見出し画像

名古屋モーターサイクルショー2024 跨って跨って跨りめくりめくる日

写真は「星付きよ」

−−−−−−変更履歴−−−−−−
2024/04/06 初稿
2024/04/18 追記修正
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 春といえば桜であり、桜の開花を迎える頃とはバイクに乗るのに丁度良い時期である。年中仏頂面の私ですら朗らかにさせられるのが春と秋と、そして自動二輪車である。陽の匂い。野に咲く草花の匂い。ガソリンの香り。これらを嗅ぎ取り疾走する乗り物が自動二輪車。

 2024/04/05(金) 天気は生憎の小雨模様であるが、道すがらに咲く桜を愛で、愛車ニャンスタ丸を操舵する。冷暖房が機能不全とした中、この季節はありがたい。夏が来れば車内は地獄と化す……。そんな暗雲立ち込める夏を吹き飛ばすモーターサイクルショーににこは向かうのだった。
「初めてだよ、ふふ、この気持ち」芽吹時は何かと上向くぜ。
「ぜーっ!」と、切符を買い愛車から電車に乗り換え、中部国際空港駅に到着。するとバイク乗り率は特異点に達し、眼前の道路は4気筒から2気筒から単気筒。様々なエンジン音を耳にしつつ、会場へほっつき歩き向くのだが、差し詰それはモーターサイクルショー外のモーターサイクルショー。筆者はバイクを手放してはや二桁年数。道路を疾走する彼がこれ程羨ましく見えることはない。
「バイクに乗れないなんて。あんまりだ。あんまりだ……」と、溢していると、直ぐだった。

・名古屋モーターショー2024会場 現着

 入り口を潜ると、どっと人と人とで混む。これから伸びそうなドメイン名を取得し、売りつけるという感じで混み合い(例:www.mario-cart.com) 差し詰それはインターネット上の土地転がしであり、チャック・パラニューク(作家)先生はそういった匂いを嗅ぎ分け、数十年前に著作物の中に取り入れられてはったな。ということを思い起こしていた。
 ということで、パーソナルエリアが東京ドーム2個と凡そ半分程の広さを持つ私は人見知りの炸裂弾が着発し、扁桃体にブラックマークを刻み、タイヤスモークの煙に包まれ、思想思惑のフィールドがmotogpマシーン顔負けの速さで拡がっていく。道中の朗らかな笑みは瞬時に消え、グッと歯根を噛み締め頬の筋肉は張る。そんな中、会場入り口近くHONDA会場から「ホンダー!」「GO!」と言う声が木霊し、私もそれに合わせ、小さく拳をグッと握り締め「(にこ)GO!」と、主語を黙読、己に喝入れ。
「喝!」 心機一転、ここからは個人的な嗜好に基づき、一部バイクメーカーから車両を取り上げ紹介していきたい。
 私がバイクに求めるものは「速い」「よく止まる」「よく曲がる」の三竦みであり、その匂いがする車両を片っ端から跨っていく。なかんずくバイク屋に置いてあるモデルはサイドスタンドにより展示され、跨り足つきを試す際倒してしまう不安にかられることがあるかと思うが、モーターサイクルショーではボルト・オンされた車体は直立し、転倒の不安は皆無。気兼ねなく跨ることが可能であり、その体験にて得た足つき性を読者と共有したい。ただし直立ボルトオン絶対安定であるが故、車重を感じ取ることは出来なかった。純然たる地に足着くか否かということを念頭に読み取って頂きたい。
 参考値として下記に私の体高と体重を記載する。小柄なライダーの参考になれば幸いでございます。こうして見ると体型的に日本人女性に近しいね。これからはなにかと「かわいい」を連打連呼して行こう。
☆参考値:著者の体高と体重 165cm 52Kg

・HONDA
「かわいい」 先立って読者に伝えたいことはスマートフォンのアプリケーション "Honda Go Ride"を事前にインストールしておくことを勧めたい。というのもHONDAブースではステッカー配布に当たり、此方のアプリケーションが必要となる。私も早速iPhoneを立ち上げ会場QRコードを読み込み、アプリケーションのインストールを実行したのだが、パスワードを求められ、それは空飛ぶ孤島こと中部セントレア空港から見て海向こう、車の中。早くも涙目。
「かわいい……」 以降、潤いのまなこで各種モデルに跨っている著者を想像願いたい。

 HAWK 11
 この日初めて跨ったバイクがこれだ。ネオクラシック。カフェレーサーの現在版をHONDAが造ったらこうなったというモデル。
「ロケットカウル」 この言葉を日本にて目にすると、ある種の族を想起させられる方も居るだろう。あれはいうなれば伝言ゲームの中で起きる土着化のようなもので、ネイティブアメリカンのモヒカン族、その髪型の特徴と歴史をパンクロッカーが踏襲し、反骨精神のアイコンとなったが、これが遠い国になる程、モヒカンの体高を巨大化させ、アイコンが装飾の意味性を強めていったことと類似する。反骨精神の象徴は次第次第にプロイセン兵の兜に似た角立ちに寄り、さすればそれは体勢側ではないのか。装飾の修練化である。
「ロケットカウル」とは本来ネイキッドモデルに当時最新のエアロダイナミクスを取り入れたものであり、速さを求めたライダーが帰結した解だったのだが、日本ではどの位置の空力を目指しているのか不明である腰高なカウルに、極端なチョッパー型のハンドルを取り入れ、「なるべく煩いと強い」という謎のコンセプトに基づき、マフラーエンドを施術車の直感を頼りにぶった斬るという、チョッパーの直訳が排気系に施された。結果、走行性能と燃費の悪化を騒音の一点に向け全トレード。
「120dbを超えろ!」という、私からは信じがたいカスタムチューンであるが、あれは英国と米国が悪魔合体化し、日本にて斜め上の性能を入手したということで良いだろうか? 旭日旗の採用率も高い傾向にある。
 これまでのカフェレーサーとはYAMAHA SRをベースに、セパレートハンドルへの変更。カウリングの装着。キャプトン型マフラーへの換装と、古きを現在に起こす、一種のタイムリープをユーザーが行ってきたが、空冷単気筒エンジンは排ガス規制寄せ来る波には勝てず、現在は絶版と至った。
 そうした折にHONDAから発売された本モデルはエンジンは上も回る2気筒にし、カフェレーサーを新たに造ったというモデル。しっかりと伏せると腰にややくる前傾姿勢。体を立てればそこまで厳しいものではなく、見た目は古いが、施されたカウルが高速道路巡航中のライダー負担を軽減するのではないだろうか。
 足つき性。意外に良い。

 CBR 400R
「CBR 400RRが無いなんて……」 私は嗚咽し、涙声で此方に跨った。KAWASAKIが400ccで出してきたZX-4RRに対抗する車両がHONDAにないことに落涙するわけですが、フルカウル スポーツツアラーだと思った此方は「あれ……」座席とハンドルの距離及び高さの関係は割とスパルタンで、意外や意外、腰にやや焼きを入れられる。アクセルに呼応してスピーカーから2気筒の音を奏でる演出が「かわいい」
 それでも私はCBR 400RR つまり400ccの4気筒を出してくれる誠を望んでおります。
 足つき性。意外に良い。

  CBR 600R
「じゃあコレ乗れバカ」というのがHONDAからのアンサーか。スーチー化される以上にスパルタンな乗車姿勢と、そのスペックはアクセルを全開にさすれば怖くて泣いちゃう排気量であり、座席後方にセットされたセンターアップマフラーは形状として美しく、あ、やっぱ「かわいい」に表記を変える。この位置ではマスの集中化と反するが「綺麗なので別にいいじゃん」という柔軟性を著者は持ち合わせている。
 足つき性。意外に良い。

 CBR 1000RR-R FIREBLADE
「これもあるぞ」というHONDAからのアンサーは、スーチーさんも泣いちゃうバケモノスペックで、スパルタン乗車姿勢は増していく。しかしカッコいいのです。私がマルク・マルケスでなくとも速くなった気にさせられる、ある種の加速装置的デザインは「欲しい……」が、しかし私の技量では……。
 あ、あと「マルケス、HONDAに居ねえじゃん」 ほぞを噛む。
 足つき性は、意外に良い。
⭐︎マルク・マルケスとは、motoGPライダー。通常は転倒するバンク角でも転ばない抜きんでたライダー。2024年 HONDAからDUCATIサテライトに移籍。

CBR 250RR
  良い顔、良い大きさ、良い排気量。赤白のモデルは街中で目にすると、ついつい追ってしまう。以前レンタルバイクで乗ってみたが、高速道路走行可し。ワインディングも楽し♪ 排気音も良い。
 私はHONDAの関係者ではないが、若い方が本モデルに跨り嬉しそうにしているのを見ると、それだけで嬉しい。「良かったですよ。お勧めです」と、女性を中心に声をかけたいのですが「海じゃねえよ」ということで、そこは耐えていきましょう。
 足つき性。無論良い。

  CB 650R E-Clutch
 新技術愛好家により囲まれたE-Clutch搭載モデル。クラッチ断面モデルも展示されている。この技術の簡単な説明を書き表したい。
 エンジンが突然ぐったりとすることを通称「エンスト」と呼ぶ。あらかじめ停止することが判っていればライダーは対応出来るようになりますが、予期せず進むことを辞めたバイクは途端にズッシリと来るものであり、極低速時に顕著に発生する。
「この回転数では、もう……だめ……で……す」
 Uターンはしばしばしライダーの技量の見せ場。同時に緊張感が走る場面でもある。Uターンの最中にエンストが巻き起こると、motoGPライダー顔負けのそれはそれは深い深いバンク角を取り、「ガシャーン」という不愉快な音の後、ライダーの悲鳴が聞こえるものである。
 その寝落ち寸前のエンジンを、E-Clutchは子を抱える親のように包み、エンストを回避するという代物。昨今バイクにウィグレットが搭載されるのは当然と化しており、転倒後カウル変更とポッキリ折れた翼の交換は高額化の一途である。いうなればこれはフレームスライダーの最新型のようなものではないか。
 クラッチハウジンはこれまでのバイク以上に横に太く大きくなるが、ボクサーエンジンに比べればかわいいものです。オプションで取り付けるエンジンカバーの一種だと思えば慣れます。
 足つき性。不明。展示モデル故。

 CB 125
 E-Clutchの仕組みもさることながら、CBシリーズの新たなデザインは素敵。125ccから650ccの統一感と、低排気量特有の安さは感じえず、作り込みは素晴らしい。
 広い世界に広い層に市場を持つHONDAというメーカーの立ち位置から察するに、際立ったことも出来かねるであろうことと、ネイキッドモデルという、その形状上普遍性を求められる形である。カウルが無いためデザインの変化を加える余地少なく、デザインを作り込んでいくのにはご苦労されたかとご推察いたします。辛さを乗り越えた上に、普遍性を立ち上げた方々へ辺境の創作家から賛辞を送らせていただきます。
 足つき性。無論良い。

・YAMAHA
 YZF-R1
 YAMAHAの旗艦モデル。シートに跨るというよりはバイクと一体になるという乗車姿勢。人以上に力強い形故フレンドリーではないが、YAMAHAのデザインは日本のメーカーとは思えない攻めの姿勢を感じる。
「甘えんな」と、その姿勢は乗り手の腰も攻めてくる。性能と快適性はトレードオフの関係であり、「スーパースポーツ」というジャンルに快適性を過度に求めるのは、牛の角を折るのに殺めてしまうような愚行。レースベース車となるフラッグシップモデルから角を取りすぎてしまえば、レースの結果に現れ、速さを第一にするユーザーからそっぽを向かれてしまう。
 私には手に余るであろうモデルだが、身体を鍛え、これに乗りたいという思いも浮かぶ。この辺りのモデルに乗るには自制心と、技術を求められるものであり、金を出してさえすればなんとでもなるというような考えを置き去るのが自動二輪車かとも思う。
 足つき性。意外にいい。バレンティーノ・ロッシのような足長手長出なくとも乗ることは出来ました。
⭐︎バレンティーノ・ロッシとは、元motoGPライダー。引退後も人気は衰えず「46」という数秘は一種の宗教と化している。恵まれた体型と顔立ち、そして速いということで世界中にファンが居る。

 MT-07
 意外にコンパクトで、跨って伝わる乗り手へのフレンドリーさ。今YAMAHAのバイクを買うならSXR900かMT-07を私は選びます。乗車して「あ、これは楽しそう」という直感を頼ると、だいたい間違うことはなく、それ故宝くじは「当たりそう」と思った試しがない。併設するMT-10を見ると「でけえな」という感想が溢れた。 
 あ、あと鍵の差し位置に「え? そこ」と、ほんのりと慄きました。面白いねYAMAHA。
 足つき性。良い。
⭐︎宝くじとは、三等扱いされればまだマシな夢のジャンボ。一等当選でもボーイング747はとてもじゃないが買えない。セントレア空港の施設「フライング・ドリーム」にてジェット機を鑑賞し、忍従せよ。

 XSR900
 ヘリテージモデルの呪縛から脱却し得るため、屠った裸馬の耳元で音叉を打ち鳴らし、現在に蘇らせたネイキッドモデル。HONDAのCB然り「これです!」
 これ迄のネイキッドモデルの良さが私には判らなかったのですが、こうしたアプローチは素敵です。美しい形は性能に尖ったモデル意外にもある。と知らしめる形状に好感触。
 ファビオ・クアルタロが「これはいいね!」とSNSで口にしていたことを記憶しているが、確かに良い。写真を撮ったので今度ファビオに送ります。
 HONDAはCBシリーズで新しい普遍性を獲得し、YAMAHAは垢抜けた。というのが著者の印象。
 此方をベースに往年のレーサーモデルを再現したカウリグモデルが会場に展示されていますが、いいですね。「ハンドリグのYAMAHA」といわれて久しいが、デザインも特筆すべきものがある。
 往年のバイクブームを過ごした先輩方の購買欲を刺激する仕上がりに、YAMAHAが80年代レーサーモデルブームの起爆剤となるのではないでしょうか。
 尚、外国語でしか伝えられない言葉があるかと思うと同時に、日本語で書いた方が相手に伝わるのではないかと思うことがままあります。「ヘリテージ」然り「ビックバジェット」これらは日本人に届いているのか私は疑問です。
 足つき性。良い。
⭐︎ファビオ・クアルタロとは、motogp YAMAHAワークスライダー。複数の言語を扱い、洗練されているが、相手をネタにするようで自分がネタになるというドジっ子の一面もあり、アジア人から人気を得ている。片腕刺青入れすぎじゃないかと私は心配で彼を推しております。

Kawasakiケワサーキ
 バイクを紹介する前に「カワサキ」という発音を私は容認しない。日本のバイクメーカーは「さんない運動」という、問題を土に埋めるような愚行により追いやられ、国内おいて瀕死と化していった。そこで海外に活路を見出し、高品質、高性能は人気を得た。それ故、日本語特有の平織りな発音を容認出来ない。おい、 CBR 400Rの項で平読みした奴、読み直してこい。甘えんな。
 あ、あと本件とは関係ありませんが『三体』の作家へ。「やりすぎ。大陸国故か人権意識が希薄過ぎ。プライバシーに指先突っ込んでエッジを立てるような立て方は古い。そういう盛り込みは不愉快。あームカつく」 読者は私が何をいっているか珍紛漢紛であろうが、説明をしたくないので、このまま進めていきましょう。

  NINJA H2
 KAWASAKIというバイクメーカーの立ち位置は「漢カワサキ」というヘリテージ(おや? XSR900でのご高説は?)的残像を残しつつ、 SUZUKIとモアパワー、モアトルクを競うマッシブなメーカーというのが海向こうの認識ではないかと想像しております。
 それを具現化した本モデルは新しい方の映画『トップガン』に登場し、トム・クルーズ愛好家と、熱心なパワーマッスル家からにより愛で、囲まれていた。レシプロエンジンにスーパーチャージャーを取り付け、メチャ速で、メチャすごの燃費。日本のメーカーなれどアメリカ的視野に二つのタイヤで挑む。著者は怖くて泣いちゃうので跨るのを断念。
 足つき性。不明。

 NINJA ZX-6R KRT Edition
「速過ぎて見えない」ことで有名なNINAJAですが、止まってさえいればこっちのものです。跨りましょう。
 600ccに 「何故?」 おまけで36ccを足してみたところ、より凶悪な加速をもたらすんのではないかと思うと、怖くて泣いちゃうわけですが、跨ってみると意外や意外「あれ、乗れそう」と思わさせられる忍術がライダーを騙します。
 別モデルになりますが2000年初頭頃のKAWASAKIデザインは両生類というか、フロント周りに野暮ったさがありましたが、良い顔、素敵です。緑色がメキメキ輝いています。
 足つき性。意外に良い。

NINJA ZX-4RR KRT
「エメラルドじゃねえぞ」 人気過ぎて乱獲でバイク屋に売ってないことで有名なモデル。KAWSAKIブースにも無かった。そこで私は現地調査を敢行。
「ねえし。売って。ねえし」と、関係者に詰問のボールをぶつける。
「わ、判る人を呼んできますので、お、お待ちください」とのこと。
 暫くすると、KAWASAKIブース内で偉いであろう感じのオーラを纏った500cc位のナイスミドルな男性が登場。
「ねえし。売って。ねえし」と、関係者インコースに詰問のボールを投げる。
「現在は40周年記念モデルを展開し、KRTモデルはあ……き……ごろ……」と、偉い人の感じの人。
「秋!?」
「ごろ……」と、偉い人の感じの人。
「ツーヒット?」
「?」
 あまり詳しくない野球用語を盛り込んだところ、自分でもわからなくなったのですが、要はネジを巻いてみたらその回答は訃報。
「8月……ご……ろ……」とのこと。日本の8月なんて熱々で外で動くやつは何かの拷問、宗教上以外の理由はないであろう頃に展開だなんて……。
 私は肩を落とし、後にした。金がないので、売ってても買えないことは秘密だよ☆

・SUZUKI
 HAYABUSA
 フレンドリーが過ぎることで有名なズズキ。こと、「ズキ」
「乗ってけ。ステッカーやっから」江戸寄りの口調で若い女性関係者から誘われ、ほいほい順番列をなし、HAYABUSAにまたがる筆者。カメラを手渡し激写してもらうのだが「デカい!」 写真にその大きさと、人見知りが合致し、露骨に怖っばった小生の表情に、帰宅後我ながら「かわいい」と、笑った。
 アクセルを捻ると凄まじい速度で恥ずかしさが飛び出る著者ですが、HAYABUSAのアクセルを捻ると、生半可なスポーツカーを置き去りにする加速性能と安定性はマッスルブランド、ズキの雄を現す。HAYABUSAは白が似合う。BMWのS1000Rも白が似合うのだが、その方向性は袂を分け、異なる層に訴求する。
 バイクとは面白い。五感に訴え、尚且つ人種を超えて官能性に呼応する人類普遍の乗り物。ブラックカルチャーに接合し、延伸されたスイングアームは波打つ、凸も凹もする路面を縦に乗り疾走する。黄色い割烹料理屋が拵えた白黒の旨煮ジャズであり、高級料亭に行けばそりゃ美味いんだろうけど、大衆が持つ強さというか、速いよ。というモデル。
「あ、でもうちはそれなりのお値段ですので」と、割烹着姿の女将は商売も上手い。
 足つき性。意外に良い。

 KATANA
 ポルシェと競争する油冷の意地っ張りを 「リカレント」したモデル。 
「リカレント」の和訳に「温め直し」を推す筆者は遮二無二またがり、素体の良さがシート越しに伝わった。気合いと根性と日本的ノスタルジアに溺れない足回り。ブレーキはBremboと、速いだけではなくちゃんと止まるバイクを作るズキが好きですよ。ガンマ? なんのことですか?
 足つき性。意外に良い。

 GSX-8S
 写真で見てもかっこいいなと思うモデルは実物を見てもカッコよかった。SUZUKIの新たなネイキッドモデルは現在的ジオン軍を類推させられる。静岡のバイクメーカーあってのプラモデルメーカー。プラモデルメーカあってのバイクメーカー。元々は徳川江戸幕府平定後、物騒な武家末端を食わすための工業発展という歴史背景を持つ「ものづくり」日本の今らしいデザインは素敵です。
 間口の開闢にしか行末はなし。バイクユーザーの刷新を狙った戦略を感じる。HONDAがアニメ『ガンダム SEED』とタイアップしておられましたが、SUZUKIはザクだ。いや、ギラドーガーだ。色味はグフだったね。
 足つき性。無論良い。

 GSX-8R
 ベースモデルを同じくし、此方はフルカウにセパレートハンドル。フロントライト周りのデザインの秀逸さ故、ネイキッドモデル、いやストリートファイターモデルというべきか、垢抜けたネオジオン軍はカウリングを纏っても浮き足立つことないデザイン。みんなも大好きであるヤクトドーガーですが、あれを縦目にするとカッコいいじゃないか。という思いを具現化したモデル。欲しい。
「ネイキッド、スポーツモデルどちらからデザインを立脚したのか?」を問いたい仕上がり。
 早速ですが、次回マイナーチェンジにて導入して頂きたい提案を記載いたします。フロントカウル、ライト周辺にウィンカーのマウントと、リアブレーキ周りをテールエンドと一体に、ブレーキとウィンカーのコンビネーション化を願う。
 シートに跨り、妙な不安感を抱かずにっこり。尖るのは実は簡単なんです。バランス取りは難物。
 足つき性。無論良い。

・BMW
 BMWといえばボクサーエンジン。横からニョッキリと出たエンジンを実際に見ると、「凄いな」と思わさせられる。この車体ではスポーツ性能を重視し水冷4気筒エンジンが搭載。R13000などのアドベンチャーモデルにてそれを目にすることが出来ますので、各々現物を見てみて欲しい。

 S1000 RR
 特徴あるフロントライト、左右非対称のデザインは2019年のモデルチェンジにより左右対称のデザインに変更。2023年マイナーチェンジ版ではフロントカウルにウィングが搭載され、今らしいスーパースポーツの形に。BMWには堅牢なメーカーという漠然としたイメージを持っていた。何せバイクでも車でも高い部類に入る。実物を目にし、跨るとなると二の足を踏むものだが、その点バイクチェーン店レッドバロンは多種メーカーを扱うため、店頭にあれば接する機会に恵まれ、ありがたい。
 実車に跨ってみると、そこまで際立って厳しい乗車姿勢ということはなかった。シュッとしたデザインは敷居が高いが、逆にいえば品がある。YAMAHA R-1(2009) R-6(2007)を合わせ、整えたフロントマスクは工業デザイン、エアロダイナミクスと合理性を合わせ込んだ美しさを醸す。白が似合うバイクというのは形に自信がなければ出来ないことだと推察いたします。
 足つき性。意外に良い。

・Triumph
 メーカーのの特徴は3気筒という独特の数。ここで私の数字論を展開するとめんどくさいと思いますので割愛致しますが、「3」という数字は好きということに留めます。
 カフェレーサーの総本山というメーカーでもありますが、最新型も良いですよ。
「それは車のエンジンですか?」  6気筒搭載2500ccという頭のネジが飛んだ開発陣のモデルもありますが、その巨体に不思議と笑みが溢れる。

 Trident 660 Triple Tribute Edition
 写真で見てもカッコよかったが、実物は更にいい。英国愛好家、英国王室愛好家も納得。
 跨ってみると不安感はなく、素直な乗車姿勢に長らく愛せそうな英国人女性という感がした。紅茶の淹れ方同様に、使用オイルやプラグなどに拘りがある方も納得でしょうが、間口は広く、素直な乗車姿勢。
 因みに私は紅茶の淹れ方、カップの持ち方までを指摘されると「うわ、めんどくせコイツ」と思うことは内緒だね☆
 足つき性。意外に良い。

 DAYTONA 660
 かっこいい。欲しい。ダウンタイプのマフラーレイアウトと、その形状も良い。実はモーターサイクルショー前日、オフィシャルサイトであれやこれやとオプションを搭載したり、外したりしていた。Bluetoothオプションの価格に目を剥き、震えたが、実物のかっこよさにも震えた。
 足つき性。意外に良い。

・DUCATI
 Hypermotard 698 Mono
 ドゥカティーといえばL型2気筒エンジンと、トラスフレーム。2010年その特徴をモタードモデルに反映したHypermotard 1100 S があったが、モタードというよりは、ストリートファイターに近しく、モタードにしてはやや重い重量。サスペンションストロークとシート高は、ネイキッドとモタードの間にあるモデルだったが、2024年に単気筒エンジンを搭載した本格的モタードモデルを投入。
「モタード」という車種は日本メーカからはほぼ絶滅して久しく、ほぼKTMの独断場であり、グループ企業のHUSQVARNAから同モデルをベースに市販車両が展開されていた。そこにDucatiが殴り込みをかけた。前モデルからの違いは、フレームをトラス形状から変更。単気筒エンジンながら回転数は1万回転まで回る、高回転型という頭のおかしいスペック。剥き出しのトラスフレームから脱却した背景にKTM 690 SMC-Rとの差別化を際立たせるという狙いが見える。
「あ、待ってください。ああ! トラスフレームです!」 帰宅後、本モデルのサイドゼッッケンプレートを取り外した写真を目にし、私は慄いた。それはアンクレットにポイント・ダガー・ナイフを隠すイタリア人と出会ったような驚きである。
 HUSQVARNAというバイクメーカーが2010年にSM250 Rというモデルを投入した。これまでのオフロード車と比べ、マフラーガード兼サイドゼッケンプレートを狭小な布面積に大胆に変更。夏の海でのブラジル人女性を想起させられるその面積は、欧州バイクメーカーに影響を及ぼした。夏+海+ブラジル人女性 というは凄まじい強さを発揮する組み合わせである故、自明かな。
 Hypermotard 698 Mono サイドゼッンプレートのそれを捲ると、そこには三角形のフレームが隠されていたのだった。冬の海という感じで、それはそれで好きだ。

 足つき性、ほぼ無し。
 笑った。俺には無理だった。しかしカッコよかった。踵にこぶは入れねえぞ!

 Scrambler Next-Gen Full Throttle
 小さなウィンカーと、Termignoni 製のサイレンサーが着いたメーカーカスタムモデル。
 販売店の方曰く「一番人気のあるモデル」とのこと。跨ってすぐに「あ、乗りやすそう」という直感に響く乗車姿勢と大きさ。日本車には無いものを求める方に訴求させる形と、色使いとはデザイナーなど、横文字職業の方を擽る気が、そんな気がする。
 足つき性。意外に良い。X!
⭐︎デザイナーは絶対にアメリカンコミック"X-Men Next Generation"を意識している。俺のNGKプラグを一本かけてもいい。

 Diavel V4
 DUCATIから出したスポーツクルーザー。ラテン系の中に流れるブラックカルチャーの匂いをデザインから感じる。
 側面の美しさもさることながら、後方から見ると大変エロい仕上がり。特徴あるサイレンサーに引っ張られるのだろうが、それは罠。色気を醸しているのは出っ尻のブレーキランプにある。ドギツくなる形をしっかりとした下半身が支えているが故、下品に至ったらず、エロくまとめてくるところは、流石イタリアの工房。後ろからこのバイクが来ると道を譲りたくなるが、跨ると意外にフレンドリーな感じである。
 日本でいう京都がイタリアのローマだと私は想定しており、南部のナポリが大阪南ということに地政状なるであろう。京都と違いローマの味付けは濃い。大阪と似ていてナポリは贔屓のスポーツチームが不甲斐ないとファンが焼きを入れにくる。それがイタリア。それが大阪。
 因みに著者はイタリアに一度も行ったことがない。京都は一度。大阪は二度。二度目の大阪では逆ナンパをされたので「ここがいい。日本で一番いい街だ。東京なんて糞食らえだ」という体験談に基づき論考を立脚。話半分を更に2割引くらいで信憑性に達するのだろうが、意外に的を得ている気がしている。
 足つき性。意外に良い。

 Superleggera V4
 車でいうと限りなくスーパーカーに近いバイク。大人からキッズと俺までを虜にするロッソ。値段は「バイク?」「バイクで」「バイクで?」「バイクで」という価格。めちゃ速だろうから会話の応酬もめちゃ早かった。サイドカウルから出ているウィングもめちゃ高であろう。転けたら泣く。
「このバイクを躊躇なくフルバンク出来る者だけが跨りなさい」というペッコの声が聞こえた者だけが本物の重症ですが、モーターショーでは気兼ねなく跨ることが出来ますのでご安心ください。
 しかし「汝あまり無茶なことをするなかれ」 自分の物ではないことを心得よ。というモデル。
 帰宅後、車体重量を知り腰を抜かす。この手のフルカウル フラッグシップは200kgを超えるものだと思うのだが、「こ……これは」
⭐︎重量は各自にてお調べください
⭐︎ペッコとは、フランチェスコ・バニャイア。motogp DUCATI ワークスライダー。

 KTM
 が居ないなんて……。涙目でありますが、各々最寄りのディーラーへ足をお運びください。オレンジのバイクメーカーはお洒落ですし、楽しそうな匂いがしております。

 次回予告「裾野は広いよ大きいよ。自動車産業サプライヤーメーカーなどなど」

この記事が参加している募集

#自己紹介

230,907件

#一度は行きたいあの場所

52,269件

バイクを買うぞ!