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日曜の朝、スポーツマスクを忘れた。

今年の3月、私は30歳を迎えた。

30歳を迎えるにあたり、いい加減ダイエットをせねばとTwitterに宣言を書いたものの、結果は実らず。それどころか、2kgも増えた。
原因は分かっている。運動不足だ。

結婚前は、実家から職場まで約10kmの道のりを自転車通勤していた。
それが距離も短くなった上で、自宅で仕事をすることが増えた。
しかも、自分は思っているよりも濃い味付けが好きなみたいで、量も結構食べる。あとはお察しの通り。

「これはあかん」と思った私はダイエットを決意。
「やるやる」と言いながらダイエットを見送っていた旦那も巻き込むことにした。

5月から本格的に身体を動かしはじめ、時間があれば旦那と一緒にウォーキングをした。ワークアウトをするためにアプリへ課金もして、日に日に体の動きが良くなった。

そんな生活を続ける中、ソファでうたた寝をして朝4時に目覚めた私。
窓の外はもう明るく、ほどよい気温。

「よし、走ろう」

身支度と準備運動をして、外に出る。
少し走り始め、人ととすれ違う中で気づく。マスク忘れた。

どうしようか悩んだが、マスクをしながら走るのは結構キツい。近くの公園で走る時は、他のランナーさんもマスクをしていないことも多く、その代わり距離が離れるようにしていた。
日曜の朝5時半、道ゆく人は少ない。悩んだ末、私はそのまま走ることにした。

走っていると、この時間に歩いている人や走っている人が多いことに気づく。やはり走っている人の中には、私と同じようにマスクをしていない人も多かった。
マスクをせず、川沿いを走る。空気を胸いっぱいに吸い込む。少しずつ汗ばむ肌。とても気持ちよかった。

ただ体力はそこまで続かず、15分ほど走ってギブアップ。
上がった息を整えつつ、倒れないよう水分補給しながら、まだ目覚めきっていない街を歩いた。

時間は6時前。ウォーキングやランニングをする人が増えてきた頃、マスクをした人が2人、私の方に向かって歩いてくるのに気づいた。
歩道は比較的広く、すれ違う際にも間隔をあけられるとは思ったが、やはりマスクをしていない自分に対して少しの負い目みたいなものはあったので、安全を確認し車道側に出た。

少しずつ距離は近づき、まず1人すれ違う。まだ若い男性だった。
そこから少し遅れて、もう1人とすれ違う。
なんとなく気になって横目で見る。その途端、胸がチクンと痛んだ。

ご年配の女性で、どこかおしとやかな雰囲気を漂わせた方だったのだが、首に巻いていたタオルを口元に当て、私から顔を背けて歩いていた。

コロナという恐ろしい感染症が拡がって、私が住む愛知県も緊急事態宣言が出ている。変異株も出てきて、高齢者の方も不安の中過ごしているのも理解はしていた。
ただ、その女性とすれ違った時に、なんとも言えない気持ちがこみ上げてきた。

自分自身、模範的行動ができている自信はない。
ただ、出社はせずに自宅で仕事をしているし、外出する時も公共交通機関をできるだけ使わないようにしている。自分のできる範囲で、ストレスがたまらない範囲で意識はしている。
だから、自分に対して「そういう目」で見られたのがとてもショックだった。

梅雨が終われば、夏が来る。
去年よりは夏向けのマスクが出てくるだろうが、暑さで息苦しくマスクをずらす場面もあるだろう。マスクが原因で熱中症になったら元も子もない。
ただ、そういう人と出会ったとしても、相手が嫌な気持ちにならないよう思いやりを持って欲しい。

行動制限が増え、今まで出来たことが出来なくなった今、ストレスを抱える人はたくさんいる。
だから、今こそ思いやりの心を持って欲しい。マスクによるトラブルもよく耳にするが、相手がどう感じるかを考えれば、トラブルは減るのではないかと思う。

少なくとも、私はその行動に傷ついたし、自分も精一杯のことはしているのにと思った。悲しくて、腹立たしかった。なぜそんなことをするの?と問いかけたくなった。

ワクチンの大規模接種も始まった。きっと、日本全体で接種して効果が出るのは、冬くらいになるだろう。
まだまだ先は長く感じるけれど、また平穏な日々を過ごせると思いたい。

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