日本語ラップ 2023 BEST ALBUMs

1年ぶりです。
12月は他の人が出したベストアルバムベストソングなどを見かけ、これ聞いてないやんというのを補完する大事な期間です。これが結構あるから毎度自分のサーチ能力に凹みますよねぇ。
ということで今年も2023リリースの日本語ラップベストアルバムTOP10やっていきます。最後までよろしくおなしゃす。

1.guca owl 『ROBIN HOOD STREET』

突然来たアルバムリリース。震えたよ。
今一番注目されているラッパーになったと言っても過言ではないguca owl.
ギャングでもニートでもないguca owlが、ストリートで成り上がっていく中でぶつかった8つの問題がテーマのミニアルバムというコンセプトの中、完全にまとめ上げてるのがすごい。
まだ23だけどもすげーしっかりしてる人だなって印象。もう覚悟が決まってるってハッキリわかる。前作が良すぎたから今回のハードルが上がっていたけど軽々と越えてきている。
人となりが表れてるのが最後のSCHOOL BUS「今握るハンドルはスクールバス まあ旅に出れるのは同じだしいっか」。ラッパーあるあるのいい車!いい女!Skrrrrrrrとは一線を画す。そして「いずれお前のバスも見たいな」ってそっち側とこっち側を分けずにみんなで行こう、って言ってるところ。とてもこれからの感覚。
現代のNO.1ストーリーテラーだから見逃すな!また今年も作品お願いしますよおおおお!
オードリー若林がguca Tを着てラジオをやっていたことでも俺は盛り上がりました。笑

2.Yvng Patra『20』

高速BPMにドリルっぽいビートのジャージードリルを乗りこなす若干20歳のラッパーYvng Patra.Xgangの一員としてアンダーグラウンドでその名を知らしめている。このアルバムもアがるビートに乗ってヤンパトの特徴的なローボイスが鳴り響く。
このアルバムを20歳で作っているってところもヤバいが、その若さにして地元新潟を背負って立とうとしているとところも立派。
今までの自分の暗い過去を歌った暗澹たる気持ちにもなる「REAL TALK」に対して「Hood Star」では今兄ちゃんは東京でラップしてるから心配するな弟よ、という兄弟愛とともにポジティブに今現在未来を歌い上げている。この二面性もまた良い。「TO THE STARS」では今年のラップスタア誕生で一躍有名になったLIZAとこれからの展望をグッドメロディで歌っていて引き込まれる。
客演のPedro the GodSon、大神、Donatello、Tade Dustなど今を時めくアングラなラッパーたちが集合しているのも嬉しいところ!

3.QUIZI A RHYME『ONE LOVE』

「StyleはONE LOVE」岩手出身のラッパーQIUZI A RHYMEのアルバム。
恥ずかしながら今作で知った方。このアルバムにもVOLOJZAが。ビッグリマンしかりここらへんの相関図誰かまとめてくれないか。
「やりたいこと 守りたいこと どっちをベースにおこう?」彼の生き様と普遍的な投げかけが印象的。ソウルフルに歌い上げる歌声も魅力的。
そして「I Loves You Porgy」貧しい黒人街を舞台にした『ポーギーとベス』という舞台作品の挿入歌に同名のものがある。そこからとったのだろうと思う。ポーギーは足が不自由な黒人男性、ベスはそのポーギーに恋をする女性で彼女がこの歌を歌う。
リリックの出だしは「私の息子は今年で22 朝9時から16時まで施設にいるの」と。その息子がした些細なことが近隣の苦情になりそれに対処する施設の職員は「時間をずらせないんですか」。
そんなこと言われたら親としてはもうどうしようもないよ、とほんとに聞くたびに涙が出る。今も泣きながら書いてる。でも「愛する息子」も「施設の職員」も「どうすることもできない自分」も誰が悪いとかの話じゃない。
「何かにすがんなくちゃ 今にも溢れそう」ってほんとそうだよ。どうしろっていうんだよ。それでもそれでも毎日は続いていくんだよ。
2番は娘のことだと思うけど読み解き切れていません。。。悔しい。
一人の親として、一人の人として打ちひしがれるナンバー。
必聴アルバムです。

4.Jinmenusagi 『DONG JING REN』

『la blamka』以来のアルバム。スキルフルラッパージメサギさん。
「着飾るのは飽きた」これがジメサギだと言わんばかりの珠玉の楽曲ばかり。いろんな引用があって聞いてて楽しい。HUNTER×HUNTER関連のワードが多い気もする。笑
「Crying Emoji」も「Anata Watashi」もストーリーテリング上手くてかなりぞくっとする。ぞくっとする感覚はめちゃ大事で心が「うわぁ~」みたいにならないといけないの(説明ムズイ)
もう重鎮的な存在になりかけていると思ってたけど、俺はそんなんじゃないんだと言われたような気がしてハッとした。
最後にBonberoとTade DustのコンビとKraftykidが殴り込んでくる「SAKURABA Remix」も聞きごたえ抜群。みんなうますぎる。

5.JJJ 『MAKTUB』

MAKTUBとはアラビア語で「書いてある」という意味。
そんな題のアルバムにはJJJの溢れる気持ちが全部書いてあるようにも思える。
前作の『HIKARI』から6年。俺はかなり待っていました。
コロナ禍を経て変化する環境・プライベートに浮き沈みもありながら言葉を研ぎ澄ませて解き放つ珠玉の17曲。
全曲本人からのレビューがアプミュには載っていてかなり良かった。客演やビートメイカーとのやり取りとか、どうしてこういうリリックを入れたのかとか。あんまり裏側は知りたくないという人もいるだろうけど、リリックをより深く味わいたいなら知っておいて損はないよね。
一瞬で過ぎる55分の退屈しない映画みたいなアルバムです。
いろんなライターや雑誌のどの年間ベストにもこれは入ってきてたね。

6.OMSB『喜哀』

いや!しょっぱなからイカれたドラムンベースにQNヤング親方ですか!2人の邂逅ですか!みんなが期待してたやつじゃないですか!!となる。
『ALONE』から1年。あれからまだ1年しか経ってないのにやべ〜🙄
俺がOMSBを好きな理由はちゃんと時代にアクセスして最先端をいってるところ。親としてちゃんとPOWERにステイトメント残してるところ。それでいて「ひとり」であることを肯定してくれること。みんな大衆だと言い切ったALONE、「君」は大丈夫だといってくれる喜哀。(さらに志人がボトムから声を降り注いでくれる)
こんなに背中を押してもらえるアルバムもないっす。押忍。

7.Sound`s Deli 『OUT NOW』

昨年の『PUCKADELI』も良かったけどさらにレベルアップした感じでOUTNOW.
それぞれしっかりソロでも活躍してtim pepperoniもG Yardもそっちのほうが取り沙汰されているくらい。その5者5様のスタイルが聞き手を退屈させない。キャラがあるからそこに注目しても楽しげ。その中でもKaleidoのうまさが特に俺は好み。去年はSadajyoとの「Bankroll」で食らいましたね。あとMoon Jamもライブ上手。
このアルバム最後の「Polyp」に向けて流れがあって、結局全部もってっちゃうのよ。あの掛け合いはなかなかできない。ずっとやってきた仲間同士の信頼感とか見える。ミドルテンポの疾走感がたまらない。そしてまた最初からアルバムを再生する…
「25までにはこれで食う」とspitするMoon Jam。まだまだこれから伸びしろいっぱい。2024も期待大。

8.Die,No Ties,Fly 『SEASONS』

年末に脳天ぶち込まれた弾丸。
勉強不足でこのクルーについて知らなかったんだけども、OGGYWESTの人とVOLOJZAさんなんだね。『무섭다(ムソプタ)』もとてもよかったよね。
先行曲何曲かあった中で、「貪るようにfeat.butaji」は特にくらってて。愛の曖昧さに絡めて「大切にしてるイエスタデイをうたって」のパンチライン。冬目景フォロワーにはグサリとくるラインだった。butajiの浮遊するような歌声もぴったりだった。
そんな年の暮れに出たこのアルバム、選考中の審査員(俺)はやべぇ!ってTOP10をむりくり11にした。(紆余曲折あり12です、訂正)
"日常の延長線にある音楽"がテーマ。生活に根付く言葉とメロディが美しく時に刺さる。客演も豪華でみんなかましてる。特に…LLBG好き…\(//∇//)\

9.18scott 『SCHOOLBOY』

藤沢のリリシスト。
リリックが聞きやすい上に遊び心満載。
年初に「R.E.A.L.」のMVを見て「これはヤバいんじゃないか?」って思ったのを覚えてる。
そしてミニアルバムの最後には高校の時にクルー組んでたBIMとの「Cry Later Remix.」
いろいろあったんだろうなと思わせる2人のリリック。僻みあいの過去と時代の寵児と売れないラッパー。なんて対比を思いながらもBIMの最後のラインに「いつだって俺はお前の隣」に泣ける。柊斗の力強いここから巻き返すというボイスがよりその2人を際立たせる。名曲だ。
あと「北口5分のマンション」も隠れた名曲。こういう地元と過去を上手く歌うラッパーが好き。
今年はフルアルバムも出るらしいので楽しみ。

10.Tokyo Young Vision 『Chawalit vol.2』

良い意味で期待を裏切られた作品。もともとTYVはHideyoshiのワンマンチームみたいなイメージが勝手にあった。てか実際にBig MikeやOSAMIのソロ作品はそこまでピンときていない。そして色々調べるなかで誰の離脱だいざこざだ、みたいなのがわかってきてあんまりよい印象を持てなかった。けども実際にどうなのかとかを判断するのは基本作品でしかないと思っている。
で。このアルバムメロディアスすぎる。誰がメロディメーカーなのかわかんないけどそこに乗せる全員のラップはスムーズでアルバム10曲が一瞬。(31分だから実際にも一瞬)
M6の「どうでもいいよ」とか「まあみんな生きてるだけでええやん 時間が色々忘れさせるからどうでもいいよ~」みたいなリリックは真っ向からクルーのスタンスを示してるでしょ!笑 そこに惹かれるところもあるわけだから、まあいいんじゃないかね。
脱退しちゃったけどSpadaは大注目してます!

11.Granztto Kris『Shit Be 4 Lit』

これはアルバムじゃないけど…まとまった作品ということで。
名古屋から新たな刺客。まずこのジャケ最高。手前髭の兄ちゃんがいい味出してる。友達が撮ってくれた写真ジャケにしたり~って言ってる。
二曲目に客演で参加している新東海って誰。名前強すぎるでしょ。
作品通してバリバリにノれる。前乗りのビートと気持ちの良いキックが歩くスピードを自然に上げてくれちゃう。
歌ってる内容は仲間!マニー!上に行く!っていう感じでそこまで深みがあるわけじゃないんだけども勢いは◎
だからこそこれからの作品がめちゃ楽しみ。そして名古屋勢の絡みもたくさん期待しちゃう。今年はContakeitとHavitのコラボアルバムとかあったしね。名古屋がビッグシーンになる未来もすぐそこ。

12.Chaze 『Painted Blue』

CIRCLE6CLANというクルーからChazeのEP。
ぜっんぜん知らなかったけどEP通しての耳触りが良すぎる。
今治のシルクタオルくらいホワっと包み込まれる感覚になる。
しかも自分でビート作ってミックスとマスタリングもしているよう。多彩な人が増えたよなぁ。ピアノベースで作ってるものが多くて私はホント好きな部類なんですよね。これが年間ベストに入るんか!と言われたら難しい顔をしちゃうけども、何度も再生させてもらったお耳の恋人ということでよろしく。
Twitterのフォロワーも少ないしこれからどこかで一気に出てくる新星になりそうな予感。注目よ!

まとめ

Top12になっちゃいました。悪しからず。
このあとにはテークエムの『Communication』やTEITO『TURTLE TALK』、KEIJU『Speed Tape』、Flat Line Classics『THROW BACK EP』、IKE『Scean』などが続きます。今年よく聞いたプレイリストは下に置いときます!

誰に求められているわけでもなく締め切りがあるわけでもないのに、強迫観念だけで書きました。笑 誰かこれきっかけで聞いてくれたらうれしいです。ではまた来年。みなさん今年もGood Diggin💛



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