだ無い。⑩街コン編その2

前回の記事

これは魔法使い化の未来に抗う、アラサー童貞の記録である。


筆者スペック

身長:160後半
体重:58kg
体脂肪率:多分16~17%くらい
学歴:私立文系
職業:税金関係
スポーツ経験:バドミントン、水泳
趣味:映画鑑賞(ハリウッドからクソ映画まで)
父の言葉:無知でも無能でもいいが、それを恥じる心は持て

いままでのあらすじ

流れに沿って書きたかったので、記事の順番と時系列が前後している。

・ポメラニアンと映画デートをする(⑧恋活パーティー編その2)
・二週間後に再度デートの予定を立てる
・デートの一週間前に振られる
・本来デートのはずだった日に別の予定を入れる←これが今回の話(⑩)
・そのまた一週間後に別の恋活パーティーを入れる(⑨恋活パーティー編その3)

予定は埋まれど、心は埋まらず

”失敗の痛みは試行回数で薄められる”──チャラ男(32歳 合コン編参照)

俺は、ポメラニアンに袖にされた痛みを薄めるべく、俺は予定を詰め込めるだけ詰め込もうとした。

その一つが街コン(2戦目)である。

…暇なのか?おい。資格の勉強しろよ。

かくして童貞は、傷口に塩を塗るように、次なる戦場へひた走る。

今回の人数比は、男30:女20弱といったところ。印象に残った人だけピックしていこうと思う。

街コンレポート①女の子の章

エントリーNo.1 前回もいたお姉さん(30)

曰く、俺の横顔が錦戸亮に似ているらしい。

前回、俺とLINEを交換した(本当は嫌だったんだが)ことまで覚えられていた。

30「君、前もいなかった?連絡先交換したよね?」
俺「お会いしたのは初めてじゃないですか?覚えがないですね

何度も通って成果が出ないやつだって他の女の子に思われたくなかったので、最後の最後までシラを切り通した。つーかその辺の配慮くらいしろよ。

前回もそうだったのだが、フリータイムになっても彼女の周りには男は全く寄ってこなかった。細かいことは書かないが、まあ当然だと思う。

エントリーNo.2 蛙亭の中野(30)

LINEのアイコンの笑顔が蛙亭の中野に似ている。

(時系列的に恋活パーティー編その3よりも前なので)とにかく誰でもいいから一人釣り上げようと思い、帰り際に

「私はあなたが一番良いと思いましたよ。今度お茶でもしましょう」

と大嘘を吐いて放置していたら向こうからお茶のお誘いが来た。あまりにも返事が遅すぎてブロックした。

エントリーNo.3 ギョーザ(25)

直前で女の子側の欠席が出たせいで、一人テーブルで男複数人を相手取り続ける羽目になった可哀想な子。ギョーザが大好き。

別に可愛いわけではないが、愛想が良く、よく笑う。
愛想が良いってのはマジで大事なことだと思う。マジでな。

フリータイムで端の卓に避難したのに行き場を失った男どもにゾンビのように群がられていた。相対的に若くて愛想も良かったらそりゃそうなるわ。

彼女は犠牲になったのだ…表情の固い女と口下手な男…その犠牲にな…

街コンレポート②男の章

エントリーNo.4 前回もいた運ちゃん(32)

前回同卓になって、女の子が渋めと見るや明らかに捨てゲーのノリで虚空を見つめていた男。彼は俺のことをタッキーと呼んでいる。

どうやら彼は毎週来ている街コンの常連らしい。こんなところ来なくても普通に女の子を転がしてそうな見た目なのだが…何が目的なんだろうか。

エントリーNo.5 銀髪のチー牛(31)

同卓の医療メーカー勤務。

俺「中小企業の経理の代行や税金の申告をしています」
女の子「わあ!難しい言葉がいっぱい!

こんな相手に自分の仕事の内容を事細かに話したって、絶対伝わるわけがないだろ。お前何を聞いてたんだ?

な~~~~~んにも話題を生み出してくれないし、下手な合いの手で微妙な空気にさせる達人。これはなぁ!!チーム戦なんだよ!!足引っ張ってんじゃねえ!!

他の同卓の男ともども役立たずなせいでほぼ俺が回していた。前回友人のヤリチンにどれだけ助けられていたのかがよく分かった。

エントリーNo.6 なにわモンスター(31)

フリータイムで黄昏てたから面白がって俺から話しかけた。

こいつが今回最凶の曲者。詳しくは後述。

街コンレポート③反面教師の章

フリータイム。

向かうとすればギョーザのところだったのだが、彼女は既に7人近く群がられており、遠目から見てもしんどそうだった。

──今行くのはさすがに可哀想だな。俺も埋もれそうだし。まあLINE持ってるし、後でダメ元でお茶にでも誘ってみるか。

そんなことを考えながら、周りを見渡す。どうやって時間を潰そうか。

すると、

カウンターの近くに一人黄昏ている男、「なにわモンスター」を発見した。

どことなく合コン編のようなデジャヴを感じながら、俺は彼に話しかける。

俺「お疲れっス!どうですか、気になる子いましたか??」
なにわ「いや、今回酷すぎるやろ!ほとんどブスばっかやん!」

流れが完全に合コン編のチャラ男と同じなのだが、致命的な相違点が一つ。

──お前が言うなよ…。

そう。
残念ながら、彼はチャラ男と異なり、お世辞にも格好いい部類ではない。

俺「まあ、そうかもしれませんけどwでも皆悪い子じゃないですよ」
な「限度があるやろ!こちとら高い金払って参加してんねんで!金返して欲しいわ!…逆にケツアナゴ(筆者)くんは誰かおったんか?」
俺「今男に群がられてる子(ギョーザ)いるじゃないですか?あの子とか愛想良くていいんじゃないですか?」
な「え、めっちゃブスやん」

同じ30越えでもチャラ男ほど高身長でイケメンならばその物言いも許されたろうが、彼はなにわモンスターだ。しかもクチャラーだ。

俺「(苦笑)あ~そうだ、さっき同卓だった29歳の人!めっちゃ綺麗でしたよ!」
な「おっ!…ん~近くで見たら意外と老けとるなあ…てか君27やろ?そんな上いけんねや。俺がその歳なら無理やけどなあ」

──とんでもない奴に声かけちまったなぁ。

ネットでたまに目撃する、街コンや合コンなどに出没する怪人にまつわる話。俺はそれらに対して「どうせ創作だろ。そんなやべーやついてたまるかよ」と思っていた。彼に出会うまでは。

俺「じゃああの子とかどうですか?スラッとしてて可愛いじゃないですか」
な「ん~まあ…せやなあ。狙うとしたらあの子やなあ。でもあの子他の男と喋り中やないか?」
俺「(…!)そこでひよってどうするんですか!!行きましょうよ!このままだと手ぶらで帰ることになりますよ!!」

懺悔させてほしい。

俺はクソ野郎だ。

特にすることもなかった俺は、なにわモンスターのモンスターっぷりがどれほどのものか確かめてみたくなったのだ。

俺「ごめんね~野郎二人だと寂しくなってきちゃって!僕らもお話させてください!」
女の子「いいですよ!」

なにわモンスターを引き連れ、狙い目にけしかける俺。

喋るなにわモンスター。笑う女の子。関西人ってこういう時強いな。

女の子と連絡先を交換するなにわモンスター。ついでに俺も。

そうこうしているうちに時間は過ぎた。期待していたほどのボロは出てこなかった。チッつまんねえな、もっとお前の可能性を見せてくれよ。

街コンはお開きに。男女は別で解散することになる。なにわモンスターの狙い目の女の子は、彼を待ってはくれないらしい。

なにわモンスターはこの後俺と飲みに出かけ、問題発言を連発した。

以下語録。

俺「へーしばらく彼女いないんすねえ。意外っすわ~なにわさんモテそうなのに」
な「顔で妥協できる子がなかなかおらんからなあ

俺「なにわさんはどれくらいこういうのやってるんですか?」
な「あんま覚えとらんけど、7年くらいやないか?

な「恋活パーティーも行ったよ!一人しかいいね送ってないけど、向こうからは来なかったから投票すらしなかった笑」
俺「もったいないっすよ!全ツッパしましょうよ~」
な「まじで、妥協できて一人しかいいねしなかった笑」
俺「妥協できてってなんすか笑 いい子いなかったんですか?」
な「お顔の妥協!いいこ一人もおらんかった!

断っておくが、彼は31歳である。しかもイケメンでも高収入でもない。
7年やってボウズなんだぞ。ンなこと言ってる場合か。

しかし、途中で彼は狙い目の女の子から連絡を受け、飯が来る前に店を出て行った。モンスターとはいえ、さすがに彼にも痛ませる良心はあったようで、しきりに謝りながら会計を済ませてくれた。俺は死んだ目で二人分のピザを頬張った。

ぽつんと一人残された俺は、スマホを弄る。交換した連絡先に片っ端から挨拶を送る。

……

………

──あーそうだ、ギョーザをお茶にでも誘うか…。

……

………

──なんかすげえ乗り気じゃん…。

そう。俺のデート相手とはギョーザのことだ。

これは魔法使い化の未来に抗う、アラサー童貞の記録である。

あ?なにわモンスターの顛末?

飲みに行って次回デートをその場で取り付けたらしいけど、

次の日「やっぱり友達としか思えなくって!ごめんなさい!」ってぶった切られたスクショが送られてきたよ。

俺は声を上げて大笑いしたよ。


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