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【後篇:課題対策編】 ゼロから結果を生み出すリモートワーク3のルール

※先日アップしたこちらの記事の後編となります

後編では、チームビルディングインフラを展開する我々が考える、「リモートワークでも結果を出せるチームをどうやってつくるのか」という具体的な試作について考えてみた。

前編に記載したが、「強いチーム」と「リモートで成果を出せるチーム」は共通点が多い

リモートで問題を抱えているチームは、サンプルは20件と多くないが、平常時のオフィスワークで問題が表面化していなかっただけか、もしくは大きな問題を抱えたままリモート状況に突入したケースが多いように、周囲のヒアリング結果から感じている。

平常時でも問題解決できなかったレベルなのに、リモート下の状況で解決できるものなのだろうか。

結論からいうと、「リモート状態でも、強いチームは構築可能」だと思われる。

オフィスワークよりリモートワークは、コミュニケーションが困難なこともあり、チームビルディングが難しいことは間違いないが、逆に問題が顕在化される分、課題や対策を意識的に捉えようとするベクトルが働くケースが多い。

具体的な対策を記載する前に、改めて、まずリモートワークが求められる背景や課題からスタートします。

リモートワークが求められる背景や現行課題

①新型コロナの影響による働き方の変化
②移動時間や固定費(オフィス代や電気代)の削減
③柔軟な働き方を社員に提供することで、採用力の向上/離職防止を果たす

といった背景があり、圧倒的に①の要因が大きいのではと感じるが、リモートワークを長期継続する場合、

・リモート下で、仕事の進捗が悪くなっていないか?
・仕事の依頼が曖昧になりがちで、期限を守らなかったり、やってほしいと言った仕事が増えてないか

といった問題があちこちで頻発する状態が続くと、売上の低迷や離職者が増えるリスクは非常に高まってくる。

ちなみにリモートワークを長期導入したい企業は増えていて、下記記事を参照すると、2022年には企業導入率9.7%・29万社が導入見込みの予測だったが、特にコロナの影響で全国20%、都内36.5%の企業がリモートワーク(テレワーク)を導入済という数値となっている。
※完全在宅勤務の企業は全国で10%。

出典:
「国内リモートワーク 導入企業数と導入率 産業分野別予測、2017年~2022年」IDC Japan
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP484193_T00C18A7000000/

「緊急調査:パンデミック(新型コロナウイルス対策)と働き方」株式会社NTTデータ経営研究所
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2020/042200/


ゼロから結果を生み出すリモートワーク3のルール

前編で前出ししたところで、リモートワークにて発生する問題を大別すると、ほぼ下記に整理される。

①役割認識が曖昧になりやすい
②目標が設定されていない、もしくは共有されていない。
 ※特に「前提」「目的」「期待するアウトプット」「期限」
③オフィスワークでのコミュニケーションをそのまま実施している

今回は「役割」「目標」「コミュニケーション」の3つに絞って、生産性を上げる施策を整理しました。

ルール① 役割の認識

「役割」が認識できていないチーム:

自分や同僚がいま何のためにその仕事をしているかがわからず、
機械的に作業化している



「役割」が認識できているチーム:

周りも自分もいま何のためにこの仕事をしていて、
組織に対してどう貢献しているのかがわかる

平常時においても、リモートワークにおいてもまず重要となるのは、「役割」。

役割がはっきりしていない状態だと、「誰が何をやっているのか」把握できておらず、周囲が状況把握やカバーができないので、アクシデントに非常に弱い特徴がある。

役割の認識とは、まさに仕事における「why」「who」を定義し、チーム内で共有することだが、日本は「上意下達/察してほしい」文化が根強いので、「言語化しないでも、なんとなくで、わかってくれる」という風に思われがちである。

しかし、これがリモートで周囲の顔が見えなくなると、「察しきれず問題発生」というケースが多発する。

なので、オススメとしては週に1回で問題ないので、いま「誰がどういう役割を担務しているか」を「全員」に共有することを「継続」することが非常にオススメです。

※ポイントは「why:なぜ?」「who:誰がやるのか?」というところになります。

ルール② 目標の明確化

「目標」が認識できていない状態:

期日や目標を考えずぼんやり言われたことをこなしている



「目標」が認識できているチーム:

「何を」「いつまでに」「どのレベルのアウトプットをするか」
「誰に報告するか」ゴールが明確

※ここで記載している目標は短期の一つの仕事における目標を指しますが、前項の「役割」が定まって、具体的に仕事が発生する際をイメージしてください。

「何を、いつまでにやればよいのか」
「どのレベルまで、やりきればよいのか」
「完了したら、誰に報告するのか」

前項が「why」「who」という話だったが、こちらは残りの「when」「how」「what」を伝える内容である。残りの「where」はリモートなので、基本自宅になることが多いのではと思う。

意外と明言されていない上記について、言葉として明確化させることが第一歩。

ルール③ ビジネスコミュニケーションの改善

上でも述べたが、非言語コミュニケーションに多くを頼りすぎる日本人にとっては鬼門なのが、ビジネスコミュニケーション。

コミュニケーションが弱い状態:

①メンバーがストレスや対人関係で業務に集中できていない
②マネージャーは、監視していないと不安になる状態



コミュニケーションが上手なチーム:

ビジネス以外のコミュニケーションが少なくとも、
仕事で必要となる情報が充分に伝達・理解されている状態

「言わなくてもわかってくれるし、自分が思ってくれる通りにやってくれるだろう」

…と思っていても、自分が想定した結果にならなかった、なんてご経験はないだろうか

例えば、誰かにお願いした仕事が、期限になっても何の報告もなく、進捗もわからないとき、

「仕事が終わったら報告するはずだから、報告が終わってないということは、まだ取り組んでいるはずだ」

「困っていたら何か言ってくるはずだから、何も言わないということは困っていないが、他の仕事が立て込んでいるのだろう」

といった「推測」をしてしまうが、これがコミュニケーションの質を低下させることにつながる。

ちなみにこの後、頻発するケースとして、

「あの仕事、どうなってるんだっけ?」なんて聞くと「よくわかりませんでした」「忙しかったので…」「忘れてました」というようなやりとりになり、いざこざが起こることは誰しもに経験ある内容だと思うが、これはまさに「相手を慮った推測が間違っていて、悪い結果」を招いている。

なので、推測ではなく、事実を確認することが非常に重要です。

【余談】詳細はこちらの記事をご参照いただくとわかりやすいが、人間は「コミュニケーションの93%を非言語に頼っている」ことが明らかになっている。
https://www.kaonavi.jp/dictionary/non-verbal-communication/

特に非言語コミュニケーションが担っている要素は

・言葉では伝えられないニュアンスの伝達
・相手との距離感を縮める
・相手の本心の抽出

であると言われているが、リモートワークでは非言語コミュニケーション、しいてはこの3つの要素が抜け落ちやすくなる。

その結果、対面で働いていたときにはうまく通じ合えていたのに遠隔になるとなぜかコミュニケーション不全が起こる。

また、職場の人間におけるストレスの多くは「上司・同僚」に由来するものであるが、リモート環境化だとストレスの増加量も大きい。

ルール①〜③を基に、まずは一括で対策する方法

ルール①
役割の認識

ルール②
目標の明確化

ルール③
ビジネスコミュニケーションの改善

と話してきたが、これらを全部いきなりやろうとすると大変なので、下に「最低限これだけやるだけでも、リモートワークの生産性低下を抑制できる方法」をお伝えすると、

週1回の定例を設けて、

①「誰が」「何を」「いつまでにやるのか」を全員共有
②最低週に1回、「完了した仕事」「仕事で困っている」2点について報告を促す

といった方法は非常にオススメ

①は今一緒に働いているメンバーが「目標」「役割」がズレていないか確認でき、かつ周囲にも共有できる。

②は言い換えると「報・連・相」の徹底だ。

社会人のイロハを学ぶ上で「報・連・相」はほとんどの社会人の方が、トレーナーから教えてもらった内容かと思われるが、その後継続している人は少ない。

また、同時に「何を報・連・相すべきか?」なのかもあまり知られていないが、上に書いた「仕事が終わったとき」と「困っているからサポートしてほしい」ことをメンバーはリーダーに「報・連・相」することが重要です。

これらを実践できるだけで非常に社内コミュニケーションはポジティブになるので、リモートワーク/チームビルディング支援をさせていただいている会社さんにもオススメしている。


まとめ

本日まとめた部分以外でも、リモートやってみて対策が見出しづらかったり、対策を考えても実施できない理由など、個々の事業者によって課題は違ってくるところもあるだろう。

私個人として「日本が生産性を高めるうえで、明らかに他の国に遅れを取っているチームビルディングの強化は不可欠」だと感じてその普及を目指しているが、リモートワーク環境はまさに日本のチームにとって1つの超えなければいけない試金石だと考えている。

前篇をそのまま引用するが、私が考える強いチームとは、「優秀なプレイングマネージャーが1人で生産性を支えている」チームではなく、「チーム目標を皆で共有し、誰か1人に負担が偏るこくなく、仕事の相互授与やお互いの人格の相互受容ができている」チームを指している。

※ちなみにマネジメントの神様P・F・ドラッカーは、チームが生まれる条件として上記の要素を示唆している。

リモートで成果を出すために「チームビルディング」スキルが重要だと続けて記載してきたのは、「チームビルディング」の要素と、「リモートワークで生産性をあげる」要素が酷似しているからだ。

つまり、リモートワークで生産性が落ちてしまう企業は、そもそもチームに課題がある可能性が非常に高い

変化をする、という意味で最初は大変ではあるが、ルールや意識を少し改善するだけで、売上向上や社員のレベルアップ、質の高い働き方にも繋がりやすいところではあるので、これからも自分のできる限り、「Co:TEAM」を通して日本に強いチームが1つでも多く生まれるサポートをしていきたい。

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