あなたの中の小さいあなたへ。
こんばんは。アリス食堂です。
今回は予定通り、金曜の夜に投稿しております。
さて、流れのままに・・今回はアリス食堂の写真を撮ってくれている姉ではない、もう一人の姉のお話です。
家族ネタが続いております。なにせ、私の家族は魅力的な人が多い。そういう集まりなので。今回も私のつぶやきとして、お読みください。
物心がついた頃、クリスマスになるとプレゼントが届いていた。外国のクリスマスの風景を型取ったチョコレイト。結構、嬉しかった。
小学3年の時、そのチョコレイトの送り主が帰ってくるというので、空港でお出迎えした。とても綺麗な人だった。私の一番上のお姉ちゃんらしい。
私が幼い頃に県外に就職したので、それまで会うことがなかったけど、結婚の報告で帰ってきたらしい。
緊張した。人見知りしてしまった。だけど、その人は笑顔でいっぱい話しかけてきてくれた。そして、めちゃくちゃ優しかった。
小学5年の時に、その人がまた帰ってきた。大きいお腹を抱えていて、前に会った時とは容姿は変わっていたけど、雰囲気は前のままだった。
前回よりも長い期間、一緒に暮らす事になったので緊張することもなくなり、姉ちゃんと言えるようにもなっていた。
姉ちゃんは相変わらず優しかった。一緒にお風呂に入ると頭も体も洗ってくれた。泡いっぱいのタオルで優しく、指の一本一本まで丁寧に洗ってくれた。
お母さんって、こんな感じなのかな、と思ったりもした。
姉ちゃんはよく喋る。いるだけで家の中が華やぐ。ずっとこんなだったらいいのにと思っていた。
赤ちゃんが生まれて、しばらくすると帰って行ってしまった。ちょっと、赤ちゃんに姉ちゃんを取られて、寂しい気持ちにもなったりもした。
高校を卒業して、姉ちゃんが住む隣の県に就職した。会いに行くと、容姿は更に横に大きくなっていたけど、優しくて、姉ちゃんの笑った顔が私は大好きだ。
姉ちゃんには子供が2人いて、近くの幼稚園にお迎えに行ったりした。姪っ子、甥っ子の可愛さったら半端なかった。
時々、昔の話をしてくれた。姉ちゃんが高校を卒業した時、父に家に残って下の子たちの面倒を見てくれと言われたらしい。だけど、断り遠い街へ就職することに決めたらしい。
自分の娘の成長と私が重なるらしかった。「こんな時期のあんたを置いて出て行ってしまったと思うと涙が出る」私への優しさは、私への悔いでもあるようだった。
姉ちゃんは家族にも優しい。電話で送り物でいっぱい気遣いをくれる。これも、置いて出て行ってしまった家族への悔いなのかな。
頑固な父も姉ちゃんの言う事にはすぐに従う。優しい姉ちゃんだけど、怒ったら実は一番怖い。っていう事をみんな知ってるからかな。なんて・・姉ちゃんごめん。
姉ちゃんは身内、職場の人、近所の人、関わる人皆に優しい、気遣う。姉ちゃんの日常は皆への気遣いで始まり終わる。
そんなに気を遣わなくていいよと言うと「私の癒やしは皆への気遣い、そうすると気持ちがスッとするから」と言う。
姉ちゃんの中学、高校という多感な時期は自分の母親が亡くなり、後から私の母がきて、その母も亡くなるという状況だった。
受ける事や感じる事も多かっただろう。記憶も多くあるだろう。何かの拍子に湧き上がってくる感情もずっとある事だろう。
昔の話で教えてくれた事がある。お母さんが亡くなって中学の卒業式を迎える前日。お風呂に入れずに、冷たい水道水で固形石鹸を使って髪を洗ったらしい。
翌朝、髪はバサバサ、フケも出てきて、恥ずかしくてねぇーって、笑い話みたいに聞かせてくれたけど、本当は泣きたくなるような話だ。そういう記憶が沢山あるはずだ。
姉ちゃんは家族を置いて遠くへ就職した選択を悔いている。残るべきだったという。だけど、そんな選択してくれなくてよかったと思う。
姉ちゃんの人生が家族に尽くす人生だったなんて、まっぴらごめんだ。
姉ちゃんが遠くに就職してからの人生の中で、そこいら中に昔の自分の悲しかった気持ち、寂しかった気持ち、泣きたくなるような感情、怒りで震えるほどの思い。
そういういつだって忘れられない感情を誰かと接する度に思い出していたんだろうね。
そして、その相手に優しく、気遣う事で、姉ちゃんの色んな感情を癒やしてきたんだね。
皆、自分の心の中に小さい自分がいる。姉ちゃんの心の中にいる小さい姉ちゃんは今でも膝を抱えてうずくまったままだ。だけど、姉ちゃんの周りの人への優しさや気遣いが、その小さい人を日々、癒やしてあげている。
もうすぐだと思うよ。姉ちゃんの小さい人が顔を上げてくれる日も。
大好きだって思う人、大切だって思う人を笑顔にしたい。幸せにしたい。それが喜び。そういう愛を姉ちゃんの優しさで教わった。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。また金曜の夜に。
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