イタリア・スイス・フランス旅行記③ヴェネツィア・ビエンナーレ2
ヴェネツィア2日目
昨日に引き続きヴェネツィアです。ヴァポレットでリアルト橋をくぐって中心部に向かいます。
こちらはアカデミア橋。
貸し切りのゴンドラも運航していますが、その数はコロナ前よりも少ないようです。
ビエンナーレに行く前に、2009年に開館したプンタ・デラ・ドガーナ現代美術館へ。17世紀に建設された世界最古の税関があった建物を安藤忠雄がリニューアルしたものです。私がヴェネツィアを訪れた2007年にはまだなかったのでぜひ寄ってみたい場所でした。
プンタ・デラ・ドガーナは2つの大運河が合流する突端部分にあり、海がよく見えます。
突端部分。撮影スポットのようです。
美術館ではブルース・ナウマン展をやっていましたが誰もいませんでした。たしかにヴェネツィアまで来てブルース・ナウマンを見たいかというと……。
ブックショップにはTADAO ANDOの本が多数ありました。
運河を走る救急車。他の船より一段速いです。車が入れないヴェネツィアではパトカーや救急車も船が担います。
ため息橋。かつて囚人が投獄される前に見るヴェネツィアの最後の景色だったことからこう呼ばれています。
日が沈むのが早い!
昨日はアルセナーレ会場を訪れましたが、今日はヴェネツィア・ビエンナーレのもうひとつの会場であるジャルディーニ会場を回ります。
ヴェネツィア・ビエンナーレの国別パビリオンは4つに分かれます。
①ジャルディーニ会場の常設パビリオン(日本、英国、フランス、ロシアなど)
②アルセナーレ会場の常設パビリオン(中国など)
③アルセナーレ会場の集合パビリオン(ウクライナ、アルバニア、ガーナ、ペルーなど)
④市内各所の空きビルや倉庫(モンゴル、ウガンダ、ジンバブエ、グアテマラ、サンマリノなど)
すべての国が常設パビリオンを持っているわけではありません。主要国は戦前から1960年代にかけて①自国のパビリオンを建設しました。その後に登場した主要国は②アルセナーレ会場のスペースに拠点を構えています。多くの国は③1つの建物に十数カ国が入る集合パビリオンを利用しています。④市内の倉庫などのスペースを使い、主要会場以外の場所に出展している国もあります。
ジャルディーニ会場:国別パビリオン
ロシア館。ウクライナ侵攻への抗議を込めて出展作家がボイコットしたため、今回は展示が見送られることとなりました。平和な日々がふたたび訪れることを願っています。
日本館 ダムタイプ
ハンガリー館 Zsófia Keresztes 1985-
凝ったおしゃれな建物ですね。
フィンランド館 Pilvi Takala 1981-
ポーランド館 Małgorzata Mirga-Tas 1978-
民俗的要素が色濃く表れています。
ブラジル館 Jonathas de Andrade 1982-
身体の再構成というテーマに取り組んでいるのが興味深かったです。私はかつて彼の映像作品を観たことがありますが、こちらは聴覚障害者の間で発達した独自のコミュニケーションを紐解くものでした。やはり器官への関心がうかがえます。
オーストリア館 Jakob Lena Knebl (1970-) & Ashley Hans Scheirl(1956-)
これは素晴らしい! 観客の反応もかなりよかったです。
スイス館 Latifa Echakhch 1974-
ショッキングでダイナミックな展示でした。
韓国館 キム・ユンチュル 1970-
ドイツ館 マリア・アイヒホルン 1962-
ドイツパビリオンの存在そのものの歴史を解体・構築する試みです。
カナダ館 スタン・ダグラス 1960-
ロンドン、NY、チュニス、バンクーバーで起こった大規模デモの様子を並べています。キャリアの長い有名作家ですがこのインスタレーションは非常によかったです。
英国館 ソニア・ボイス 1962-
力強い展示。国別パビリオンの金獅子賞を受賞しました。
ソニア・ボイスといえばこの事件。
フランス館 Zineb Sedira 1963-
1970年代の映画カルチャーそのものを作品にしたインスタレーションです。ロケセットにいる人が仕込みの俳優なのかたまたまそこにいる観客なのか曖昧な感じになっていました。
ウルグアイ館 Gerardo Goldwasser 1961-
祖父はユダヤ人強制収容所でナチスの制服の仕立てに従事させられており、そのときのマニュアルに着想を得た作品です。来場者がほとんどいませんでしたが、せっかくの国際芸術祭なのでこのような普段見ない文化圏の作品を見てほしいなと思います。
オーストラリア館 Marco Fusinato 1964-
右側でギターを鳴らしているのが作家本人です。12個並べたアンプで耳が壊れるかと思うような轟音のノイズミュージックを鳴らしています。
北欧館 Pauliina Feodoroff(1977-) & Maret Anne Sara(1983-) & Anders Sunna(1985-)
ノルウェー、スウェーデン、フィンランドは合同で出展しています。いずれもサーミの血を引くアーティストです。
ベルギー館 フランシス・アリス 1959-
2013年に東京都現代美術館で個展が開かれたこともありました。世界中の子供の「遊び」にカメラを向け続けているアーティストです。
エストニア館 Kristina Norman(1979-) & Bita Razavi(1983-)
蘭の花をモチーフにしたインスタレーションです。
ジャルディーニ会場:「The Milk of Dreams」展
ここからは国別パビリオンではなく「The Milk of Dreams」展です。作家名、生年に加えて出身国を記載します。
Katharina Fritsch 1956- ドイツ
Andra Ursuta 1979- ルーマニア
Rosemarie Trockel 1952- ドイツ
ヨーゼフ・ボイスと比較されることも多い西ドイツのアーティストです。
Cecilia Vicuna 1948- チリ
Simone Fattal 1942- シリア
Chiara Enzo 1989- イタリア
Sheree Hovsepian 1974- イラン
Amy Sillman 1955- USA
Bronwyn Katz 1993- 南アフリカ
Louise Lawler 1947- USA
Jade Fadojutimi 1993- UK
ポーラ・レゴ 1935- ポルトガル
Christina Quarles 1985- USA
Hannah Lecy 1991- USA
ミリアム・カーン 1949- スイス
Julia Phillips 1985- ドイツ
Charline von Heyl 1960- ドイツ
Jacqueline Humphries 1960- USA
Sara Enrico 1979- イタリア
Sable Elyse Smith 1986- USA
P. Staff 1987- UK
屠畜場の映像にコントラストを加えた映像作品です。かなり好き。
Carla Accardi 1924-2014 イタリア
Sidsel Meineche Hansen 1981- デンマーク
ダッチワイフのメンテナンス業者のドキュメンタリー映像に、実際のダッチワイフの型などを並べています。
Shuang Li 1990- China
Aneta Grzeszykowska 1974- ポーランド
私の推し写真家。いつか日本でも展示をしてもらいたいです。
Elaine Cameron-Weir 1985- USA
外に出るとすっかり暗くなっていました。ありがとうヴェネツィア・ビエンナーレ!
これから夜行バスでリヨンに向かいます。
Google Mapに指示されたバス乗り場に着きましたが、いや、何もないんですが……
さすがにこれは間違っているだろうと慌てていろいろ調べましたが結局乗り場が分からず、バスを逃しました。もうリヨンに行く手段はありません。でもまあなんとかなるでしょう。最悪野宿すればいいだけですし……。
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