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WSLならではの強度が魅力のエレン・カスバート :: P2W007 :: WSL Watch #048

アーカイブ的な意味合いもあるかも? って思って気まぐれに量産体制に入った'P2W = person to watch(注目したい人)'シリーズの第7弾、今回はチェルシーのスコットランド代表MFのエリン・カスバート(Erin Cuthbert)を。個人的には、"WSL Watch #046"で取り上げたマンチェスター・シティのローレン・ヘンプ(Lauren Hemp)と並んで、WSLを熱心に観るようになった頃に「女性でこんな選手がいるんだな」ってビックリした選手だったんで。あと、スコットランド代表だとなかなか代表でのプレイを観る機会がなかったから、余計に驚いたって側面もあったかも。

パワフルなプレイで中盤を支えるハードワーカー

プロフィール的な部分は後回しにして、とりあえず、エリン・カスバートのざっくりとした印象を言うなら、「攻守両面でインテンシティが高くて、強烈なキックを持ってるパワフルなCMF」って感じかな。

エリン・カスバートのプレイで最初に衝撃を受けたのは、自陣のセンター・サークル付近のやや左サイド寄りで後ろ向きでボールを受けて、ターンしながら右足で蹴れる位置にボールを置いて、ワン・ステップで右サイドの高い位置にいる味方のWGまで低くて速くて強いボールをスパンッって蹴ったときだったかな。たぶん、まだWSLをちょいちょい観るようになったくらいの時期だったんだけど、ローレン・ヘンプのプレイを観て「女性でこんな選手がいるんだな」って思ったのと同じように、「女の選手でこんなボールを蹴れるの、ヤバくね?」「っつうか、Jリーグでもこういうボールを蹴れる選手って、実はそれほど多くない気がする」って思っちゃったくらいインパクトがあって。日本の選手でも、例えば長谷川唯だったり、過去の選手なら宮間あやだったり、キックの名手は何人もいたと思うけど、ボールの質、具体的には強さと速さが違ってて、それでいて精度も高くて、本当にかなりビックリしちゃった。

サイド・チェンジとかのパスも上手いんだけど、キックが上手いってことはもちろんシュートも上手くて。特に圧巻なのは強烈なミドル・シュート。基本的にCMF、今シーズンのチェルシーは4-2-3-1でプレイしてることが多いんで基本的には3列目の2の位置でプレイしてるんだけど、押し込んで攻めてる状況では相手のクリアとかボックス近辺でセカンド・ボールを回収する役割を担ってて、ボックス近辺でボールを回収したときにコースがあれば、少々距離があってもズドンッって強烈なシュートが飛んでくる感じ。観ててスカッとするっていうか、気持ちいいタイプのミドル・シュートを決めてくれる選手って感じかな。

あと、攻撃だけじゃなく守備での貢献度が高いのも大きな魅力。ローレン・ヘンプ(Lauren Hemp)について書いた"WSL Watch #046"で、「イギリスには自ら進んで(何なら嬉々として?)デュエルを挑む、デュエルが大好きに見えるタイプの選手がけっこういる」みたいなことを書いたけど、エリン・カスバートもまさにこのタイプで。特にCMFってポジション柄もあって、いわゆる'相手を潰す'プレイも重要なタスクなんだけど、そのときの強度は抜群で。清々しいくらいの勢いで激しく相手に寄せるし、50:50のボールへも躊躇なく突っ込んでいくし。WSLってリーグの大きな特徴のひとつが強度だとすると、リーグ全体で見てもその部分を代表するような存在って言っていい気すらする。

スコットランド代表でも主力として活躍

プロフィール的な部分も押さえとくと、エリン・カスバートはスコットランドのアーヴァイン生まれで、チェルシーでは背番号22を付けてるMF。1998年生まれの25歳で、チェルシー加入したのは2016年の12月だから18歳のときだったってことになる。その前はスコットランドのレンジャーズとグラスゴー・シティでプレイしてたらしい。本格的に活躍するようになったのは17/18シーズンからで、国内のリーグ戦とカップ戦はもちろん、UEFAウィメンズ・チャンピオンズリーグにも出場してる。

スコットランド代表にも2016年から選ばれてて、スコットランド代表が初めて出場した2017年のUEFAウィメンズ・ユーロのイングランド戦で途中出場したのがスコットランド代表史上最年少のユーロ出場だったんだとか。まだ25歳だけどキャップ数は既に60を超えてるんで主力選手って言っていいはず。チェルシーの主力として活躍するくらいの実力がある選手なら代表でのプレイを観たことがあっても全然不思議じゃないんだけど、スコットランド代表はFIFAウィメンズ・ワールドカップみたいな大きな国際大会に頻繁に出場できる国じゃないから、代表でのプレイを観る機会があまりないのはちょっと残念だけど。


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