見出し画像

読書 #4 【スマホ脳】ポケットにあるだけで集中力低下



内容

スティーブ・ジョブズはわが子にiPadを与えなかった!?
うつ、睡眠障害、学力低下、依存症……最新の研究結果があぶり出す恐るべき真実。教育大国スウェーデンを震撼させ、社会現象となった世界的ベストセラー、日本上陸。

経緯

スマホ依存症の自覚があるので読んでみました。
大学受験や資格試験など、勉強が必要な場面で何度もスマホの誘惑に負けてました。
”ちょっとだけ YouTube” と思ってスマホを開いたら数時間無駄にして、次こそは!と思ってもまた同じことの繰り返し。

社会人になってからは週末や連休を有意義に過ごそうと思っても、結局家でだらだらスマホをいじって終わる。
一日中スマホを触ってたのに、何を見たか思い返しても特に何も覚えてなくて、本当に無駄な時間過ぎる、、、


スマホは人類には早すぎる

人類が誕生してから約20万年。スマホの普及は直近20年。
人間の脳は環境に適応して進化してきたが、数万年単位の時間を要すると考えられている。そのため現代人の脳は狩猟生活をしていた人類の脳と大差がない

新しい情報や刺激
狩猟時代の人類にとって、新しい情報や刺激は生きるために最重要だった。近くの草むらでカサカサと音がしたら猛獣がいて襲われるかもしれないし、小動物なら食べ物にありつけるかもしれない。
生存確率を上げるために常に周囲に注意を向けてあらゆる情報や刺激に対して注意を向けておく必要があった。

現代社会では人を襲う猛獣も居ないし、食べ物も簡単に手に入る。一方で新しい情報や刺激があふれている。スマホから通知が一日に数十件、数百件届き、通知が来ていない瞬間にも ”自分の投稿にいいねが付いているかもしれない” と意識を向けてしまう。YouTube等の動画コンテンツが発展して次々と新しい刺激を受ける事ができる。
本来は生き延びるため、食べ物を手に入れるために情報や刺激が必要だった筈が、今ではそれらを心配する必要がなく、情報や刺激を得ること自体が目的となり、それが脳にとって快楽になっている。
無限に情報と刺激を提供するスマホは現代のドラッグと言える。


注意を向けさせるドーパミン

人が注意を向ける対象を選ぶためにドーパミンという脳内物質が働いている。空腹のときに食べ物を見ると大量のドーパミンが放出されて、食べずには居られなくなる。
狩猟時代において食べ物は滅多にありつけない貴重なもので、それが目の前に あれば "すぐに全て食べよう"となるべきだった。
ドーパミンの放出によって全ての注意を食べ物に向けさせ、それを食べるというのが生き残るためには必要だった。

食べ物が手に入らない狩猟時代はこれで良かったが現代社会でも同様に"すぐに全て食べよう"と考えてしまうのはとても危険な事で、マクドナルドを満腹まで食べた後でもお腹が空けば同じものを何度でも食べられてしまう。結果として現代病でⅡ型糖尿病が蔓延している。

これと同じことがスマホからの新しい情報や刺激についても言える。
脳は新しいことに対してドーパミンを放出する。見たことがない物、場所、人、食べ物、あらゆる新しい情報に対してドーパミンが放出されて
”今すぐそれを見ろ” と注意を向けさせる。
だからこそ現代人はスマホを見たいという衝動を抑えることができない。


ポケットにあるだけで集中力低下

勉強中にスマホを見ないというのは、ドーパミンの放出によって生じた”スマホを見たい” という衝動に逆行する行為なので、ポケットにスマホがあるだけでそれを無視するためのエネルギーを消費してしまう
スマホを別の部屋に置いた場合の方が勉強中の集中力、記憶の定着や理解度も上がる。


解決策は軽い運動

運動が脳に与えるメリットは非常に大きい。(今回の「スマホ脳」とは別に「運動脳」という本も出版されています。)
運動によって記憶力・集中力・睡眠の質などが向上し、ストレスや不安に対する耐性も向上することがわかってる。
またスマホ依存の解決策としても運動は効果的で、大量の通知や情報があふれるスマホから意識を離して、ひとつのことに集中する力を高める事ができる。
激しいスポーツやマラソンなどは不要で、数分程度の軽い散歩で十分に効果がある。また、集中力の他にも日常生活やSNSの利用によって感じるストレスや不安を緩和する効果も挙がっている。


感想

"スマホに対して、人間の脳がまだ適応できていない" という指摘がとても腑に落ちました。
スマホを触る自分が悪い という考え方で自分を責めていましたが、脳がスマホを求めていると言われたら少し気が楽になりました。
脳からすればより沢山のドーパミンが放出されるスマホを選ぶことが生物的に最適解な訳で、現代人はその身体(脳)の衝動を抑えて勉強に励む必要があるということですね。

ただ一方で現代人がスマホ無しでは生きられないのも事実だと思います。
スマホか財布を落とすなら財布の方がマシという人が多い世の中で、”スマホは人類に早いから使うのを辞めましょう” というのも無理な話です。
著者もスマホが脳に与える影響の大きさが想像以上だとは書いていますが、スマホを排除しようという主張は特にありません。
急速な科学技術の発展に脳が適応しきれない事を知った上で、運動によってスマホに支配されないための適度な集中力を付けたり、不要な時はスマホから距離を置いてデジタルデトックスを行うなど上手に付き合っていくことが必要だと感じました。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?